【特集】全勝デビュー! 期待の新人・高塚紀行(日大)




 少年レスリング時代に7年連続優勝、中学で2年連続全国一、昨年は高校四冠王を達成して日大へ進んだ期待のルーキー、高塚紀行(日大=大阪・吹田市民教室〜茨城・霞ヶ浦高卒)が、学生初の大会で5戦全勝のすばらしいデビューを飾った。

 第1〜3日は1試合ずつ出て、いずれもフォールかテクニカルフォール勝ち。最終日のリーグ戦最後の試合もフォールで勝ち、日体大との決勝では、昨年の学生二冠王・小島豪臣相手に0−2の劣勢をはね返し、延長にもつれて貴重な白星を挙げた。高校四冠王はダテではなかった。

 チームが逆転で優勝を逃し、試合後は「勝てると思っていた試合に勝てない。大学は厳しいですね」と、勝負の世界の厳しさを感じた様子だが、個人として5戦全勝に関しては気分は悪くないもよう。4月のJOC杯ジュニアオリンピックは、手首のけがもあって3位に終わっていただけに、学生二冠王者を下してのオール白星で気持ちを晴らしたといったところ。

 少年時代からずば抜けた成績を残してきた高塚にとって、日大での練習は、高校時代にはなかった“自分より強い選手が数多くいる”という環境。特に55kg級でチームを支え、妥協することがないという斎藤将士との練習は「勉強になることの毎日です」と言う。豊富な練習量から「スタミナには自信がある」ときっぱり言うだけに、小島との試合も、2点を先制されても、最後には勝てるという自信があったようだ。

 少年時代からレスリングをやっている選手は、キャリアの長さゆえに、体のあちこちに故障をかかえているケースも少なくない。しかし高塚は「あまりけがはしたことがない」と、“五体満足”の状況。「このあとの大学のすべての大会に勝ちたい」と、チームの敗戦から気を取り直し、6月24〜25日の東日本学生春季新人戦で学生初タイトルを狙う。(取材・文=樋口郁夫)



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