2005年世界選手権 各階級見どころ


男子フリー 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
男子グレコ 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
女  子 48kg級 51kg級 55kg級 59kg級 63kg級 67kg級 72kg級

 【男子フリースタイル55kg級】

 
《ロシア》アテネ五輪王者のマブレット・バティロフ(写真左)は5月のアリ・アリエフ国際大会(ロシア)では60kg級に出場した。このまま階級をアップするか? 今年の欧州選手権へは01年世界3位のアレクサンダー・コントエフが出場して3位。ロシア最高レベルの大会とも言われる1月のヤリギン国際大会でも優勝している。

 
《米国》代表はシドニー五輪2位のサムエル・ヘンソン(本文参照)。1月のヤリギン国際大会(ロシア)3位、2月のセロ・ペラド国際大会(キューバ)優勝、3月のメドベジ国際大会(ベラルーシ)優勝と国際大会で成績を残している。

 
《キューバ》今年のパンアメリカン選手権はアンディ・モレノが優勝したが、02年世界王者でアテネ五輪13位のレネ・モンテロ(本文参照)が5月のアリ・アリエフ国際大会(ロシア)で優勝し、6月のウマハノフ国際大会(ロシア)で3位。世界選手権はやはりモンテロか?

 
《ウズベキスタン》03年世界王者で、アテネ五輪10位のディルショド・マンスロフ(本文参照)が、3月のワールドカップ(ウズベキスタン)60kg級4位、5月のアジア選手権(中国)優勝、6月のウマハノフ国際大会(ロシア)優勝と実力を見せている。世界選手権への出場も間違いないところ。

 
《その他(欧州)》ことしの欧州王者は02年世界2位のゲンナディ・チュルビア(モルドバ=本文参照)、欧州2位はアテネ五輪9位のラドスラフ・マリノフ(ブルガリア)

 
《その他(アジア)》アジア2位は初顔のヨン・ヒョンクク(北朝鮮=本文参照、写真右)。松永とともにアジア3位に入ったのは02年アジア・ジュニア選手権50kg級優勝のタキ・タダシ(イラン)。ユニバーシアード優勝はアテネ五輪12位のナランバータル・バヤラー(モンゴル)。アテネ五輪出場のバウルザン・オラズガリエフ(カザフスタン)は20歳の伸び盛りで、ことしの世界ジュニア選手権3位。松永が03年アジア選手権で負けている相手だ。


 【男子フリースタイル60kg級】

 
《キューバ》アテネ五輪王者のヤンドロ・ミゲル・クインタナ(写真左)は、3月のワールドカップでも優勝し、強さをキープ。優勝候補の最右翼だろう。

 
《ウクライナ》アテネ五輪の3位決定戦で井上が破ったバシル・フェドリシンが、2月のキエフ国際大会、4月の欧州選手権、8月のジオルコウスキ国際大会でいずれも優勝している。力を大きく伸ばしていることは間違いない。

 
《ロシア》4月の欧州選手権はアラン・デュダエフが出場して7位だが、1月のヤリギン国際大会、5月のアリ・アリエフ国際大会で優勝している。シドニー五輪王者でアテネ五輪10位のムラト・ウマハノフは活動していないようなので、デュダエフが出てくるか。

 
《イラン》アテネ五輪2位のマスード・モスタファ・ゴカードは、ことしは活動していない様子。3月のワールドカップ銅メダルのベフナム・タイェビ・カルマニ、5月のアジア選手権優勝のS・M・P・カルキ(写真右)、8月のユニバーシアード3位のアッバス・バグラルバギの誰かが出てくることが予想される。

 
《その他(欧米)》欧州選手権2位にほとんど無名だったディディエル・パイス(フランス)が入った。昨年欧州王者だったテフフィック7・オダバシ(トルコ)がユニバーシアード2位へ。米国代表のミカエル・ライトナーはこれといった実績を持っていない。

 
《その他(アジア)》04年アジア選手権優勝のリ・ヨンチョル(北朝鮮)が、ことしのアジア選手権でも2位へ。ソン・ヤエミュン(韓国)は5月のアジア選手権で5位に終わったが、03年世界3位の選手。


