【特集】世界王者と善戦! 射程距離にとらえた!…フリー55kg級・松永共広



 予備戦 ○[2−0(4-0,1-0)] ANIL KUMAR(インド)
 1回戦  ○[2−0(2-0=2:10,2-0)] ENKHTUR BADAMSAIKHAN(モンゴル)
 準決勝 ●[0−2(0-1,1-@last] DILSHOD MANSUROV(ウズベキスタン)
 3決戦  ○[フォール2P1:41(1-0,4-3=1:41)] KIM JONG DAE(韓国)

 アテネ五輪銅メダリスト田南部力の後継者、フリースタイル55kg級の松永共広(ALSOK綜合警備保障)は、2003年世界チャンピオンのディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)に敗れたものの、3位決定戦を勝って銅メダルを獲得した。

 しかし満足感はない。「今の自分の実力どおりの結果です。体力が劣っていることが分かり、見合ってしまって自分から追い込むことができなかった。課題がたくさん出てきました」と、まだアジア一になる力はないことを認識。「国内(明治乳業杯全日本選抜選手権)で勝って、世界選手権までに課題を克服していい成績を残したい」と、さらなる飛躍へ向けての気持ちが十分。

 準決勝のマンスロフ戦
(写真右)は、0−1のあとの第2ピリオド、ラスト17秒の段階で1−0とし、このピリオドは取ったと思わせた。しかしマンスロフの攻撃の前にラスト数秒で1点を失い、1−1のラストポイントによって逆転負け。「時間的にいいタイミングで1点を勝ち越せたと思った。正直言って、1−0で逃げ切ろうと思った」というが、守る相手から1点を取るあたりが世界チャンピオンの実力なのだろう。

 「(マンスロフの)韓国戦、カザフスタン戦を見ていたけど、危なさそうに見えて最後は勝っていた。そういう実力を持っている選手なんですね」と、土壇場(とたんば)で勝つ強さを持っているこそ世界一への道と感じた様子だ。

 だが、もし最後の数秒をこらえて第2ピリオドを取り、第3ピリオドにもつれたら、「スタミナが切れていたわけではないし、どう転んだか分からないと思う」と言う。「組み手とか嫌な感じはしたし、動かしても崩れない強さはあったけど、“怖さ”を感じたわけではない。決して取れない相手ではない」ときっぱり。何度か戦えば勝てる感触があり、射程距離にとらえていることは間違いない。

 今回得た課題を克服し、世界選手権での飛躍につなげたい。

(取材・文=樋口郁夫)




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