小島豪臣(周南システム産業)が銀、田岡秀規(自衛隊)が銅…ドーハ・アジア大会最終日【2006年12月15日】







 アジア大会のレスリング競技最終日は12月14日、カタールの首都ドーハのアスパイアー・ホールで男子フリースタイル4階級が行われ、66kg級の小島豪臣(周南システム産業)が銀メダル、55kg級の田岡秀規(自衛隊)が銅メダルを獲得した。84kg級の松本真也(日大)は3位決定戦で敗れ、5位に終わった。

 小島は初戦で今年の世界ジュニア選手権3位のノルズベク・ベレコフ(キルギスタン)を2−0で下したあと、2回戦で04年アテネ五輪4位のレオニード・スピリドノフ(カザフスタン)に第3ピリオドのラスト2秒で逆転勝ちする殊勲。準決勝で今年の世界選手権13位のスシル・クマール(インド)を後がない状況から逆転フォールで勝ちし
(左写真)、決勝進出を決めた。

 決勝では前回の2002年釜山大会王者で05年アジア選手権でも優勝している白鎮国(韓国)の独特のローシングル(低い片足タックル)を防げず、0−2で敗れた。

 田岡は初戦で地元のカタール選手を破ったあと、2回戦で03・05年世界チャンピオンのディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)に0−2で黒星。しかし敗者復活戦でフィリピン選手をフォールで下した。3位決定戦は今年世界8位のタギ・ダダシ(イラン)に2−1で破った
(右写真)

 松本はモンゴル選手、パキスタン選手を連破して準決勝へ進出したが、今年世界3位のレザ・ヤズダニ(イラン)に0−2で黒星。昨年世界3位のマゴメド・クルグリエフ(カザフスタン)との3位決定戦も0−2で敗れ、メダルに手が届かなかった。

 男子フリースタイルは「銀1・銅1」に終わり、3大会連続で金メダルこそなかったものの、1998年バンコク大会と2002年釜山大会の「銀1個」より前進した。

 各階級の成績は下記の通り(120kg級は、日本の派遣なし)


 ◎男子フリースタイル

 【55kg級】田岡秀規(自衛隊)    3位=15選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0、TF6-0=1:34] GOWDOOEI, Hussain(カタール)

 《経過》第1ピリオド、田岡が14秒と1分4秒に相手を場外に出して2−0。第2ピリオドも3度タックルを決めた後、足払いで3点を取ってテクニカルフォール。

2回戦 ●[0−2(0-1,0-2)] MANSUROV, Dilshod(ウズベキスタン)

 《経過》第1ピリオドは一進一退で、コイントスかと思われたラスト5秒にマンスロフが仕掛け、田岡は片足タックルで場外に出されて1点を失った。第2ピリオドは中盤に片足タックルとアンクルホールドで1点ずつ取られ、0−2とされた。

敗者復活戦 ○[フォール、2P0:45(TF6-0=1:28,F3-0)] ANGANA, Jerry(フィリピン)

 《経過》第1ピリオドは田岡が1点を取り、さらにテークダウンを奪う。そこからアンクルホールドを連続で決めて6−0とした。第2ピリオドは足払いで倒し、そのままフォール勝ちした。

【1回戦第2P】田岡は片足タックルで攻めて3−0とする。 【2回戦第1P】ラスト5秒、マンスロフは片足タックルで1点。 【2回戦第2P】マンスロフに一本背負いを仕掛けたが不発。 【敗復戦第2P】豪快な足払いでフォール勝ち。

3位決定戦 ○[2−1(3-0,0-1=2:06,1-0)] DADASHI, Taghi(イラン)

 《経過》第1ピリオド50秒、田岡は飛行機投げを仕掛け、片足タックルへ移行して1点を先制。中盤、タックルで入られて背後に回られたものの、必死になって粘り、相手の足が先に場外に出て1点。ラスト20秒にも組み合ってから相手を場外に出して3−0とした。第2ピリオドは0−0のあと、コイントスで負けた田岡が1点を取られた。

 決勝の第3ピリオド、50秒に田岡が片足首を取る低いタックルで1点を取り、この最小ポイントを残り1分10秒、足技を使うなどして守り切り、銅メダルを引き寄せた。

【3位決定戦第P】飛行機投げから片足タックルに変えて先制。 【3位決定戦第1P】タックルに入られて背後に回られたが、動き回って相手の足を場外に出して1点。 【3位決定戦第2P】クリンチ脱出成功に見えたが1失点。


【3位決定戦第3P】中盤、片足タックルで貴重な1点。 【3位決定戦第P】3位を決め、遠慮がちにガッツポーズ。 【表彰式】8月のベログラゾフ国際大会に続く表彰台。次はマンスロフ(左)の壁越えが目標だ。

 【66kg級】小島豪臣(周南システム産業)    2位=16選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0,3-1)] BELEKOV, Noruzbek(キルギスタン)

