飯室雅規(自衛隊)と松本慎吾(一宮運輸)が銅メダル…ドーハ・アジア大会第2日【2006年12月10日】







 アジア大会のレスリング競技第2日は12月10日、カタールの首都ドーハのアスパイアー・ホールで男子グレコローマン4階級が行われ、66kg級の飯室雅規(自衛隊=左写真)と84kg級の松本慎吾(一宮運輸=下写真)が、ともに銅メダルを獲得した。

 前回の2002年釜山大会の覇者である松本は、1回戦でその時の決勝での相手である金正變(キム・インサブ=韓国)と対戦し、1−2で黒星。金正變が決勝へ進んだため敗者復活戦に回り、シリア選手をフォールで下して3位決定戦へ。2004年アテネ五輪74kg級の金メダリスト、アレクサンダー・ドクトルシビリ(ウズベキスタン)を2−0で下し、2大会連続のメダル獲得を決めた。

 66kg級の飯室は、1回戦でイラク選手にフォール勝ちしたあと、2回戦で今年のアジア選手権3位のロブシャン・ルジクロフ(ウズベキスタン)に黒星。しかし敗者復活戦で地元のカタール選手をフォールで下し、3位決定戦へ回り、今年のアジア・ジュニア選手権2位のアイベク・イェンセカノフ(カザフスタン)に2−1で粘り勝ちした。

 55kg級の豊田雅俊(警視庁)は、初戦で05年世界2位・今年世界3位の朴殷哲(パク・エウンチュル=韓国)を2−1で下す幸先いいスタートを切ったが、2回戦で今年のアジア選手権優勝のチャ・クワンス(北朝鮮)に0−2で敗れた。チャが決勝へ進めなかったため、敗者復活戦には回れなかった。

 この日で男子グレコローマンが終了。前日の60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)の金メダルとともに、「金1・銅2」を取り、前回大会の「金1・銅1」を上回った。

 各階級の成績は下記の通り(120kg級は、日本選手の派遣なし)


 ◎男子グレコローマン

 
【55kg級】豊田雅俊(警視庁)    8位=13選手出場

1回戦 ○[2−1(0-4,5-3,@-1)] PARK, Eun Chol(朴殷哲=韓国)

 《経過》第1ピリオドは0−0のあと、豊田のグラウンド攻撃は無得点。防御でフライングのミスをしるなどして0−4。第2ピリオドは豊田がスタンド戦で1点を取り、グラウンドの攻撃でうまく転がして5−0へ。防御ではリフト気味に投げられて3点を取られたが、5−3で勝ってタイスコアへ。第3ピリオドは0−0のあと、豊田のグラウンド攻撃は不発。しかし、防御で30秒を守り切り、世界3位の選手を破った。

2回戦 ●[0−2(1-2,0-5)] CHA Kwang Su(北朝鮮)

 《経過》第1、2ピリオドともスタンド戦は0−0でグラウンド勝負へ。第1ピリオドは豊田の攻撃だったが、フライング気味に立たれてしまい、残り時間のスタンドでの攻防で豊田が場外に押し出されてしまった。第2ピリオドは北朝鮮の攻撃でスタート。左右のローリングで回されて4点を失い、最終的に0−5で敗れた。

【1回戦第2P】リフトの体勢から相手を転がし、4点を挙げた。 【2回戦第2P】ローリング2回転を受け、痛恨の4失点

 【66kg級】飯室雅規(自衛隊)    3位=16選手出場

1回戦 ○[フォール、1P0:44(F3-0)] JASSIM, Abrahim(イラク)

 《経過》スタンドの攻防で飯室が仕掛け、テークダウンを奪ってそのままフォールへ持ち込んだ。

2回戦 ●[0−2(TF0-6=1:23,1-1)] RUZIKULOV, Rawshan(ウズベキスタン)

 《経過》スタンド戦は第1、2ピリオドとも0−0。第1ピリオド、グラウンドの攻撃権を得た飯室だが無得点。守りでは低く投げられ、バック投げを受けて0−6とされてしまった。第2ピリオドのグラウンド攻防はともにポイントがなく、最後に守ったウズベキスタンの手が上がった。

