田南部力が銅メダル獲得、井上謙二は準決勝進出…男子フリー第2日



 アテネ五輪レスリング競技は8月28日、フリースタイル4階級の決勝などが行われ、3位決定戦にまわった55kg級の田南部力(警視庁)はアミラン・カーンタノフ(ギリシャ)を7−0で下し、銅メダルを獲得した。このメダル獲得で、レスリング男子は戦後初参加となった1952年ヘルシンキ五輪以来、不参加だったモスクワ五輪を除いてメダル獲得の伝統を続けることができた。

  60kg級の井上謙二(自衛隊)は1回戦でダミール・ザハルディノフ(ウズベキスタン)に2−3で判定負けしたが、2回戦で鄭栄鎬(Jung Youn Ho=韓国)に7−2で判定勝ち。4選手が1勝1敗で並んだあと、3回戦でルボス・シケル(オーストリア)を5分41秒、13−0のテクニカルフォール勝ち。鄭栄鎬もザハルディノフをフォールで下して勝ち点で並ばれたものの、直接対戦で勝っている井上のリーグ1位が決定。トーナメントの関係で準決勝進出を決め、4位以内を確保した。

 74kg級の小幡邦彦(綜合警備保障)は3回戦でイワン・フンドロフ(キューバ)に0−8で敗れ予選リーグ敗退。勝ち点の関係で13位となった。

 各階級の成績は下記の通り(細線は既報)。


 【55kg級】田南部力(警視庁)   3位=22選手出場

予選1回戦 ○[5−2] Namig Abudullaev(アゼルバイジャン)
予選2回戦 ○[4−3] Yogeshwar Dutt(インド)

予選3回戦  BYE
決勝トーナメント1回戦 ○[Tフォール、2:29=10-0] Kim Hyo Sub(韓国)
準 決 勝 ●[0−3] Stephan Abas(米国)

3位決定戦 ○[7−0] Amiran Karntanov(ギリシャ)

 
《経過》田南部がタックルで1点を先制し、さらに片足タックルで2−0へ。第2ピリオドもタックルから一気にニアフォールを奪って2点を加え、両太ももをつかんでのガッツレンチで1点を追加。場外となってパーテールポジションのあと、アンクルホールドを決めて7−0へ。そのままのスコアで振り切り、銅メダルを獲得した。


 日本男子のメダル獲得の伝統を守った田南部力の話「グレコ、フリーの9選手のみんなのおかげで、ボクがここにいるのだと思います。笹本はミスジャッジで負けたのであって、本当は彼も表彰台に立っていたはずです。金メダルじゃなかったのは、悔しいけれど、多くの人が喜んでくれて、本当によかったと思います」

 
田南部の指導をしてきた日本協会・和田貴広専任コーチの話(涙声で)「自分の場合、アトランタ五輪で金メダルしかいらないと思っていて、3位決定戦では力が入らず負けてしまった。田南部には、レスラーはどんな試合でも全力で戦うことが大事だと言い聞かせた。(3位決定戦で勝てなかった)自分のかたきを討ってもらったようです」

  【60kg級】井上謙二(自衛隊)   19選手出場

予選1回戦 ●[2−3] Damir Zakhartdinov(ウズベキスタン)
予選2回戦 ○[7−2] Jung Young Ho(韓国)

予選3回戦 ○[Tフォール、5:41=13-0] Lubos Cikel(オーストリア)

 
《経過》井上が1分すぎにパッシブを取るが、パーテールポジションからの攻撃は不発。しかし2分すぎにタックルを決めて1−0。第2ピリオドも積極的に攻めてパッシブを取り、腕とりからニアフォールへ。5秒間の1ポイントも加え、4−0。タックルで背中から落として3点を加え、波に乗って13点を取ってテクニカルフォール勝ちした。

 次の試合で鄭栄鎬がザハルディノフを17−5からのフォールで下し、井上、鄭栄鎬がともに総勝ち点「8」へ。総ポイントは井上が「22点」で、鄭栄鎬が「23点」だが(このため17点取るまで試合を続行したと思われる)、両者の直接対戦で井上が勝っているため、井上の準決勝進出が決定した。

 準決勝進出を決めた井上謙二の話「(1敗を喫したけれど)1%でも準決勝進出の可能性があるのなら、とことんチャレンジしようと思った。富山監督がセコンドについてくれたのは大学(日大)の時以来です。プレッシャーにもなりましたけど…。1回戦は消極的でスロースターターの悪いくせが出ましたね。あすは積極的に攻めます」


 【74kg級】小幡邦彦(綜合警備保障)   13位=21選手出場

予選1回戦 ○[8−0] Sujeet Mann(インド)
予選2回戦  BYE

予選3回戦 ●[0−8] Ivan Fundora(キューバ)

 
《経過》開始1分にパッシブを取られた小幡。これは耐えたが、その直後にタックルを受け1失点。そのあともタックルを受け、さらに3点タックルで0−5。第1ピリオド終了間際にも1点を取られた。第2ピリオドも回り込まれるなどして、1点を2度取られ、反撃のチャンスを見い出せなかった。



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