【特集】2005年世界選手権 華麗なる闘いの跡  サイキエフのアンクルホールド


 96年アトランタ五輪と04年アテネ五輪を含め、8度目の世界一に輝いたフリースタイル74kg級のブバイサ・サイキエフ(ロシア)。相手の動きに合わせた正確な技の指令が、次から次へと脳から出されている。

 世界中の科学者が集まっても、彼の脳を超えるコンピューターをつくることは不可能…。そう思わせるほどの華麗な技の流れ。「レスリングはパワーの勝負ではない」という思いを強くさせられるサイキエフのテクニックを紹介したい。

前、そして横から攻めるサイキエフ。普通なら右写真の体勢になったら右腕を抜いて背中に回すが、サイキエフは相手の左脚を取ってヒザをつかせる。 相手がひざをついたあと、やっと右腕を抜いてゴービハインドの体勢へ。この時、左腕で相手の右脚をつかみ、動きを制している。いつの間にか左脇で相手の左脚をがっちりロック。相手は身動きができない!

エビ固めを狙うサイキエフ。相手がそれを嫌って体を伸ばすのを待っていたかのように、アンクルホールドの組み手が完成。 かくて必殺技が爆発。相手がどんなに注意していてもかけることができる技こそが“必殺技”。理詰めの技の流れの末に爆発したサイキエフの必殺技だった。



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