6月22・23日に世界選手権代表をかけて明治乳業杯全日本選抜選手権




 今年の世界選手権(9月26日〜10月2日、ハンガリー・ブダペスト)の代表をかけた
明治乳業カップ全日本選抜選手権(男子のみ)は6月22日(水)〜23日(木)、東京・代々木第二体育館で、各階級8選手が参加して行なわれる。また、23日には世界選手権代表が未定の女子3階級のプレーオフも行なわれる。

 昨年12月の天皇杯全日本選手権での優勝者が優勝すれば日本代表に決定、異なる選手が優勝した場合は、当日中にプレーオフを行い、勝者が代表となる。

 最大の激戦が予想されるのが、フリースタイル60kg級だ。全日本選手権では、小島豪臣(日体大)がアテネ五輪銅メダリストの井上謙二(自衛隊)を破る殊勲。しかし小島は冬の欧州遠征で2大会とも初戦敗退で終わり、3月のユニバーシアード予選では決勝で高塚紀行(日大)に敗れる不覚。その高塚は、5月に東日本学生リーグ戦で大沢茂樹(山梨学院大)に敗れており、4選手の力が接近している。井上のリベンジなるか、5月のアジア選手権で銅メダルを取り復調ムードの小島がプレーオフなしで日本代表を勝ち取るか、若い高塚、大沢の殊勲なるか。

 グレコローマンでは、74kg級で全日本王者に輝いた鶴巻宰(国士大)が5月のアジア選手権で銅メダルを取り、成長を見せている。アテネ五輪代表の永田克彦(新日本プロレス職)、03年全日本王者で3月のポーランドオープンで銅メダルを取った菅太一(警視庁)の巻き返しなるか。

 同55kg級では、全日本王者に輝いた平井進悟(ALSOK綜合警備保障)が3月のポーランドオープンと5月のアジア選手権でともに銅メダルを獲得し、世界で通じる実力を見せ始めている。アテネ五輪代表で、全日本選手権は負傷欠場した豊田雅俊(警視庁)の壁を乗り越えられるか。

 女子プレーオフでは、51kg級で元世界チャンピオンの坂本日登美(自衛隊)とアテネ五輪48kg級銀メダルの伊調千春(中京女大)が予断を許さない戦いを展開しそう。5月、坂本はアジア選手権で優勝し、伊調もワールドカップで3戦全勝。ともに好調だけに激戦が予想される。


 ◎グレコローマン

 
【55kg級】

 《有資格者》
平井進悟(ALSOK綜合警備保障)  全日本選手権優勝
村上文清(自衛隊)            全日本選手権2位
大津卓睦(スターツ)           全日本選手権3位
和田宗法(日体大)            全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
豊田雅俊(警視庁)         
長谷川恒平(青山学院大)      
上田吉輝(徳山大)         
西森啓太(拓大)

 
《見どころ》グレコローマンで初めて全日本王者になった平井進悟とアテネ五輪代表の豊田雅俊の対決が予想される。平井は3月のポーランド・オープンで3位、5月のアジア選手権で3位にそれぞれ入賞し、国際舞台ででも実力を発揮した。豊田を破っての世界選手権出場なるか。豊田は負傷で全日本選手権を欠場したが、4月の予選会を勝ち抜いてこの大会に出場する。再起して世界選手権への出場なるか。

 ユニバーシアード代表となった和田宗法、冬の全日本遠征に加わって経験を積んだ村上文清らが2選手の争いに割って入れるか。


 【60kg級】

 《有資格者》
笹本睦(ALSOK綜合警備保障)   全日本選手権優勝
北岡秀王(日体大)           全日本選手権2位
松本隆太郎(日体大)          全日本選手権3位
福間道元(岡山・早島養護学教)   全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
岩谷和樹(自衛隊)
藤田康人(兵庫県協会)
岩崎健太(専大)
谷岡泰幸(自衛隊)

 
《見どころ》昨夏のアテネ五輪5位、5月のアジア選手権3位の笹本睦が大きくリードしている状態。全日本選手権で優勝を争い冬の全日本チームの欧州遠征に加わった北岡秀王、ユニバーシアード代表となった福間道元らがどこまでくいつくか。