 【男子フリースタイル66kg級】

 
《ウクライナ》アテネ五輪王者のエルブラス・テデエフ(写真左)は、五輪後は活動してない様子。引退か休養のようだ。代わってアンドレイ・スタドニクが、ことしの2月のキエフ国際大会と3月のワールドカップで優勝し、欧州選手権で3位。実力はありそう。

 
《ブルガリア》アテネ五輪8位のセラフィム・バルザコフが欧州選手権で優勝している。01年の63kg級世界チャンピオンであり、03年は世界2位。世界トップレベルの選手だ。

 《ロシア》03年欧州・世界両チャンピオンのイルベク・ファルニエフは、1月のヤリギン国際大会で優勝したが、欧州選手権は9位に終わった。アテネ五輪3位のマハック・ムルタザリエフ
(写真右)は、6月のアリ・アリエフ国際で優勝し、結果を出した。国内代表争いはどうなるか? 

 
《米国》ケリー・ジャミルがアテネ五輪で銀メダルを取ったが、今年は休養のもよう。03年ワールドカップ優勝のクリス・ボノが代表として出てくる。1月のヤリギン国際大会、2月のセーロ・ペラド国際大会とも上位進出を逃している。一段落ちるか。

 
《その他(欧州)》欧州選手権2位はエルマン・アスガロフ(アゼルバイジャン)、同3位にアルバート・バティロフ(ベラルーシ)が入っている。

 
《その他(アジア)》アジア選手権優勝はバク・ジンクク(韓国)。池松がアテネ五輪で勝ち、アジア選手権で負けた相手。イランは03・04年アジア選手権で池松が1勝1敗のハサン・タフマセビがワールドカップで2位になっているが、H・モハマド・ネヤドがアジア選手権で2位になっている。シドニー五輪王者でアテネ五輪出場のアリ・レザ・ダビールも28歳だけに、まだ引退ではないだろう。誰が出てくるか。

 
《その他(中南米)》03年世界ジュニア王者のジーンドライ・ガルゾン・カバレロ(キューバ)がパンアメリカン王者に輝いた。


 【男子フリースタイル74kg級】

 
《ロシア》ブバイサ・サイキエフ(写真左)が圧倒的な強さ(本文参照)。95・97・98・01・03年に続いて6度目の世界選手権優勝を狙ってくるだろう。

 
《カザフスタン》シドニー五輪4位、アテネ五輪2位のゲンナディ・ラリエフが出てくるか? 小幡は2002年アジア大会で3−1で勝っている。

 
《中国》アジア選手権で優勝したシ・リグレング(棋日古楞)が急成長している。03年世界選手権は15位で、アテネ五輪予選を勝ち抜けなかった選手だが、その頃の実力と思ったら、しっぺ返しをくらうだろう。

 
《米国》ワールドカップ4度優勝のジョー・ウィリアムズが代表。アテネ五輪は5位。今年は1月のヤリギン国際大会で優勝したが、ワールドカップは3位。巻き返しなるか。

 
《キューバ》アテネ五輪3位のイワン・フンドラ・ザルディバールが、今年3月のワールドカップと4月のパンアメリカン選手権で優勝したが、5月のアリ・アリエフ国際大会3位、6月のウマハノフ国際大会2位と圧倒的な強さはない。小幡はアテネ五輪で敗れたリベンジをしたいところ。

 《ブルガリア》2001年の69kg級世界チャンピオンのニコライ・パスラー(写真右)が、ことしの欧州選手権で優勝。7月のベログラゾフ国際大会では2位。身長の低い選手だが(160cm)、実力は十分。

 
《その他》シドニー五輪69kg級王者のダニエル・イガリ(カナダ)は不出場。代わって出るカナダの選手はそれほどの実績はない。アジア選手権2位のソスラン・テギエフ(ウズベキスタン)、アジア選手権3位でユニバーシアード優勝のハディ・ハビビ(イラン)、アテネ五輪4位でユニバーシアード2位のクリスチアン・ブルゾゾウスキ(ポーランド)あたりが要注意か。


 【男子フリースタイル84kg級】

 《米国》アテネ五輪優勝のカエル・サンダーソンは休養。代わって新顔のムハメド・ローワルが出場する。五輪V2のジョン・スミスのオクラホマ州立大での教え子で、ことしのデーブ・シュルツ国際大会で2位に入ったのが目立つ程度の選手。どのくらいやるか?

