【特集】「磯川君に負けないだけの成績を」…フリー84kgkg級・山本悟



 アジア2位の磯川孝生(拓大)が準決勝で松本真也(日大)に敗れたフリースタイル84kg級は、その松本が決勝で山本悟(岡山県協会)に敗れ、山本と磯川のプレーオフとなった結果、山本が勝って世界選手権の代表を決めた。

 山本は昨年の全日本選手権で2位に入った選手だが、高校時代に四冠王を達成していた磯川、高校時代に前人未到の八冠王者に輝いた松本に比べると実績らしい実績がなく、日体大4年生の時(2003年)のグレコローマンの学生王者に輝いたことが目立つ程度。同年のインカレ・フリーと全日本大学選手権は、いずれも当時1年生だった磯川に敗れて栄冠を逃している。

 その時を含めて磯川には3連敗中だった。このプレーオフでも第1ピリオドを取られ、やはり優勝には縁のない選手なのかな、と思わせたあとの逆転勝利。「どうせなら攻めてやろうと思って」と開き直って攻撃したところ、第2ピリオドにタックルが決まり、第3ピリオドには回り込んでバックを取ることに成功した。

年下の相手に苦渋をのまされ続けたあとの栄光だけに喜びもひとしおだが、9月には日本代表として世界選手権へ出場するという大役が待っている。「磯川君がアジアで2位に入った。それに負けないだけの成績を残したい」と、上位入賞を目指して初の世界選手権出場へ挑む。

(写真は決勝とプレーオフ、ともに青が山本)

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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