 【66kg級】

 《有資格者》
飯室雅規(自衛隊)        全日本選手権優勝
伊是名正旭(日体大OB)     全日本選手権2位
綾田慎也(自衛隊)        全日本選手権3位
江藤紀友(拓大)          全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
藤山慎平(日体大)
池田孝之(山形県総合運動都市公園公社)
宇田浩幸(自衛隊)
藤村義(自衛隊)

 
《見どころ》5年連続全日本王者の飯室雅規に、昨年アジア3位の伊是名正旭、ユニバーシアード代表となった藤村義が挑む。飯室はグレコローマンの新ルール初めての大会となった5月のアジア選手権で銀メダルを獲得し実力を見せた。他の選手の追い上げを振り切れるか。


 【74kg級】

 《有資格者》
鶴巻宰(国士大)          全日本選手権優勝
菅太一(警視庁)          全日本選手権2位
岩崎裕樹(銀水荘)        全日本選手権3位
永田克彦(新日本プロレス職)  全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
川向敦支(自衛隊)
吉田毅(日体大)
小川明彦(自衛隊)
加納篤(岐阜・恵峰学園教)

 
《見どころ》全日本選手権では、鶴巻宰がアテネ五輪代表の永田克彦、前年王者の菅太一を破り、20歳で王者に輝いた。その後、5月のアジア選手権で銅メダルを獲得し勢いを見せている。菅は3月にポーランド・オープンで銅メダルを獲得し追撃体勢は十分。永田はベテランの味を見せることができるか。激戦が期待される。


 【84kg級】

 《有資格者》
松本慎吾(一宮運輸)     全日本選手権優勝
齋川哲克(日体大)      全日本選手権2位
小向忍(自衛隊)        全日本選手権3位 
萬寛史(自衛隊)        全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
小林大佑(青山学院大)
太田充洋(大分・佐伯養護学教)
村上彰一(中京学院大)
松永修司(日体大)

 
《見どころ》アテネ五輪7位、5月のアジア選手権3位の松本慎吾が飛びぬけている。全日本選手権決勝で善戦した斎川哲克は肩の負傷で欠場の見込み。松本を追い込める選手が出てくるか。


 【96kg級】

 《有資格者》
森角裕介(長野・蓼科高教)   全日本選手権優勝
加藤賢三(自衛隊)        全日本選手権2位
子本真照(青山学院大学)    全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
小笠原寛(青山学院大学)
山口竜志(拓大)
石澤幸佑(日体大)
長友大祐(日体大)
正木裕也(日体大)

 
《見どころ》ここ数年、全日本王者や世界選手権の日本代表を争ってきた森角裕介と加藤賢三による優勝争いが続きそう。ユニバーシアード代表となった石澤幸佑ら若い選手が2人に食いつけるか。


 【120kg級】
 
 《有資格者》
新庄寛和(国士舘ク)    全日本選手権優勝
鈴木克彰(警視庁)     全日本選手権2位
沢田直樹(徳山大職)    全日本選手権3位
丸山秀樹(東京農大)    全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
社藤哲也(日体大)
布平学(岡山県協会)
室谷正憲(和歌山県教育庁)
竹内勝信(国士大)

 
《見どころ》全日本王者の新庄寛和に、同大会決勝で不覚を喫した前王者の鈴木克彰がリベンジに挑む。ユニバーシアード代表となった沢田直樹が両者の間に割って入れるか。


 ◎フリースタイル

 【55kg級】

 《有資格者》
松永共広(ALSOK綜合警備保障)    全日本選手権優勝
清水聖志人(クリナップ)           全日本選手権2位
杉谷武志(自衛隊)             全日本選手権3位
稲葉泰弘(専大)               全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
湯元進一(拓大)
鈴木元泰(秋田県協会)
田岡秀規(自衛隊)
足立竜一(自衛隊)

