【特集】「経験を積んで精神的にたくましくなった」…女子67kg級・坂本襟



 女子の世界選手権代表決定プレーオフ女子67kg級。試合終了のホイッスルとともに応援席に向けて拳を突き出したのは、坂本襟 (中京女大ク) だった。

 第 1ピリオド、タックルに入った坂本は、必死に堪える斉藤紀江(ジャパンビバレッジ)をなおも攻め続け、態勢を崩したところでバックに回り1ポイント。そのまま逃げ切ると、第 2ピリオドでは開始早々バックを捕られ1ポイント許した。しかし、後半ニアフォールで一気に3 ポイントを奪取。2−0で勝利し、世界選手権代表初出場を決めた。

 昨年12月の全日本選手権で斉藤紀江に敗れたが、3 月のクイーンズカップでリベンジを果たした坂本は、5 月フランスで行われたワールドカップで強豪ロシアを破り、チームの団体優勝に貢献。さらに斉藤がケガのため代表を辞退したアジア選手権にも出場し銀メダルを獲得。「坂本に欠けている」と言われていた自信を得て、プレーオフに臨んでいた。

 「ワールドカップ、アジア選手権とたくさんの経験を積んで、自分自身でも精神的に強くなったと思います。今日も自分から積極的に攻めなければと思い、それがまだまだですが、できるようになったと思います。世界選手権ではチームのみんなについていき、メダルを狙いたいと思います」と力強く宣言した。

 敗れた斉藤はワールドカップ前に傷めたケガが完治せず、首から肩、腰にかけてと両膝の痛みは慢性化。まともにスパーリングできたのは、試合の5 日前という最悪のコンディションだった。

 試合を見守ったジャパンビバレッジの鈴木光監督は、試合後、「今はしっかり休んで、ケガを完全に治すのが先決。とにかくまじめに練習する選手なので、ケガさえ治ればまたがんばってくれると思います。2003年世界選手権で5 位となったときのイメージをさらに膨らませ、もうひとふんばりして来年こそは世界でメダルを獲ってくれると信じています」と話した。再起が期待される。

(取材・文=宮崎俊哉、撮影=矢吹建夫)




《前ページへ戻る》