【特集】「日本選手にも勝機の大きいルール」…グレコ96kg級・加藤賢三



 グレコローマン96kg級は、2003年世界選手権代表の加藤賢三(自衛隊)が決勝、プレーオフでともに森角裕介(長野・蓼科高教)を破り、“定位置”を取り戻した。

 本戦は第1、2ピリオドとも30秒間のグラウンドの防御を守り、ともにラストポイントによって勝つという内容だった。これだけなら「ルールによって勝った」と言われかねない内容となるが、プレーオフは防御の時に相手のすきをついて体を入れ替え、見事なフォール勝ち。実力を見せつての代表権獲得に「ホッとしました」と表情を崩した。

 グレコローマンの選手すべてが直面しなければならなくなった新ルールは、実際にやってみて「やりづらかった」という。しかし自衛隊の宮原厚次監督の指示でグラウンドの防御をしっかりとこなしてきたそうで、その成果が見事に出た形だ。

 外国選手との対戦では体力的に劣る日本選手でも勝機は十分に出てくるルールだと分析する。「グラウンドの防御がしっかりできれば勝てるチャンスは広がります」と、これまで練習してきた方向に間違いはないことを感じている様子。日本代表を決め、グラウンドの防御の強化にさらに取り組み、世界選手権での上位入賞を目指したいところだ。

(写真は決勝とプレーオフ、ともに青が加藤)

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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