【特集】「世界選手権では決勝までいきたい」…グレコ60kg級・笹本睦



 グレコローマン60kg級アテネ五輪5位の笹本睦(ALSOK綜合警備警備保障)が、あばらの痛みをかかえながらも圧倒的な強さを披露。大会4連覇(旧58`級を含む)を達成した。

 決勝は学生2位の岩崎健太(専大)との対戦となった。第1ピリオド、まずはグラウンドの攻防をしのいで1ポイント。攻守が入れ替ると、岩崎を投げて2ポイントを挙げた。第2ピリオドに入ると笹本のギアがトップに入った。スタンドで積極的に攻めて相手を場外に押し出してポイントを挙げると、続けて得たグラウンドの攻防で、豪快な5ポイントの大技を繰り出し、岩崎をマットにたたきつけて試合を終わらせた。

 この際、笹本は頭を強打し、脳震盪でしばらくマットから起き上がれないというアクシデントに見舞われたが、数分後に立ち上がり、周囲をホッとさせた。

 笹本は5月のアジア選手権でも右のあばらを負傷し、人の肩を借りて歩くほど状態は悪く、帰国してからも練習は満足にできなかったようだ。試合後、「ぶっつけ本番。練習はしませんでした」と白状したが、それでも優勝できるのは、やはり国内での実力がずば抜けているからだろう。

 世界選手権については「新ルールはまだよく分かってないけど、もろ差しクリンチのルールよりはやりやすい。決勝まで行きたいですね」とサラリ。けがを完治させることが必要だが、メダルの可能性は十分にあるだろう。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


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