【特集】世界王者相手に奮闘…赤石光生さんの教え子アフガニスタン選手




 ロサンゼルス五輪銀メダリストの赤石光生さん(ジャパンビバレッジ=写真下の右)が指導するバシール・アーマド・ラフマティ(アフガニスタン=写真右)が、ワイルドカードでアテネ五輪に出場。初戦で昨年の世界チャンピオンのディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)、2回戦でロシアのマフレット・バチロフといった強豪と戦うくじ運の悪さにもめげずに全力ファイトを展開した。

 「世界チャンピオンということは知っていた。誰が相手でも持っている力を精いっぱいだそうと思った」そうで、最後は5分3秒、0−11のテクニカルフォールとなったが、第1ピリオドはかなり粘ることもあった。2試合で1ポイントも取れず、22選手中の22位に終わったが、この組み合わせならラフマティでなくとも最下位になろうとういうもの。レスリングの形になっており、赤石さんの指導の跡が随所に見られた。アフガニスタンの復興後の初の五輪出場としては、よくやった方だろう。

 「赤石コーチからは、アフガニスタンの夢をもって頑張れ、と言われた。オリンピックに出られたことはうれしかった。でも、この試合で負けたことが辛い。今後に生かしたい」と闘志は十分だ。

 赤石さんは「前回(2002年アジア大会前)は7、8人の選手相手だったが、今回は約3か月、マンツーマンでみっちり鍛えてきた。すぐ音(ね)を上げるから、週5日はぶち切れていた」と内幕を話しながらも、アフガン復興の一翼をになえて満足そう。

 「今後、彼がレスリングを続けるかどうかは本人の意思に任せる」そうで、アフガニスタンから3度目の指導要請があったときには、「次は若い人にお願いしますよ。ボクはもう40歳になりますから…」と苦笑い。フガニスタン・レスリング界が離してくれるものかどうか。

(取材・文=樋口郁夫)



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