【特集】「全日本王者は重みが違う」…男子グレコ55kg級・豊田雅俊



 ▼決勝
豊田雅俊(警視庁)○[2−1(6-1,0-4,2-1)]●平井進悟(ALSOK綜合警備保障)

 ※豊田は2年ぶり3度目の優勝。

 《試合経過》

 [1P]豊田が開始早々に相手を崩してバックを取り、ローリングで1点を追加。グラウンドの攻撃権を手にし、俵返しで3点を加えたが、もつれて場外に出てしまい5−1。グラウンドの防御を守り、そのままのスコアで終了。

 [2P]スタンド戦は0−0。グラウンドの攻撃権を得た平井は、いったんは豊田に立たれたが、すぐに首投げを決めて3点を獲得。防御になってしっかり守り、ピリオドスコアを1−1にした。

 [3P]スタンド戦は0−0。グラウンドの攻撃権を得た豊田の俵返しは、持ち上がらなかったもののマットをゴロリと転がり2点を獲得。攻守交替して平井が豊田を場外へ押し出して1点を取ったが、反撃もそこまでだった。

 6月の明治乳業杯全日本選抜選手権決勝と同じ顔合わせとなった男子グレコローマン55kg級決勝は、アテネ五輪代表の豊田雅俊(警視庁)が昨年優勝の平井進悟(ALSOK綜合警備保障)を下し、地力の差を見せつけた。

 昨年のこの大会は負傷のために不出場だった。「2年ぶりの全日本チャンピオンですね。天皇杯という名のつく大会は、重みを感じます」と、全日本選抜選手権での優勝よりずっしりときた様子。平井は大学(拓大)の後輩であり、日々の練習で顔を合わせている相手。「間違いなく強くなっています。お互いに手の内も知っているし、やりづらかったけど、負けたくなかった」と言う。

 持ち味を生かせるようなルールに変わったのが今年の5月。それが世界選手権の代表権を獲得し、全日本チャンピオンへ返り咲けたひとつの要因ではあるが、それ以上に励みとなったのが、家族の応援。今回の決勝戦でも子供からの「がんばれ!」という応援がひっきりなしに送られており、その声は闘っている豊田の耳にもしっかり届いていた。

 「これからもオヤジの強さを見せていきたい。2006年はまず冬の国際大会に出場し、世界選手権とアジア大会を目指して頑張りたい。すぐに北京五輪と考えず、1年1年をしっかり闘っていきたい」と気を引き締めた。

(撮影=矢吹建夫)




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