【特集】「真喜子の分まで燃えました」…坂本日登美・一問一答





 ――決勝で勝ったあと、勝って当然という表情だったように見えましたが。

 
坂本 3回戦の中国戦が決勝だと思っていましたから。でも決勝の相手のフランスも、1月のヤリギン国際大会でやった時、1ピリオドを取られている相手で緊張しました。自分の動きができてよかったです。

 ――タックルを決めた瞬間、一気にフォールへいくことを考えましたか?

 
坂本 そこまでは考えていなかった。相手は組まないで攻めてくる選手なので、組み際気をつけることだけを気をつけていた。タイミングよくタックルに入れたので、一気にフォールまでもっていけました(写真右)

 ――きょうはすべての試合に満点ですか?

 
坂本 満点とまではいきませんが、4年ぶりの世界選手権としては、とてもいい内容だったと思います。

 ――4年間のことが思い出されましたか?

 
坂本 そうですね。レスリングをやめた時もありましたし、特別な思いがありました。

 ――涙が出ると思ったのですが(出ませんでしたね)。

 
坂本 (笑)。妹が準決勝で負けた時に出ましたから。決勝はもっと接戦になると思っていたのに、意外にすんなり勝てて、あれっと思ったこともありましたし。

 ――アテネ五輪での栄監督と吉田沙保里のように(吉田が監督を肩車)、優勝したときに藤川コーチとパフォーマンスは決めていなかった?

 
坂本 それは決めていなかったです。藤川コーチからは「真喜子の分まで頑張れ」と言われて決勝のマットに上がりました。

 ――真喜子選手の黒星が決勝戦に与えた影響は?

 
坂本 真喜子が負けて、よけい勝ちたいという気持ちが強くなりました。2人分の力で闘ったら絶対に負けないという気持ちでマットに上がりました。

 ――目標にしていたイリナ・メルニク(ウクライナ)が48kg級に出てしまったことの影響は?

 
坂本 特にないです。闘ってみたかったという気持ちはあります。中国もいましたし、気が抜けたとかはありません。

 ――ひとときマットを去ったのは、けがのためと、51kg級が五輪の実施階級でなかったことと、どちらの要因の方が大きかったのですか?

 
坂本 …。自分はもう勝てない、と思ってしまったことが大きかったです。48kg級では妹に勝てないし、55kg級でも沙保里(吉田)に勝てない、そういうふうに思い込んでしまったことが、レスリングをやめた原因でした。

 ――ちょっと早いですが、北京五輪はどちらの階級?

 
坂本 51kg級が採用されなければ、55kg級で闘います。55kg級に挑戦します。

 ――真喜子選手の銅メダルをどう見ましたか?

 
坂本 世界選手権で初めてメダルを取り、先が見えてきたと思います。こてんぱにやられたわけではない。攻めて負けたところもあるし、今回の3位が北京五輪の金メダルにつながるんじゃないですか。このメダル獲得を新しいスタートだと思って頑張ってほしいです。




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