【特集】キューバのような瞬発型選手の対策を…男子フリー74kg級・小幡邦彦





 悔やまれるのはポイントが取れなかったことだった。男子フリースタイル74kg級の小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)は、初戦のジョセフ・ウイリアムズ(米国)との一戦(写真右)についてそう振り返った。

 開始早々、バーンという感じで片足タックルに入られ、出鼻をくじかれた。「相手がタックルでくるのは分かっていたから、くっついていこうと思っていたんです。でも、そこを取られてしまった。スピードの差がありました」

 第1ピリオドを取られて迎えた第2ピリオド。何としてでも1ポイントが欲しい状況だったが、再びタックル、テークダウンで攻められ0−4で敗れた。
 
 ウイリアムズはアテネ五輪5位のほか、ワールドカップを4度制している選手。2回戦以降も勝ち抜いて決勝へ進み、小幡が生き返って敗者復活戦へまわる可能性は十分に残されていた。

 「準々決勝で(ウイリアムズが)ウズベキスタンの選手に勝った段階で、出てくるだろうと思っていたんですが…。決勝へ進んだハンガリー選手とも闘ったことがありますが、ウイリアムズの方が強いと思いましたし」

 午後のセッションになるとバックステージで身体をあたため、その時を待ったが、米国の猛者は準決勝で地元ハンガリーに敗退。この時点で銅メダルへの道は閉ざされた。

 「アメリカが負けたので仕方がないです」

 さっぱりとした表情。むしろ、新しい課題を見つけたことが収穫だったというように、小幡は言った。「欧州の選手のことはわかっているけれど、瞬発型の選手相手にどんな対策を立てるかを考えていかなければいけない。アテネ五輪でキューバの選手に負けているし。世界に向けて…引き続き頑張っていきたい」−。


(取材・文=三好えみ子)


《前ページへ戻る》