【特集】「来年6月にも勝ち、世界選手権へ出たい」…男子フリー66kg級・佐藤吏



 ▼決勝
佐藤吏(早大)○[フォール、3P1:57(0-1=2:07,4-1、F4-1=1:57]●藤本浩平(拓大)

 ※佐藤は初優勝。

 《試合経過》

 [1P]両者決め手に欠き、2分間で0−0。コイントスで勝った藤本がテークダウンを奪い、このピリオドを取った。

 [2P]佐藤が片足タックルで1点を獲得したが、藤本はラスト37秒、回り込んで1点。このままラストポイントで逃げ切るかと思われたが、ラスト1秒の佐藤のがぶり返しが決まり、佐藤が取った。

 [3P]佐藤が片足タックルを仕掛けたが、もつれ、佐藤の足が先に場外へ出てしまった。残り43秒。佐藤は必死に片足タックルを仕掛け、1点を返した後、ニアフォールへ。そのままフォールで勝った。

 アテネ五輪代表の池松和彦(K-POWERS)が3回戦で敗れた男子フリースタイル66kg級は、池松を破った小島豪臣(日体大)も準決勝で敗れた。小島を破った佐藤吏(早大)が、藤本浩平(拓大)との決勝を薄氷を踏む思いで制し、初陣が日本一に輝いた。

 2年連続学生二冠王と、学生界の頂点に君臨している選手だが、初の全日本王者には感慨無量の様子。まして第2ピリオドのラスト数秒まで負けていて、ここで逆転のがぶり返しが出なければ表彰台の1位の場所には立てなかったという内容。表彰台で感極まって涙が止まらなかったのも十分にうなずける。

 勝負を分けたがぶり返しは、「何もやらないで終わるよりは、何か仕掛けて終わろうと思ってやった。いいように決まってくれた」と、その時の気持ちも振り返る。

 学生二冠王と言っても、決勝の相手の藤本は3月のユニバーシアード予選と6月の明治乳業杯全日本選抜選手権で負けていた相手。特に「ユニバーシアードには出たかった」と、その1敗は悔いが残った試合だった。「雪辱する最高の場だった。悔いを残したくなった」と言う。

 名門・早大の学生としては25年ぶりの全日本王者。そのことはあまり意識していなかったそうだが、2006年は東日本学生リーグ戦で早大の58年ぶりの優勝の期待がかかっており、それに向けて最高の追い風となりそう。

 自らも「6月の明治乳業杯全日本選抜選手権に勝ち、世界選手権に出場したい」という気持ちがあり、充実した年となりそうな2006年だ。

(撮影=矢吹建夫)




《前ページへ戻る》