【特集】「当面の目標は48都道府県からの参加」…沼尻久・全国中学生連盟新会長




 昨年12月に、創設以来長くにわたって全国中学生連盟の会長を務めてきた沼尻直氏が亡くなり、同連盟は沼尻氏の末弟の沼尻久氏を会長に再スタートを切った。会長として初めての全国大会を迎えた沼尻久・新会長に聞いた。(聞き手=樋口郁夫)


 ――昨年12月に沼尻会長が亡くなられてから初めての全国大会になります。どんな思いでここまできましたでしょうか。

 
沼尻 連盟の会長職というのが容易でないことが分かりました。今後、連盟をしっかりまとめていかなければならないわけですが、大変な仕事になると思います。最初からトップにいたのならともかく、仲間意識のある人たちの中から飛びぬけて上に立つことの難しさを感じています。ただ、大会の協賛企業は引き続き支援してくださっていますので、この部分では助かっています。

 ――前会長が亡くなられたことで、大会が全国の持ち回りになる、という声も一部にありましたが…。

 
沼尻 私の耳には入ってきませんでしたが、いろんな意見があったと思う。あってもいい。ただ、連盟としてはこれからも水戸でやっていこうとなり、そのために「沼尻直杯」という冠をつけた。日本協会の福田会長からも「永久的に水戸でやってくれ」と言われている。

 ――中学レスリングの今後の発展については、どのようなビジョンをお持ちになっていますか。

 
沼尻 ここでやっている選手は、高校にいっても引き続きレスリングをやってくれる選手だと思う。ことしの全国高校選抜大会は、8階級中6選手が中学時代の全国チャンピオンだった。中学レスリングは日本レスリング界の発展のために極めて重要な位置にあると自負している。まず、そのことをレスリング界の多くの人に知ってもらい、応援してもらえる体制をつくりたい。それが発展につながると思います。

 ――今年の場合、38都道府県が参加しています。逆に考えれば、9県が参加していません。

 
沼尻 中学連盟へ各都道府県から1人の理事を選出してもらうようにし、その理事を中心にして各都道府県で中学レスリングの普及につなげてほしい。こうした連絡網ができてこそ、普及についての模索ができる。昨日の連盟の理事会でも「全国から理事を選んでほしい」と要望しました。47都道府県からの参加を連盟としての当面の目標にしたい。

 ――組み合わせ方法ですが、昨年まではすべての選手が2回戦えるシステムでしたが、今年から選手によっては1試合で終わる選手が多く出てくる。遠隔地から来て1試合で終わるというのは、いかがなものでしょうか。

 
沼尻 個人的には、どんな選手でも最低2試合できるバッドマークシステムがいいとは思いますが、日本協会の傘下連盟として国際レスリング連盟のルールを採用しています。ただ、現在の参加選手数でバッドマーク方式をやったとして、時間がどのくらいかかるものか。近県の選手はいいでしょうが、北海道や九州の選手は、日曜日の夕方までかかってしまっては困る。一長一短があり、どちらがいいか判断できない。ただ、昔と違って今は中学生の出場できる大会が全国で数多くある。全国大会だけは、「1度負けたら終わり」という意識を持ってもらうのでいいのでは? この方が全国大会の権威が出てくるような気がする。インターハイも全国少年大会も、1度負けたら終わりですよ。

 ――沼尻直・前会長の悲願だったレスリングの中体連(全国中学生体育連盟)加盟はまだ遠いでしょうか。

 
沼尻 茨城県と千葉県だけが県の中体連に加盟しているのが現状です。茨城県では、開会式に中体連の会長が来てくれている。どの県も、その県の中体連に加盟できるように頑張っていただきたい。それが中学レスリングの発展につながる。ただ選手を指導するだけではなく、中学レスリングの将来を考えた行動を望みたいと思います。



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