 
《ロシア》アテネ五輪3位のサジド・サジドフ(写真左)が、3月のメドベジ国際大会、5月のアリ・アリエフ国際大会で優勝。ナウラス・テムレゾフが1月のヤリギン国際大会で優勝。4月の欧州選手権で3位になり、8月のジオルコウスキ国際大会で2位。どちらが出てくるか?

 
《ウクライナ》アテネ五輪7位のタラス・ダンコが2月のキエフ国際大会、4月の欧州選手権、8月のジオルコウスキ国際大会にいずれも優勝と絶好調。

 
《キューバ》アテネ五輪4位のヨエル・ロメロが、3月のワールドカップで優勝。その後も5月のアリ・アリエフ国際大会2位、6月のウマハノフ国際大会優勝と力をキープしている。

 
《イラン》アジア選手権優勝のサイド・エブラヒミ(写真右)は初顔だが、3月の地元のタクティカップでも優勝し、8月のジオルコウシキ国際大会でも山本を破るなどして3位に入っている。世界選手権にも出てきそうだ。それともワールドカップ3位のフェリドン・ガンバリピサールか、アテネ五輪5位のマジッド・コダエイか。

 
《韓国》アテネ五輪2位のムン・エウイヤエは、ことしはまだ活動していないもよう。アジア選手権に出てきたパク・ミンジンは同大会の初戦でイラク選手に敗れている。


 【男子フリースタイル96kg級】

 
《ロシア》アテネ五輪王者のカジムラド・ガチャロフ(写真左)は今年初めから活動を再開し、欧州選手権3位へ。03・04年の欧州チャンピオンであり、地力は十分。欧州選手権でエルダリ・クルタニーゼ(グルジア)につまずいたとはいえ、世界選手権の優勝候補だろう。

 
《グルジア》アテネ五輪はイラン選手に惜敗して上位入賞を逃したが、02・03年世界王者のエルダリ・クルタニーゼ(写真右)が4月の欧州選手権でも優勝。日本のプロ格闘技団体からのオファーもうわさされた選手だが、レスリングを続けるもようで、優勝候補の最右翼といえるだろう。

 
《米国》アテネ五輪4位のダニエル・コーミエーが代表。1月のロシア最高レベルの国際大会のヤリギン国際大会で優勝し、3月のワールドカップ2位など精力的に活動している。

 
《その他(欧州)》3月のワールドカップ1位のバシリ・テスメネチキ(ウクライナ)は優勝を狙える実力はある。中央アフリカから国籍を変えたビンセント・アカアケシー(フランス)は欧州選手権と地中海大会でともに2位と力をつけている。

 
《その他(パンアメリカン)》マイケル・バティスタ(キューバ)がパンアメリカン王者の肩書きを引っさげて出場しそう。

 
《その他(アジア)》昨年のアジア王者でアテネ五輪2位のマゴメド・イブラギモフ(ウズベキスタン)が出てくれば上位に食い込みそう。イランはアテネ五輪3位のアリレザ・ヘイダリか、ことしのアジア王者のセフィ・ハミフか。アジア3位のク・タエヒュン(韓国)はユニバーシアードでも3位に食い込んだ。


 【男子フリースタイル120kg級】

 
《ウズベキスタン》03年の世界王者でありアテネ五輪金メダリストのアーチュー・タイマゾフ(写真左)は、北京五輪を目指すことを明言している。3月の地元開催のワールドカップには出てこなかったが、6月のウマハノフ国際大会に出場して優勝。世界選手権出場の可能性が高くなった。

 
《ロシア》97kg級時代に世界王者に輝き、アテネ五輪は6位だったクラマゴメド・クラマゴメドフは、1月のヤリギン国際大会、4月の欧州選手権、5月のアリ・アリエフ国際大会でそれぞれ優勝。絶好調だ。

 
《トルコ》昨年の欧州チャンピオンでありアテネ五輪3位のアイディン・ポラチは、6月の地中海大会優勝で活動を開始。

 
《ウクライナ》96kg級で闘っていたバディム・タソエフが階級アップし、2月のキエフ国際大会優勝、4月の欧州選手権2位、8月のジオウルコウスキ国際大会優勝と力をつけている。

 
《イラン》アテネ五輪2位のアリレザ・レザエイは、5月のアジア選手権では2位に終わっている。巻き返しなるか?

