ライバルと競い合う意識を高めたい…鈴木光・女子強化委員長




 全日本女子の03年スタートにあたり、全日本女子連盟の鈴木光強化委員長に、あらためて練習方針を聞いた。


 「新年最初となる今回の合宿は、主に精神面での意識改革を重点に挙げたい。具体的には練習からライバルと切磋琢磨(せっさたくま=激しく競い合う)しろ、ということ。選手は同じ階級の相手と練習することを避ける傾向にあるが、これではお互いに力はつかない。お互いがレベルアップし、その中で練習すれば、世界へ出た時に楽に勝てる状況になる。このことをしっかりと認識させ、意識を高めたい。

 昨年の世界選手権では金メダルを3個取れた。しかし、ことしも取れるか、となると断言はできない。現状に満足してしまっては連続で世界一になることはできない。48kg級にしても、世界のトップクラスにいることは間違いなく、ワールドカップでは優勝しているし、だれもが世界一になれる力を持っているが、96年以来(最軽量級で)世界一が生まれていないのは間違いない事実であり、このことをしっかりと認識していかなければならない。

 1月28日からはロシア・ドイツ遠征に出る。大学の試験の関係で中京女大選手が参加できなかったのは残念だが(メンバーは吉村祥子、坂本真喜子、正田絢子、斉藤紀枝、浜口京子)、強化の最重点階級になる48kg級にとっては貴重な遠征になるはず。昨年の世界チャンピオンはドイツのブリジット・ワグナーだが、実質的には2位に終わったインガ・カラムチャコバ(ロシア)の方が上だと思われる。ロシアの『ヤリギン国際大会』でこの選手と対戦する機会に恵まれると思うので、実際に肌を合わせることで何かをつかめるだろう。その後のドイツ合宿では、ワグナーと練習できる。

 72kg級の浜口にとっても貴重な遠征になりそう。欧州チャンピオンの (ロシア)は、もう浜口に苦手意識を持っているので怖くはないが、新しい選手が出てきても圧倒的な強さを見せつけることで、今後の闘いを有利に運べる。ドイツでは過去3戦3敗のニナ・イングリッシュの動向を探ることができる。練習の機会があれば、昨夏の世界合宿で世界チャンピオンのエディタ・ビトコウスカ(ポーランド)を圧倒して苦手意識を植え付けたように、徹底的にやらせるつもりだ。

 このほか、山本美憂・聖子の2選手から米国の「デーブ・シュルツ・メモリアル大会」への参加希望があった。実力的に見て、全日本のロシア遠征に参加させてもいいと思ったが、ブランクと負傷あけであり、全日本メンバーということでなくリラックスした気持ちで試合を経験したいということなので、連盟として承認した。こうした、自らに一番の強化方法を考えて希望してくる選手が今後も出てほしい。

 3月にはスウェーデンとポーランドへ遠征し、それぞれ大会に出場する。これには中京女大選手も参加する。ともにレベルの高い大会であり、世界選手権の前哨戦ともいえるので、ある程度の結果は求めたい」



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