【特集】A・ナザリアンへ現役続行を熱望…笹本睦



 誤審によるアルメン・ナザリアン(ブルガリア)戦の黒星にもめげずに5・6位決定戦に出場した笹本睦は、過去1勝1敗の相手のヌルラン・コイザイガノフ(カザフスタン)を破って5位を確保した。

 誤審による負けがあまりにも悔しく、試合後は報道陣の前を通りすぎる前から号泣して控室に戻った。「負けて泣いたのは久しぶり。高校の時の国体(1995年)で負けた時以来です。がまんしようと思ったけど、がまnできなかった」という。そのショックが尾を引き、選手村へ帰っても気分は晴れなかった。「起きていると考えてしまうから」と、ひたすら眠ったという。

 それでも会場へ戻り、試合の準備をしていくうちに気持ちは盛り上がった。コイガイザノフには2002年のアジア大会で勝っているが、昨年の世界選手権で負けており、この時は油断があったという。その二の舞はごめんとばかりに終始攻めて勝利につなげた。
(写真は父を応援する子供たち)

 5位という結果には満足していないが、「いまさら何を言ってもどうにもならないから」と判定への不満は抑えた。しかし最後の試合を勝つことができて、少しは気が晴れた様子。「もう1回ナザリアンとやりたい。引退してほしくない」と、新たな闘志も湧き、30歳の相手への現役継続を熱望した。

 自らは2008年北京五輪を目指して再スタートを切る予定で、次の目標は10月の埼玉国体。「4年間のうちには、若い選手も出てくるでしょう。それに負けないように自分も強くなっていきたい。レスリングが好きだから、できる限り続けて、勝ち続けたい」と気を取り直していた。大誤審にもめげずに再起してくれることを願いたい。

(取材・文=樋口郁夫)



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