 
《カザフスタン》アテネ五輪4位のマジッド・ムタリモフ(写真右)は、5月のアジア選手権、7月のベログラゾフ国際大会でそれぞれ優勝と力をキープ。

 
《キューバ》03年に行なわれた無差別級世界最強トーナメントで優勝しアテネ五輪5位のアレクシス・ロドリゲスは、3月のワールドカップで優勝。力をキープしている。


 【男子グレコローマン55kg級】

 《ハンガリー》アテネ五輪金メダルのイストバン・マヨロス(写真左)は、8月のピトラスニスキ国際大会に出場して2位。五輪王者とはいえ、それまでは、00年欧州王者があるくらいで、ずば抜けた成績を残していたわけではない。地元の世界選手権でどこまでやるか。

 《ロシア》アテネ五輪2位のガインダー・マメダリエフは、7月のポッディブニ国際大会に出場して優勝。2月のワールドカップと4月の欧州選手権にはビクトル・コラブレフが出て、5位と優勝。どちらが出てくるか。

 《イラン》01年の54kg級世界王者でアテネ五輪9位のハッサン・ラングラスが、2月のワールドカップで優勝、8月のユニバーシアードで2位と好調。

 《北朝鮮》04年アジア5位のチャ・クワンス(写真右)が、5月のアジア選手権で優勝と力を伸ばした。8月のユニバーシアードはリ・キョンイルが勝っている。どちらが出てきても、軽量級王国の復活なるか注目される。

 《キューバ》99年の54kg級世界王者で、シドニー五輪2位、アテネ五輪5位のラザロ・リバス・スカルが、2月のワールドカップ2位、グランマ国際大会2位のあと、4月のパンアメリカン選手権優勝。何とか力をキープしている。

 《その他》欧州選手権3位に、イボ・アンゲロフ(ブルガリア)と昨年の欧州王者のバイラム・オエズデミール(トルコ)が入っている。アジア2位にはイム・ダエヲン(韓国)で、3月のハンガリー・グランプリなどで優勝している。


 【男子グレコローマン60kg級】


 
《ブルガリア》96年アトランタ五輪・00年シドニー五輪のほか、02・03年世界王者のアルメン・ナザリアン(写真右=本文参照)が出場してきそう。

 
《ロシア》アテネ五輪4位のアレクセイ・シェフチョフが、2月のワールドカップと4月の欧州選手権でそれぞれ3位。8月のピトライスニスキ国際大会では決勝で笹本を破って優勝。

 
《アゼルバイジャン》アテネ五輪代表のバイタリ・ラヒモフが4月の欧州選手権で優勝。7月のポッディブニー国際大会でも勝っている。

 
《韓国》アテネ五輪優勝のユン・イヒュンは、8月のユニバーシアードでは66kg級へ出場して2位へ。このまま1階級アップか。その場合は02年アジア大会王者で03年世界選手権代表のカン・キュンイルが出てくるか。

 
《イラン》アテネ五輪代表のアリ・アショカニ・アグボロアグが、5月のアジア選手権と8月のユニバーシアードで優勝し好調をキープ。

 
《カザフスタン》03年世界ジュニア王者でアテネ五輪代表のヌルバキット・テンギズバエフが、2月のワールドカップ2位、5月のアジア選手権3位へ。

 
《キューバ》アテネ五輪2位のロベルト・モンゾン・ゴンザレスが、2月のワールドカップとグランマ国際大会、4月のパンアメリカン大会で優勝。8月のユニバーシアードでは3位。


