【特集】「日本で負けるわけにはいかない!」…女子51kg級・坂本日登美



 ▼決勝
坂本日登美(自衛隊)○[2−0(4-2,3-0)]●赤坂幸子(福岡大)

 ※坂本は2年連続4度目の優勝。

 《試合経過》

 [1P]坂本が開始早々に果敢にタックルへ行ったが、赤坂が見事なタックル返しを決めて2点を先行。追う立場となった坂本は中盤バックを取り、ローリングで加点するなど、4点を取って逆転した。

 [2P]相手のタックルを回りこんだ坂本が1点を先制し、中盤と終盤にも1点ずつ挙げ、3−0で勝った。

 女子51kg級は、元世界チャンピオンの伊調千春(中京女大)が48kg級に出場したこともあり、今年の世界選手権金メダリストの坂本日登美(自衛隊)の独壇場。順当に勝ち上がって2年連続4度目の優勝を果たした。

 初戦と準決勝を圧勝した坂本は、決勝で学生王者の赤坂幸子(福岡大)と対戦。タックル返しをくらって2ポイントを先取される滑り出しには、「今日は無失点で勝とうと思っていたのに、失点しまったのが反省点」と苦笑い。しかし、この2失点を除けば試合を終始コントロールして力の差を見せ付けた。

 前日、48kg級に出場した妹の真喜子(和光ク)が決勝で伊調千に敗退した。「自分が千春の弱点を一番知っているのに、力になれなかったことが悔しい」と落ち込んだというが、「世界チャンピオンになったのに、日本で負けるわけにはいかない!」と気持ちを奮い立たせての優勝。「妹が負けたので悔しい全日本選手権だった」と喜びは半減したが、女王の責務をきっちりと果たしたのは立派だった。

 世界選手権での優勝について、坂本は「千春とのプレーオフに勝った時のような喜びはなかった」と感じている。「大きな喜び」をつかむためにやることは、まずは来年の世界選手権を51kg級で連覇し、その後はオリンピック階級である55kgへの転向だ。「吉田沙保里選手に挑戦したい。負けるかもしれないけど、勝ったら喜べると思う」。

 坂本の参戦で、55kg級の争いは一段と激しくなりそうだ。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)




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