【特集】20歳のイラン選手の優勝に闘志がメラメラ…男子グレコ55kg級・豊田雅俊






 2試合目で99年世界王者、アテネ五輪5位のラサロ・リバス(キューバ)と相対した男子グレコローマン55kg級の豊田雅俊(警視庁)。第1ピリオドを取られたものの、第2ピリオドで俵返しを決めて取り返し、追い上げムードで迎えた第3ピリオド、相手の俵返しを守って立ち上がった豊田に、レフェリーのコーションが宣言された。

 「え?」という表情の豊田。相手の腕をしっかりと固めていたことを警告に取られてしまった。この後、リバスの俵返しがさく裂。テクニカルフォールでこのピリオドを落とし、無念の黒星。リバスがイラン選手に負けて決勝へいけなかったため、敗者復活戦に回ることなく終わってしまった。

 不可解判定でペースが狂わされたのでは、と問われてると豊田は「関係ありません」ときっぱり否定。しかし、こうしたケースでは、2度、3度の注意にもかかわらず固くロックした時にコーションが宣せられるもので、1度の注意ですぐに警告では納得がいくまい。元世界相手に俵返しを決めることができただけに、「しっかり守って最後の30秒の攻撃につなげたかった」と残念そうだ。

 チーム最年長で、グレコローマンの先陣。それだけに勝ってチームを乗せたいという気持ちは強かった。しかし「結果は結果として向き合わなければならない。まだ気持ちは切れていない」と、来年以降へ向けてやる気は十分。

 今回優勝したのは、ことしのアジア・ジュニア選手権と世界ジュニア選手権で優勝している20歳のイラン選手。豊田は8月のピトラスニスキ国際大会(ポーランド)で、負けたとはいえ接戦を演じた相手だ。「あの選手が出てくるとは…。新しいルールのもとで、新しい選手が出てくる。いろんな相手に対して自分の勝ちパターンを確立させていきたい」と、決意を新たにした。

(取材・文=樋口郁夫)


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