 【男子グレコローマン66kg級】

 《アゼルバイジャン》アテネ五輪優勝のファリド・マンスロフ(写真左)が7月のポッディブニ国際大会に出場して優勝した。23歳という年齢からして、さらに強くなっている可能性が大きい。

 《トルコ》63kg級時代に世界王者になったこともあるアテネ五輪2位のセレフ・エログルが現役を続行。3月のハンガリー・グランプリとポーランド・オープンで連続優勝したが、4月の欧州選手権は上位進出ならなかった。どこまでやるか。

 《スウェーデン》02年世界王者でアテネ五輪4位のジミー・サミュエルソンが、4月の欧州選手権で5位、8月のピトライスニスキ国際大会で2位へ入っている。

 《キューバ》2月のワールドカップ3位、グランマ国際大会優勝のアライン・ミリアンが、4月のパンアメリカン選手権で優勝。5月のドイツ・グランプリでも勝った。世界でも上位を狙えそう。

 《韓国》5月のアジア選手権優勝のユン・タエキュン(写真右)は、シニアでは初顔。3月のポーランド・オープンでは2位に入っていた。世界の舞台でも力を発揮できるか。

 《その他(欧州)》4月の欧州選手権は、優勝=ニコライ・ゲルゴフ(ブルガリア)、2位=クリスチャン・フェツァー(ドイツ)、3位=モイセス・サンチェス(スペイン)セルゲイ・コバレンコ(ロシア)と、これまでにさしたる実績のない選手が並んだ。ロシアは02年世界軍隊王者のセルゲイ・クンタレフが2月のワールドカップで優勝しているが…


 【男子グレコローマン74kg級】

 《ウズベキスタン》昨年のアジア王者でアテネ五輪金メダルのアレクサンダー・ドツリシビルは、その後、活動をしていない。休養の可能性が高いが…・

 《ロシア》シドニー五輪63kg級の金メダリストで、02年世界王者、アテネ五輪3位のバルテレス・サモウルガシェフは、2月のワールドカップで2位。欧州選手権には03年欧州・世界王者のアレクセイ・グロウシュコフが出場したが、21位と低迷。どちらが出てくるか。

 《トルコ》アテネ五輪60kg級8位のセレフ・ツエフェンクが2階級アップし、8月のユニバーシアードで優勝した。世界選手権はどうか。

 《その他(アジア)》アテネ五輪代表のダニアル・コバノフ(キルギスタン)が5月のアジア選手権で優勝。なりをひそめていた98年世界王者のバクチュール・バイセイトフ(カザフスタン)が、5月のアジア選手権で2位へ。

 《その他(欧州)》欧州選手権の優勝は、モブセス・カラペチャン(アルメニア)、2位はバレン・マリノフ(ブルガリア)で、これまでさほどの実績のない選手。2月のワールドカップ優勝は、昨年欧州2位のバシリ・ラディバ(ウクライナ)。

 97年世界王者でアテネ五輪2位のマルコ・イルハンヌクセラ(フィンランド)、アトランタ五輪とシドニー五輪76kg級の金メダリストでアテネ五輪代表のフィリベルト・アスクイ・アギレラ(キューバ)は、その後活動をしていない。年齢からして、ともに引退か?


 【男子グレコローマン84kg級】

 アテネ五輪2位のアラ・アブラハミアン(スウェーデン)は、今年は休養のもよう。五輪V2(アトランタ五輪・シドニー五輪)でアテネ五輪4位のハムザ・イェルリカヤ(トルコ)は96kg級へアップ。実績のある強豪が抜けている。

 
《ロシア》アテネ五輪金メダルのアレクセイ・ミシン(写真左)が、4月の欧州選手権でも優勝。強さをキープしている。

 
《キューバ》アテネ五輪には出場できなかったものの、99年世界王者のルイス・エンリケ・メンデスが2月のワールドカップとグランマ国際大会、4月のパンアメリカン選手権、6月のドイツ・グランプリでいずれも優勝。絶好調だ。