 
《見どころ》全日本王者の松永共広は、2月のヤシャドク国際大会(トルコ)、3月のダン・コロフ国際大会(ブルガリア)で連続優勝。5月のアジア選手権で銅メダルと好調を維持している。ユニバーシアード代表となった清水聖志人や全日本チームの欧州遠征参加とい経験を積んだ稲葉泰弘らがどこまで食いつけるか。


 【60kg級】

 《有資格者》
小島豪臣(日体大)     全日本選手権優勝
井上謙二(自衛隊)     全日本選手権2位
湯元健一(日体大)     全日本選手権3位
大澤茂樹(山梨学院大)  全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
大館信也(国士舘ク)
藤本健太(日大OB)
井上真一(警視庁)
高塚紀行(日大)

 
《見どころ》アテネ五輪銅メダルの井上謙二が全日本選手権で小島豪臣に敗れる不覚を喫した。井上はしっかりとリベンジし、プレーオフへ持ち込んで世界選手権代表を勝ち取りたい。

 小島は冬の2つの国際大会にともに初戦敗退で、ユニバーシアード予選会でも決勝で高塚紀行に敗れるなど調子が出なかったが、5月のアジア選手権で銅メダルを獲得し、復調の兆しを見せている。波に乗りたいところ。

 ユニバーシアード代表となった高塚は、5月の東日本学生リーグ戦で大沢茂樹に敗れる深く。大沢はその後、6月のアジア・ジュニア選手権で優勝と波に乗っている。

 誰が優勝してもおかしくない混戦状態。1回戦から激戦が予想される。

 
[主な選手の対戦成績]

2004年12月 井上謙二○[2−0(TF6-0,3-3)]●大沢茂樹(全日本選手権)
         小島豪臣○[2−0(1-0,1-0)]●井上謙二( 同 )
2005年3月  小島豪臣○[2−0(1-0,1-0)]●大沢茂樹(ユニバーシアード予選)
         高塚紀行○[2−0(3-2,,5-1)]●小島豪臣( 同 )
2005年4月  高塚紀行○[2−1(2-A,2-0,1-0)]●大沢茂樹(JOC杯ジュニアオリンピック)
2005年5月  大沢茂樹○[2−0(1-0,A-2)]●高塚紀行(東日本学生リーグ戦)


 【66kg級】

 《有資格者》
池松和彦(K-POWERS)        全日本選手権優勝
金渕清文(青森・光星学院高校教)  全日本選手権2位
佐藤吏(早大)              全日本選手権3位
坂本将典(日大)             全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
林田重吾(専大)
山本英典(自衛隊)
米満達弘(拓大)
藤本浩平(拓大)

 
《見どころ》2003年世界3位、アテネ五輪5位の池松和彦を他の選手が追う状態。池松は5月のアジア選手権で3位だったが、彼の実力からすれば満足できる結果ではない。世界でのメダルを目指して再スタートを切りたい。冬の全日本チームの欧州遠征に加わった金渕清文、学生王者の佐藤吏らがどこまで食いつけるか。


 【74kg級】

 《有資格者》
小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)   全日本選手権優勝
高橋龍太(自衛隊)             全日本選手権2位
工藤祐士(岡山・高松農業高教)     全日本選手権3位
木村享史(自衛隊)             全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
長島和幸(クリナップ)
加藤陽輔(日体大)
萱森浩輝(新潟・県央工高教)
大月葵斐(早大)

 
《見どころ》6年連続全日本王者でアテネ五輪代表の小幡邦彦が一歩リードしている。3月のダン・コロフ国際大会では欧州王者と大接戦を演じて3位に入賞した。5月のアジア選手権はメダルを逃しただけに、今回しっかりと勝って世界選手権へつなげたい。ユニバーシアード代表となった高橋龍太らが、どこまで食いつけるか。


 【84kg級】

 《有資格者》
磯川孝生(拓大)      全日本選手権優勝
山本悟(岡山県協会)   全日本選手権2位
小西誠(自衛隊)      全日本選手権3位
松本真也(日大)      全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
山縣養一(日大) 
柴田寛(徳山大職)
鈴木豊(自衛隊)
宮路高行(拓大)

