【特集】「俵返しをしっかり確立したい」…男子グレコ74kg級・岩崎裕樹



 ▼決勝
岩崎裕樹(銀水荘)○[警告、3P1:30(1-4,4-0,C1-0=1:30)]●菅太一(警視庁)

 ※岩崎は初優勝。

 《試合経過》

 [1P]スタンド戦は0−0。菅は攻撃権をものにできなかったが、防御に回ると素早く立ち上がり、向き合って押し倒して3点を獲得。このピリオドを取った。

 [2P]スタンド戦は0−0。攻撃権を得た岩崎は俵返しを決めて3点を獲得。菅の攻撃を岩崎は必死に耐え、ピリオドスコアを1−1とした。

 [3P]スタンド戦は0−0。グラウンドの攻防は菅が先行となり、ローリングを仕掛けたがこらえられた。これが3度目の警告となり、最後の30秒を闘うことなく、岩崎の手が上がった。

 激戦が予想された男子グレコローマン74kg級は、世界選手権代表の岩崎裕樹(銀水荘)が制し、初の全日本チャンピオンに輝いた。6月の明治乳業杯全日本選抜選手権で勝って世界選手権へ出場したものの、全日本王者は別格のようで、「うれしいです。ホッとしました」と安堵の表情を浮かべた。

 決勝の相手の菅太一(警視庁)は、昨年の全日本選手権までは1度も勝てなかった相手。ことし6月の明治乳業杯全日本選抜選手権で勝ったとはいえ、10月の岡山国体で負けていて、まだ苦手意識の消えていない選手。さらに、菅は準決勝で昨年の全日本王者の鶴巻宰(国士大)を2−0で破り波に乗っていた。

 それもあってか、第1ピリオドを落とすという苦しいスタートだったが、最後はローリングを必死にこらえ、勝利の女神を引き寄せた。「第3ピリオドの前にもローリングを切れていた。絶対に守れるという気持ちだった」と最後の激闘を振り返る。

 2005年は初めて日本代表として世界へ飛躍した年だった。2006年も、まず全日本チームのメンバーとして冬の欧州遠征に参加できることになり、一段と世界を身近に感じての練習できそう。4月にカザフスタンで行われるアジア選手権(今年からアジア大会の年にもアジア選手権が実施される)は若手の遠征になる可能性があるが、「参加したい」と話し、外国選手と数多く手合わせしたい気持ちでいっぱい。

 「俵返しをしっかりと確立したい」。世界との闘いは始まったばかりだ。

(撮影=矢吹建夫)




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