 
《その他(アジア)》5月のアジア選手権の優勝はキム・インサブ(韓国=写真右)。3月のポーランド・オープンでも優勝している。アテネ五輪代表で同3位のヤナルベク・ケンナエフ(キルギスタン)が、7月の世界ジュニア選手権で優勝している。

 
《その他(欧州)》4月の欧州選手権2位のセルカン・オエズデン(トルコ)は6月の地中海選手権はエジプト選手に負けている。同3位のライマティス・アドマイティス(リトアニア)は、7月の世界ジュニア選手権は22位に低迷。いずれも圧倒的な強さがない。


 【男子グレコローマン96kg級】

 アテネ五輪までの世界トップ選手のかなりの選手が、五輪後、活動をしていないもよう。新旧交代の激しい階級のひとつで、世界選手権の優勝を争うような、そう多くは選手が読み切れない。

 
《エジプト》アテネ五輪を圧勝したイブラヒム・カラム・ガベール(写真左)が、5月のアフリカ選手権、6月の地中海選手権でも優勝した。相変わらずの強さを見せるか。

 
《トルコ》84kg級などで五輪2度(96年アトランタ・00年シドニー)優勝しているハムザ・イェルリカヤが、4月の欧州選手権で優勝。1階級アップして闘うようで、6月のドイツ・グランプリでも優勝した。世界選手権でも優勝戦線に加わる可能性は十分。

 
《カザフスタン》マルグラン・アセムベコフが5月のアジア選手権と8月のユニバーシアードで優勝。かなり力をつけている。

 
《その他》4月の欧州選手権では、2位がジミー・リンドバーグ(スウェーデン)、3位がディミトリ・ティムチェンコ(ウクライナ)とミンダウガス・エゼルスキス。ロシアは誰が出てくるか全く読めない。


 【男子グレコローマン120kg級】

 《ロシア》03年の世界王者でアテネ五輪金メダルの
ハサン・バロエフは、その後活動をしていない。ことしは休養か。

 
《カザフスタン》アテネ五輪2位のゲオルギ・ツルツミヤ(写真左)は、5月のアジア選手権で昨年に続いて優勝。7月のポッディブニ国際大会で勝っており、世界一を目指せる実力をキープしている。

 
《トルコ》アテネ五輪代表のイェクタ・イルマスが、4月の欧州選手権2位、8月のユニバーシアード2位と力をキープ。

 
《キューバ》アテネ五輪5位のミヤイン・ロペス・ヌネスが、2月のワールドカップとグランマ国際大会、4月のパンアメリカン選手権、6月のドイツ・グランプリ、8月のユニバーシアードにそれぞれ優勝と元気いっぱい。

 
《米国》シドニー五輪王者のルーロン・ガードナーの引退した米国からは、02年世界王者のドレミエル・ベイヤーズが出てくる。ことしは1月のデーブ・シュルツ国際大会、3月のポーランド・オープンで優勝と好調。

 
《イラン》アテネ五輪4位のサジド・バルジが、2月のワールドカップこそ6位だったものの、5月のアジア選手権で3位と精力的に活動。

 
《その他(欧州)》欧州選手権優勝はセルゲイ・アーチュキン(ベラルーシ)。ここ2年は主だった活躍はなかったが、02年世界軍隊2位の選手。ベテランのミリアニ・ギオルガーゼ(グルジア)が欧州選手権で3位へ。


 【女子48kg級】

 アテネ五輪金メダリストのイリナ・メルニク(ウクライナ)は51kg級へ出場する可能性が高く、銀メダリストの伊調千春は不出場、銅メダリストのパトリシア・ミランダ(米国)は引退。オリンピックの上位3選手が出場しない本命不在の階級となった。

 
《中国》01年ワールドカップ51kg級3位だったレン・シュチェン(写真左)が48kg級へ落とし、5月のアジア選手権で坂本真喜子を破って優勝した。世界選手権でも力を発揮するか。

 
《ロシア》03年世界チャンピオンでアテネ五輪5位のラリッサ・オーザクが、5月の欧州選手権、7月の世界ジュニア選手権、8月の欧州ジュニア選手権と優勝し、優勝づいている。1月のヤリギン国際大会で坂本真喜子に敗れているので、リベンジを狙ってくるだろう。