 
《見どころ》全日本王者の磯川孝生が、3月にユニバーシアード代表を決めたあと、5月のアジア選手権で銀メダルを獲得。世界でも通用する実力を見せ始めた。昨夏のインカレで磯川を破って優勝した松本真也は、3月に磯川に連敗しており、差をつけられた感があるが、まだ大きな差ではあるまい。リベンジなるか。全日本選手権2位の山本悟が磯川へリベンジできるか。


 【96kg級】

 《有資格者》
小平清貴(警視庁)     全日本選手権優勝
横山武典(岡山県協会)  全日本選手権2位
米山祥嗣(日体大)     全日本選手権3位
坂本憲蔵(日本文理大)  全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
吉田年成(専大)
今井晋次郎(中大)
伊藤拓也(早大)
安西信昌(明大)

 
《見どころ》全日本王者の小平清貴が一歩リードしている状態。ユニバーシアード代表になった米山祥嗣ら若い選手が食いつくことができるか。


 【120kg級】

 《有資格者》
田中章仁(FEG)            全日本選手権優勝
荒木田進謙(青森・光星学院高)  全日本選手権2位
北村克哉(専大)           全日本選手権3位
新海一樹(明大)           全日本選手権3位

 《予選勝ち上がり選手》
安田伊織(早大)
岡村龍太郎(拓大)
秋葉洋一(練馬駐屯地ク)
西田耕一朗(福井県協会)

 
《見どころ》4年連続全日本王者の田中章仁は、2月のデーブ・シュルツ国際大会(米国)で2位、ヤシャドク国際大会(トルコ)で3位と好成績を維持したが、5月のアジア選手権ではメダルを逃した。世界選手権へ向けての再出発をすっきり勝ちたいところ。


 ◎女子世界選手権代表決定プレーオフ

 【51kg級】

坂本日登美(自衛隊)   全日本選手権優勝
伊調 千春(中京女大)  ジャパンクイーンズカップ優勝

 
《見どころ》世界V2の坂本と、アテネ五輪銀メダリストの伊調千春の対戦。2003年4月までは坂本に分があったが、今年3月の2年ぶりの対戦では伊調が勝ち、五輪代表として修羅場を経験してきた選手の強さを見せた。

 5月はワールドカップで伊調が3戦全勝で個人優勝、アジア選手権では坂本が4戦全勝で優勝し、ともに好調。真っ向勝負が期待できる。

[両者の主な対戦成績]

 【1998年全日本女子オープン】伊調千春○[3−0]●坂本日登美
 【1999年全日本女子選手権】坂本日登美○[4−3]●伊調千春
 【2000年クイーンズカップ】坂本日登美○[3−1]●伊調千春
 【2001年クイーンズカップ】坂本日登美○[TF4:09=10-0]●伊調千春
 【2003年クイーンズカップ】坂本日登美○[5−1]●伊調千春
 【2005年クイーンズカップ】伊調 千春○[2-0(1-0=2:30,TF6-0=2:00)] ●坂本日登美


 【59kg級】

中西はつみ(中京女大大学院)   全日本選手権優勝
正田 絢子(東洋大)         ジャパンクイーンズカップ優勝

 
《見どころ》初の全日本チャンピオンに輝いた中西だが、ジャパンクイーンズカップで正田絢子に敗れ、5月のアジア選手権は肩を負傷して初戦敗退と調子が出なかった。正田にリベンジし、しっかりと再スタートを切りたいところ。

 正田は5月のワールドカップで3戦全勝。好調を持ち込むことができるか。


 【67kg級】

斉藤紀江(ジャパンビバレッジ)    全日本選手権優勝
坂本 襟(中京女大ク)         ジャパンクイーンズカップ優勝

 
《見どころ》クイーンズカップ優勝の坂本襟が、ワールドカップのみならず、斉藤紀江の負傷辞退によってアジア選手権に出場の機会を得、銀メダルを獲得した。世界の強豪を相手に経験を積んだ坂本が、斉藤を再度撃破できるか。

 斉藤は負傷を乗り越えて、坂本へのリベンジを狙いたい。




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