 《経過》第1ピリオド開始20秒、左腕を差した小島がすくい投げのような技を仕掛けて1点を獲得。このポイントを守った。第2ピリオドは1点を先制したものの、1分33秒に同点へ。しかしブレークとなった6秒後、小島がタックルを受けてニアフォールへ追い込み、3−1として試合終了。

2回戦 ○[2−1(0-2,3-2,5-3)] SPIRIDONOV, Leonid(カザフスタン)

 《経過》1点を2度取られて第1ピリオドを落とした小島は、第2ピリオド、0−2の劣勢からラスト25秒、片足タックルを決め、ローリングで2点を加えて3−2と逆転。

 決勝の第3ピリオド、取って取られての1−1のあと、小島がタックルを決めて1点を取ったが、返されて2点を失う。すぐに小島がバックを取り返して3−3。ラスト2秒、小島はこん身の力をこめてローリングを決め、5−3として勝った。

【1回戦第2P】相手のタックルをかわしてフォールを狙う。 【2回戦第2P】ラスト20数秒、ローリングで逆転。 【2回戦第3P】終了2秒前、ローリングが決まって5−3へ。

準決勝 ○[フォール、3P0:47(0-2,2-0,F3-4)] MUMAR, Sushi(インド)

 《経過》第1ピリオド、小島は2度片足タックルを受けて0−2。第2ピリオドは開始20秒にがぶり返しを決め、この2点を守った。

 決勝の第3ピリオドは、片足タックルとローリングで開始17秒で0−3とされるピンチ。さらに片足タックルを決められ、ローリングを仕掛けられた。しかし小島は体を返して相手に乗り、そのまま押さえ込む。約10秒後、レフェリーの手がマットをたたいた。

【準決勝第2P】小島のがぶり返しが決まり、タイスコアへ。 【準決勝第3P】0−4と後のない状況から、相手のローリングに小島は体を預けた。そのままこん身の力をこめてフォールを狙った。 【準決勝第3P】逆転の決勝進出でガッツポーズ。

決 勝 ●[0−2(0-1.0-2)] BAEK, Jin Guk(白鎮国=韓国)

 《経過》第1ピリオド中盤、小島は片足タックルで1点を取られ、0−1。終盤、タックルを仕掛けて決まったかに見えたが無得点。第2ピリオドも同じようなタックルを2度受け、0−2で敗れた。

【決勝第1P】独特の低い片足タックルで1点を先制される。 【決勝第1P】終盤、タックルで攻めたが惜しくも無得点。 【決勝第2P】崩しがきいたが、ポイントにつながらず。 【決勝第2P】再度足首を狙うタックルに捕らえられた。


【決勝第P】3度目のローシングルがヘビのようにからみつく。必死に逃げる小島だが…。 【表彰式】日本応援席に向けて両腕でVサイン。 【表彰式】銀メダルを掲げてくれた。

 【84kg級】松本真也(日大)    5位=15選手出場

1回戦 ○[フォール、2P0:57(0-1,F6-0)] CHAGNAADORJ, Ganzorig(モンゴル)

 《経過》第1ピリオドの中盤、場外際で相手の攻撃を一度はこらえた松本だが、最後は場外へ出されて0−1。第2ピリオド、松本は片足タックルにいき、片足を取った状態から豪快に持ち上げてマットにったきつけた。いったんは逃げられそうになったものの、けさ固めへ移行してフォールを決めた。

2回戦 ○[2−0(5-0,1-0)] MAJEED, Usman(パキスタン)

 《経過》第1ピリオド中盤、正面タックルを決めた松本は、ローリングで2点を加え5−0。第2ピリオドも中盤、相手のタックルを受けて逆に場外へ出し、1−0とした。

準決勝 ●[0−2(3-8,TF0-5=1:45)] YAZDANI, Reza(イラン)

 《経過》第1ピリオド、松本はがぶられながらも、そこから飛行機投げのように返して3−0とした。しかし1分すぎにタックルを取られると、ローリング3回転を決められて3−7。投げ技の失敗でバックを取られて3−8とされた。第2ピリオドは終盤、豪快なタックルで5点を取られ、テクニカルフォール負け。

【1回戦第2P】片足タックルから持ち上げてマットにたたきつけた松本がフォール勝ち。 【2回戦第1P】開始早々に正面タックルで3点獲得。 【準決勝第2P】胴タックルで大きく投げられ5失点。

3位決定戦 ●[0−2(1-4,2-3)] KURUGLIYEV, Magomed(カザフスタン)

 《経過》松本は第1ピリオド、開始15秒にタックルを取られ、ローリングで0−3。場外際に追い込んだ相手に突進したが飛び越えて自らの足が場外に出てしまって1点を失った。ラスト18秒に1点を返したが1−4。第2ピリオド、見事なタックル返しを受けてしまい1−3。ラスト1秒に1点を取ったものの、そこまでだった。

【3位決定戦第1P】相手に尻もちをつかせたが、自分の足の場外が先だった。 【3位決定戦第1P】3点を追って積極的に攻めたが…。
【3位決定戦第2P】正面タックルを、待ってました、とばかりに返された。 【3位決定戦第2P】必死で攻めたが、力及ばず。



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