 
《ウクライナ》5月のワールドカップに出場したアレクサンドラ・コハトが、その後、7月の世界ジュニア選手権で優勝し、8月のユニバーシアードで3位に入っている。どのくらい成長しているか。

 
《米国》03年51kg級世界3位のジェニー・ウォンが階級を落として出場してくる。新たな階級でどんな闘いを見せるか。

 
《カナダ》常連のキャロル・ヒュンが2月のデーブ・シュルツ国際大会、3月のクリッパン国際大会、8月のユニバーシアードでいずれも優勝と好調。


 【女子51kg級】

 
《ウクライナ》アテネ五輪48kg級の金メダリストで、同級の世界選手権を3度制しているイリナ・メルニク(写真左)が51kg級へアップし、欧州選手権とユニバーシアードで優勝した。2月のキエフ国際大会は48kg級で勝っているので、48kg級への出場も予想されるが、2つのビッグ大会を制したことで51kg級での世界一挑戦の可能性の方が高いだろう。

 
《米国》2001年世界選手権で坂本日登美と決勝を戦ったステファニー・ムラタが代表。坂本は昨秋のワールドカップ、今年1月のヤリギン国際大会でも勝っており、通算3戦無敗。

 
《ロシア》ナタリア・スミルノバが欧州選手権とワールドカップで2位に入っており、世界選手権への出場も有力視される。

 
《カナダ》1999年世界選手権51kg級で山本聖子と決勝を争ったエリカ・シャープが代表。3月のミロン・トロフィー大会、6月のオーストリア女子国際大会、8月のポーランド女子国際大会と優勝を重ねており、調子を上げている。

 
《ドイツ》2002年48kg級世界チャンピオンのブリジット・ワグナー(写真右)が今年は51kg級で戦っている。1月のヤリギン国際大会では坂本日登美に敗れて3位だが、翌3月のショーブ女子国際大会で優勝するなど力はある。

 
《フランス》2001年世界ジュニア選手権54kg級優勝のバネッサ・ボブレムが3月のクリッパン国際大会で優勝し、欧州選手権3位、ワールドカップ3位、地中海大会で優勝と力をつけている。
 


 【女子55kg級】

 《ロシア》03年世界チャンピオンでアテネ五輪は国内での所属をめぐるトラブルで出場できなかったナタリア・ゴルツ(写真左)が、1月のヤリギン国際大会、2月のキエフ国際大会、4月の欧州選手権でそれぞれ優勝。5月のワールドカップは2位だったが、8月のワルシャワカップで優勝と好調。

 《フランス》アテネ五輪3位のアンナ・ゴミスが、4月の欧州選手権2位、5月のワールドカップ3位とコンスタントにいい成績を残している。

 《カナダ》アテネ五輪銀メダルのトンヤ・バービックが、7月のカナダカップで優勝し、ユニバーシアードでも2位に入った。

 《米国》02・03年世界2位のティナ・ジョージ(写真右)が代表へ復帰。2月のデーブ・シュルツ国際大会、3月のクリッパンン国際大会とミロン・トロフィー大会優勝、5月のワールドカップは5位と低迷したが、まだ力は残っているだろう。

 《中国》04年にアジア選手権とワールドカップの59kg級で優勝したス・リフイが1階級ダウン。5月のアジア選手権は吉田沙保里に敗れたが、今回は?

 《ノルウェー》世界V3のグドルン・ホイエが現役続行。6月のオーストリア・オープンは59kg級で優勝、8月のワルシャワカップは55kg級で3位。どちらの階級に出てくるか?


 【女子59kg級】

 《米国》03年世界3位・ワールドカップ優勝のサリー・ロバーツ
(写真左)が代表。1月のヤリギン国際大会と2月のデーブ・シュルツ国際大会優勝 5月のワールドカップ2位。3月のクリッパン国際大会では西牧未央に敗れて2位。

 
《スウェーデン》アテネ五輪55kg級4位のイダ・テレス・カールソンが、04年に続いて今年の欧州選手権でも優勝。力をキープしている。

 
《イタリア》アテネ五輪55kg級代表のディレッタ・ジアンピッコロが、3月のメドベジ国際大会優勝、4月の欧州選手権3位、6月の地中海選手権優勝と力をつけている。

 
《ノルウェー》世界V3のグドルン・ホイエが現役続行。6月のオーストリア・オープンで優勝している。8月のワルシャワカップは55kg級で3位。どちらの階級出てくるか?

