「前回より好成績を」…富山英明強化委員長語る【2006年11月29日】







 アジア大会(レスリング競技=12月9〜11・13〜14日、カタール・ドーハ)を直前に控えて東京・国立スポーツ科学センター(JISS)で合宿中の男子両スタイルの代表チームは11月28日、報道陣に合宿を公開。富山英明監督(日本協会強化委員長)は、メダル3個(金1・銀1・銅1)だった前回の2002年韓国・釜山大会よりも好成績を最低ラインに掲げた。

 世界選手権と同じメンバーでの出場(ただし重量2階級は派遣なし)だが、世界選手権の時はグレコローマンの二大エース、84kg級の松本慎吾(一宮運輸)、60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)、フリースタイルでメダルも期待していた55kg級の田岡秀規(自衛隊)らが負傷のため万全ではなかったが、今回はけが人もなく、仕上がりは順調だという。

 しかし、イラン、韓国、カザフスタンなどを中心にアジアのレベルは高く、かなり厳しい闘いを予想。昨年、ベストメンバーでアジア選手権に臨み、国別対抗得点でフリースタイルが2位、グレコローマンが3位に入ったが、「オリンピックの2年前の今回は、どの国もオリンピックの前哨戦と位置づけて最強メンバーでくる」と、気を引き締めている。

 ただ1人連覇を目指す松本は「背中のけがは、鍼治療や電気治療で回復し、完ぺきに近い状態に戻すことができた。アジア大会で勝ち、来年の世界選手権でのメダル獲得へつなげたい」と闘志を燃やした。過去1勝1敗のキム・ユンサブ(韓国)や、今年の世界選手権で3位に入ったハサン・サマン・タフマセビ(イラン)が要注意だという。

 世界選手権で銅メダルを取った勢いを持ち込みたいフリースタイル60kg級の高塚紀行(日大)は「全日本の合宿ではボロボロにやられているので、メダルを取ったことで浮かれる気持ちはありません」と、世界大会と同じくチャレンジャーの気持ちでぶつかれそう。世界選手権の準決勝で負けた試合は、「ここまで勝ち上がったのだから…」といった心のすきができてしまい後悔しているという。「その反省を生かしたい」と、目標を優勝に絞って臨む。

 合宿は30日まで。グレコローマンは12月3日、フリースタイルは同7日にドーハへ向けて出発する。なお、開会式に参加する女子55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)と女子の栄和人監督(中京女大職)、木名瀬重夫コーチ(日本協会専任コーチ)は、29日にチームとは別にドーハへ向かう。

アジア大会を目前に控えて練習する男子両スタイルの全日本チーム。 松本慎吾(右端)は後輩にゲキをとばすなど、チームを引っ張る。 五輪銅メダリスト田南部力が田岡秀規を指導。富山監督が見守る。



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