「来年は世界に挑戦する年にします」…男子フリー84kg級・松本真也




 ▼決勝
松本真也(日大)○[2−1(3-0=2:05,1-3,4-0)]●磯川孝生(拓大)

 《試合経過》

 [1P]0−0で2分間を終了。コイントスで勝った松本が3点タックルを決めて勝った。

 [2P]磯川が30秒でバックを取り、粘ってローリングを決めて3−0。ラスト30秒に松本のタックルを受けたが、3−1で勝った。

 [3P]1点をめぐってきわどいシーンが続き、1分40秒、松本がテークダウンを奪う。やや気落ちした磯川からローリングを決め、そのあともタックルで1点を加えて4−0としてけりをつけた。

 “宿敵”とも言える同期の磯川孝生(拓大)を決勝で下し、学生王者の松本真也(日大)が男子フリースタイル84kg級の日本一に輝いた。京都・網野高時代に前人未到の8冠王(全国高校選抜大会2度、インターハイ3度、国体3度)に輝いた逸材。ことしは磯川の壁でユニバーシアード代表を逃し、ベテランの山本悟(岡山・烏城高教)に負けて世界選手権の出場を逃すなど、今ひとつ飛躍できない年だった。最後に勝ててうれしそう。

 何度も試合をしている宿敵が相手だけに、ポイントがそうそう取れないとは思っていたが、それでも「これほど取れないとは思っていなかった」という接戦。それでも、第3ピリオドはクリンチなどではなく、3点と1点を取っての勝利で「よかった」と言う。表彰台では涙も出ていたようだが、「いえ、泣こうと思っていたんですが、涙が出てきませんでした」と強調した。

 ことしは前述の通り世界への飛躍を阻まれ、先月の全日本大学選手権は1階級上の96kg級への出場だったが優勝を逃し、決して満足のいく1年ではなかった。「最後に勝って終われてよかった」と言う。「来年は世界に挑戦する年にします」。かつてアジア・カデット(16〜17歳)選手権を2年連続で制しており、世界での強さは実証済み。眠っていた大器が、いよいよ世界へ挑戦する。

(撮影=矢吹建夫)




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