 《韓国》04年アジア選手権2位のキム・ヒヨン(写真右)が、5月のアジア選手権で優勝と、力をつけている。


 【女子63kg級】

 《米国》アテネ五輪2位のサラ・マクマン(写真左)が代表。交通事故などのトラブルを乗り越えて代表権を獲得した。国際大会はアテネ五輪以来となるが、力をどの程度キープしているか。

 
《ポーランド》03年欧州チャンピオンのモニカ・エバ・ミチャリクが、4月の欧州選手権で2年ぶりのチャンピオンへ。

 
《ウクライナ》アテネ五輪6位のオルガ・キルコが、4月の欧州選手権2位、8月のユニバーシアード2位と力をつけた。

 
《中国》01年62kg級世界チャンピオンでアテネ五輪代表のメン・リリが、アジア選手権で3位。

 
《オーストリア》アテネ五輪出場を逃したが、世界V5のニコラ・ハートマンが6月のオーストリア・オープンで優勝、7月のカナダカップで2位。

 《ロシア》2002年59kg級世界チャンピオンのアレナ・カルタショバ
(写真右)が1月のヤリギン国際大会に優勝しているが、欧州選手権は8位と低迷。01年56kg級世界2位のリュドフ・ボロソバはヤリギン国際大会2位、2月のキエフ国際大会優勝、誰が出てくるか読めない。



 【女子67kg級】

 《ウクライナ》02年世界チャンピオンのカテリナ・ブルミストロバ(写真左)が、昨年に続いて欧州チャンピオンへ。5月のワールドカップでも3位に入った。

 
《ロシア》04年ワールドカップ優勝のエレナ・ペレペルキナが、1月のヤリギン国際大会優勝、5月の欧州選手権で2位へ。

 
《米国》03年世界チャンピオンで5月のワールドカップ優勝のクリスティ・マラノは不出場。01年ワールドカップ優勝、04年同5位のキャサリン・ドーイングが代表。ことしは2月のデーブ・シュルツ国際大会と2月のショーブ国際大会で優勝など。

 
《フランス》元世界チャンピオンでアテネ五輪63kg級3位のリセ・ゴリオットが現役を続行。4月の欧州選手権3位、5月のワールドカップ2位。まだ実力はありそう。

 《中国》04年ワールドカップ3位のジン・ルイシュ
(写真右)が、5月のアジア選手権優勝。


 【女子72kg級】

 《中国》アテネ五輪金メダルのワン・シュは出てくるか? 5月のアジア選手権は03年67kg級世界7位のワン・チアオ(写真左)が出場して優勝した。


 《ドイツ》アテネ五輪6位のアニータ・シャツルが、1月のヤリギン国際大会、3月のクリッパンン国際大、4月の欧州選手権、7月のカナダカップでそれぞれ優勝と、好成績を残している。

 
《ロシア》アテネ五輪には出場できなかったが、常連ともいえるスベトラーナ・マルチネンコが、4月の欧州選手権で2位に入った。5月のワールドカップはユリア・バルトノブスカヤが出ており、誰が出場するかは不明。

 
《ウクライナ》アテネ五輪4位のスベトラーナ・サヤエンコが、4月の欧州選手権5位と不調だったが、5月のワールドカップは2位へ。

 《カナダ》世界V6のクリスチン・ノードハーゲンは休養。04年ワールドカップ2位のオヘネワ・アクフォが代表で1月のデーブ・シュルツ国際大会、3月のミロン・トロフィー大会優勝。8月のユニバーシアードで優勝している。

 
《米国》03年世界2位でアテネ五輪代表のトッカラ・モンゴメリは休養で、アイリス・スミスが代表。5月のワールドカップは3位だった。