【特集】ちょっぴり冷や汗をかきながらの6連覇…男子グレコ84kg級・松本慎吾

 ▼2回戦  松本慎吾(一宮運輸)○[2−0(TF6-0,TF6-0)]●松永修司(日体大)
 ▼準決勝 松本慎吾(一宮運輸)○[フォール、2:59]●萬ェ史(自衛隊)
 ▼決  勝 松本慎吾(一宮運輸)○[2−1(0-1,TF9-0,4-0)]●齋川哲克(日体大)

  《決勝戦経過》第1ピリオド、松本の仕掛けを斎川がかわし、松本の体が場外へ出て1失点。このままのスコアで斎川が先制した。第2ピリオドは松本が変形の一本背負いで3点を取り、胴タックルから押し倒すようにして攻めてテクニカルフォール。第3ピリオドも松本が組み合ってからテークダウンを奪い、豪快な俵返しを決めて地力の差を見せつけた。


 アテネ五輪7位の松本が、いつもの練習相手でもある斎川哲克に思わぬ苦戦をしいられながらも、順当勝ちで6連覇を達成した。

 ふだんの両者の練習を見ている者なら、松本が圧勝すると思ったことと思う。しかし、練習通りにいかないのが試合。まして斎川は1年生で学生王者に輝いた選手であり、意地もある。第1ピリオドを斎川が取ったとき、会場には「もしや…」という空気も流れた。

 当の松本も「ヒヤッとした。実力差があっても、焦りが出てしまうと技が単調になてしまうから」と穏やかではなかった様子。それでも、1ピリオドを先行されたことで表情が変わったことは誰の目にも明らかだった。闘志を燃やしつつも冷静に試合を進め、第2・3ピリオドを連取したのはアジア大会王者、五輪7位の選手の実力といったところ。

 最初に場外へ飛び出てしまったのは、新ルールによって、「スタンド・レスリングでポイントを取らなければならない」という意識が強すぎたためだという。これだけの選手をもってしても、戸惑うのが新ルールということか。しかし第2、3ピリオドには大技を決めることができ、「国内の試合ではサービス精神が旺盛になるんですよ」と、実力の違いもアピールした。

 アテネ五輪が終わり、しばしの休息のあと北京五輪へ向けてスタートした。まずは世界選手権でメダルを取ることが目標。「結果を積み重ねていけば、北京五輪がはきりと見えてくると思う」。はっきり見ようと思うのは“金メダル”であることは言うまでもない。




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