【特集】「誰と当たっても、ひとつひとつ勝っていく」…女子67kg級・坂本襟




 ▼決勝
坂本襟(ワァークスジャパン)○[フォール、1P1:17(F6-0=1:17)]●新海真美(中京女大)

 《試合経過》

 [1P]坂本が回りこみ、21秒で1点を獲得。腕取りでフォールの体勢へ。これは逃げられたが、もう一度仕掛け、しっかりとフォール。

 女子67kg級は、世界選手権7位の坂本襟(ワァークス)が圧倒的な強さを見せ初優勝を飾った。

 決勝の相手は、今年の世界ジュニア選手権、アジア・ジュニア選手権、ユニバーシアードで優勝をさらうなど進境著しい新海真美(中京女大)。勢いと若さは脅威になるとも思われたが、坂本は日ごろの練習パートナーである若手成長株ををまったく寄せ付けず、わずか77秒でフォール勝ち。05年の新女王は「新海選手は今後、国内の大会ではこれから必ず当たる選手になると思うし、そうなれば自分にとってもいいことだと思う」と後輩にエールを送る余裕を見せた。

 昨年の全日本選手権は、今年はけがで欠場した斉藤紀江(ジャパンビバレッジ)に逆転負けして準優勝。しかし今年3月のジャパンクイーンズカップでは、斉藤にリベンジ。勢いそのままに6月のプレーオフも制して世界選手権に初出場した。

 7位という結果については「メダルを狙っていたけど、あれが今の自分の実力。そういうことがよく分かったし、負けて次の目標ができたし、すごく勉強になって良かった」と明るい表情。初めての大舞台はレスリング人生の大きな糧となったようだ。

 今後は、再起が待たれる斉藤や、成長著しい新海らとの激しい争いが予想される。坂本は「相手が誰というのではなく、誰と当たっても一つ一つ勝っていくだけです」とマイペースを強調。世界選手権で一回り大きくなった坂本の今後が楽しみになってきた。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)




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