来年1月実施の新ルールを決議…国際レスリング連盟(FILA)総会


FILA総会 ビューローメンバー 福田富昭・FILA副会長 日本協会の内藤可三審判委員長と福田耕治副委員長 日本協会・高田裕司専務理事と鈴木光女子監督

 国際レスリング連盟(FILA)は8月20日、アテネ市内で総会を開き、来年1月から実施される2分3ピリオドのセット制や敗者復活併用のトーナメント方式などの新ルールを採択した。ただし、来年1月のコーチ会議で微修正がある予定で、正式なルールとしてスタートするのは来春になる見込み。日本協会の高田裕司専務理事は、ことし12月の天皇杯全日本選手権から新ルールで実施することを示唆した。

 主な改正点は下記の通り。(改正ルールの条文については、日本協会審判委員会から発表されます。また来年1月にさらに改正されるものもありますので、十分にご注意ください。


1、試合方式

 [1]敗者復活を伴ったトーナメント方式で実施。抽選番号の大きな選手から予備戦を実施し、選手数を「8、16、32」としてから1回戦をスタート。最後まで勝ち残った選手によって決勝戦が争われる。

 [2]敗者復活戦は、決勝進出選手に負けた選手によって、負けた順に組み合わされる(例:予備戦で負けた選手−1回戦で負けた選手、その勝者−2回戦で負けた選手、その勝者−3回戦で負けた選手…)。最後に残った2選手が3位となる。

 [3]3位入賞の選手に負けた2選手が5位となる。7位以下の選手は、敗者復活戦に出場した選手も含め、勝ち点の合計によって順位がつけられる。勝ち点はフォール勝ちが「5点」で、以下は従来と同じ。勝ち点が同じ場合は、フォール勝ちの多寡などで決まる。

 [4]各階級は1日ですべて(予備戦〜敗者復活戦、決勝)を終了する。試合間隔は最低15分あけることとする。

2、試合時間と試合の勝者の決定

 [1]試合は3セット(「ピリオド」のままの名称を使用する可能性もあり)マッチで行われ、各セットは2分間、インターバルは30秒。それぞれのセットごとに必ず勝者が決まる。2セットを先に取った選手が、その試合の勝者となる(同一選手が第1、2セットを選手した場合は、第3セットは行わない)

 [2]フォールが成立した場合は、その時点で試合の勝者となる。

 [3]セット終了時点で同点の場合は、ビッグポイント(3点、2点)の多寡で勝者が決まり、それも同じ場合は先取点を取った選手が勝者となる。

 [4]2分以内で6ポイント差がついた場合、その時点でセットの勝者となる。

 [5]5ポイント技(グラウンド状態の相手を投げる)を成功させた選手は、その時点でセットの勝者となる。

 [6]3ポイント技(首投げなど)を同一セット内で2度成功させた選手は、その時点でセットの勝者となる。

 [7]セットが0−0のまま終了した場合、クリンチが命じられ、コイントスによって優先権が決定される。クリンチの時間は従来の1分から20秒に変更。

3、ポイントの変更、その他

 [1]スタンドポジションの選手は、いかなる場合においても、プロテクションエリア(場外)に足を踏み出した場合、相手選手は1ポイントを獲得する。

 (注)完全な“押し出し”(プッシュ)の場合に、どうなるかは不明

 [2]スタンド及びパーテールポジションのいなかる状況においても、場外逃避、技術回避が生じた場合、罰則が科せられ、相手選手に1ポイントあるいは2ポイントが与えられる。

 [3]出血を除いた負傷による試合停止(例:関節をひねったことを理由にタイムをとるなど)は、すべて罰則が科せられ、相手選手に1点が与えられる。

 [4]グラウンドからのリフトによるボーナスポイント、エスケープ・ボーナスポイントは廃止。

 [5]パッシビティ(消極性)は廃止。コーション(警告)によるパーテールポジションの選択は廃止。

 [6]ガッツレンチとアンクルホールドの特別禁止事項は廃止(連続して仕掛けてポイントを取ることが可能)。

 [7]フリースタイルのクリンチは、従来と別の方法で実施する予定(来年1月に正式決定予定。相手の足に手を回しこむ=タックルへ入った状態=などが候補とされている)。

4、階級の変更

 [1]男子シニアに50kg級を追加する。ただし、この階級はオリンピックでは実施しない。




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