【特集】世界一に近い実力を証明…豊田雅俊




 1回戦のイストバン・マヨロス(ハンガリー)を接戦の末に競り負け、上位入賞を逃した豊田(10位)。しかし、そのマヨロスがこの階級で優勝したことで、豊田の実力も世界一に近いものがあることが証明された。

 マヨロス戦は、ローリングで2−0とし、リフト技を狙いながら体勢が崩れて乗られて2点を取られてしまった(自らも1点で3−2)。「あそこが勝負どころだった。6−0にするか、最低でも3−0にしていれば…」と悔やんだが、リフト技を狙ったことに後悔はない。「4年間、リフト技を練習してきた。やってきたことを出さなければ、ここに来た意味がない」と言う。

 その分、2回戦のヤンセル・ラミレス(ドミニカ)戦にリフトを爆発させた
(写真右)。初めてのオリンピックだが、あがってしまって実力を発揮できなくなるような緊張感はなく、「ほぼイメージ通りの試合ができた」という。ただひとつの失敗は、マヨロスにリフト技を失敗したことなのだろう。

 来年からルールが変わり、5点技1回か3点技2回でセットを取ることができる。パッシブによるパーテールポジションの選択がなくなるので、これの克服の方が先だが、リフト技にこだわりを持つ豊田は大きな利をもっているといえるだろう。

(取材・文・樋口郁夫)



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