【特集】2人の日系選手が“第二の故郷”でファイト




 米国から2人の日系選手が「加ト吉杯2004女子ワールドカップ」参加し、ともに初めて“第二の故郷”でファイトした。

 55kg級でアテネ五輪へも出場したテラ・オドネル(22=
写真右)は父のクリス・ナカタさんが日本人(祖父は沖縄出身の日系人、祖母が日本人)。「父の故郷での試合は、とてもエキサイティングな気持ちになりました。日本人はとても親切だし、日本の文化を知りたくなりました。なぜなら、私には日本人の血が流れているのですから」と言う。

 アテネ五輪では予選リーグでトンヤ・バービック(カナダ)に敗れたため、優勝した吉田沙保里(中京女大)との対戦はなく、今回が初顔合わせ。5−12で敗れてしまい、「今の段階では力の差がありますね」と素直に吉田の実力を認めるとともに、「ことしアメリカ代表になれたものの、オリンピックで自分の実力がまだまだだということが分かりました。自分の穴をひとつひとつ埋めていきたい」と、これから勝負をかける。

 昨年世界2位のティナ・ジョージに勝って米国代表になったのはことし6月のこと。ナショナルチームの一員としてテリー・スタイナー監督から教えてもらってからまだ日が浅く、まだ伸びしろは十分といったところだろう。この大会の2位を飛躍へつなげられるか。

 51kg級のステファニー・ムラタ(33=
写真左)は、父のジェームス・ムラタさんが日系人で横浜生まれ。今回は多忙で帯同できなかったそうだが、世界選手権の度に応援についてくるなど、とても熱心に娘を応援する父親だ。ムラタは「去年、日本でワールドカップがあり、とても日本に来たかった。でもアメリカ代表になれなかったので、残念ながら来ることができませんでした。今年はやっと夢がかないました」と、2年越しに来日を実現できて気分がよさそう。

 2001年世界選手権51kg級で2位となり、アテネ五輪出場を目指して2003年に55kg級へアップ。そこで夢かなわずといった、どこの国にでもありそうな“悲劇”で晴れ舞台に立てなかった。しかし51kg級こそが自分の階級。今年はしっかりと米国代表を勝ち取り、この大会では坂本日登美(和光ク)に敗れただけの2位と健闘した。

 年齢からしてここ1、2年が勝負どころといったところで、「北京五輪までレスリングを続けるか、北京五輪が何階級で実施するかは分かりません。しかし、できる限りレスリングを続けたい。毎年、毎年が勝負です」と、今後の飛躍と再度の来日を楽しみにしている様子だった。
(写真右は1999年世界選手権=スウェーデン・ボーデン=での、ステファニーと父ジェームズさん)



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