敗者復活戦 ○[フォール、1P1:17(F5-0)] KHAN, Jafar(カタール)

 《経過》0−0のあと、グラウンドの攻撃権を取った飯室は豪快な俵返しを決め、そのままフォールした。

【1回戦第1P】テークダウンを奪い、そのままフォール。 【2回戦第2P】最後の必死の攻撃も通じず、無念の黒星。 【敗復戦第1P】豪快な俵返しから、一気にフォールへ。

3位決定戦 ○[2−1(0-3,2-1,3-0)] YENSEKHANOV, Aibek(カザフスタン)

 《経過》第1ピリオドは0−0のあと、グラウンドの守りとなった飯室が相手の脚をつかんで防御したとして2点を取られ、0−3で落とすスタート。第2ピリオドも胴タックルで1点を先制され、苦しい展開となったが、飯室はグラウンドの防御を守り切って1−1へ。自らの攻撃の時に相手に立ち上がられて万事休すかと思えわれたが、ラスト10秒にタックルを決め、2−1としてタイスコアへ。

 決勝の第3ピリオドは、相手の度重なるヘッドバットに警告が課せられ、飯室が1点を先制。グラウンドの攻撃ではラスト5秒にローリングを決めて2−0とし、最後の防御を守り切って3−0とし、粘り勝ちした。

【3位決定戦第1P】ついうっかり相手の脚にさわって警告。 【3位決定戦第2P】ラスト10秒、値千金の胴タックルを決める。 【3位決定戦第3P】度重なる相手のバッティング。 【3位決定戦第P】1−0のあと、ローリングで勝利を近づけた


【3位決定戦第3P】ラスト十数秒、必死に守った。 【3位決定戦第3P】試合終了と同時にガッツポーズ。 【表彰式】満面の笑みで応援団にVサイン。 【表彰式】うれしさいっぱいの表情で銅メダルを掲げる。

 【84kg級】松本慎吾(一宮運輸)     3位=13選手出場

1回戦 ●[1−2(0-3,1-1,0-3)] KIM, Jung Sub(金正變=韓国)

 《経過》第1、2ピリオドはともにスタンド戦が0−0でグラウンド勝負。第1ピリオド、後に守った松本はローリングを受けてしまい、0−3と先取された。第2ピリオドはともに技が決まらず、1−1のラストポイントで松本。

 ピリオドスコア1−1となったあとの第3ピリオドは、スタンド戦で松本が積極的に攻め、両差しを決めたが、詰めを誤ってバッグを取られて0−1。グラウンドの守りになっても返されてポイントを奪われてしまった。

敗者復活戦 ○[フォール、2P1:00(1-@,F4-0)] GHALIAH, Salah(シリア)

 《経過》第1ピリオドは0−0のあと、グラウンド攻撃でもお互いにポイントがなく、後で守ったシリア選手がこのピリオドを先制。第2ピリオド、松本は組み合った体勢からテークダウンを奪い、そのままフォールへ持ち込んだ。

【1回戦第3P】両差しの体勢をつくりながら、痛恨の失点。 【敗復戦第2P】フォールで勝って銅メダル獲得へ望みつなぐ。

3位決定戦 ○[2−0(1-1,1-1)] DOKTURISHIVIL, Alexander(ウズベキスタン)

 《経過》第1、2ピリオドともスタンド戦は0−0。コイントスはともに松本に上がり、ともに攻撃でポイントは取れなかったが、防御でもポイントを許さず、2ピリオドともラストポイントで取った松本の手が上がった。

【3位決定戦第1P】1点をめぐる攻防が最初から続いた。 【3位決定戦第1P】松本のグラウンド攻撃は不発。 【3位決定戦第2P】2度目のグラウンド攻撃も爆発せず 【3位決定戦第2P】立たれた相手と必死の攻防。


【3位決定戦第2P】最後の防御。30秒を守れば銅メダル。 【3位決定戦第P】試合終了。松本の顔に笑みが浮かんだ。 【3位決定戦第P】審判に挨拶したあと、応援席にガッツポーズ。 【3位決定戦第P】2大会連続でのメダル獲得。


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