【特集】場外際の攻防に戸惑い…アテネ五輪代表・永田克彦



 シドニー、アテネの両五輪代表のグレコローマン74kg級の永田克彦(新日本プロレス職)が準決勝で学生二冠王、20歳の鶴巻宰(国士大)に0−2で敗れた。第1ピリオドは0−1、第2ピリオドは0−0のあとのクリンチ勝負で見事なそり投げを決められ、そのままフォール負け。北京五輪を目指しての再出発の大会でつまずいてしまった。

 1ピリオド2分という時間が速すぎ、反撃する間もなかったという感じで、昨年の全日本選手権決勝で菅太一と大激戦の末に精も根も尽きての負けとは違う敗戦。「こんなに疲れずに負けたのは初めて」と話すと、そばにいた兄・裕志さんも「去年とは違うな」と苦笑い。

 ルール変更で一番戸惑ったのは場外へ出ると1失点というルール。「怖くて攻め込むことができなかった」という。これまでの「パッシブ→パーテールポジション」という得意パターンができなくなったことも影響があり、「10何年間、やってきたルールですからねえ…。ま、言い訳しても仕方ないけど」とがっくり。

 アテネ五輪で2連敗を喫し、悔しくての現役続行だったが、大舞台を終えたあとでモチベーションを上げることに苦労した面もあるようだ。負けたことで、「もう一度頑張ろうという気持ちです」と、今度こそモチベーションは上がりつつある。「もう一度世界に出たい。来年の世界選手権に出るために、全日本選抜選手権で勝ちたい」と気を取り直した。

 裕志さんは「時間が短く、レスリングが前と違う。先に場外に押し出せば、あとは守れるという感じ。反撃を封じ込まれてしまう」と旧ルールとの違いを実感した様子。今回の経験をもとに、半年後までにどんな指導をして戻ってくるか。




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