【特集】米国遠征の3人の金メダリストに聞く




 1月下旬から米国遠征していた男子両スタイルのナショナルチームとジュニア選抜チームが2月11日、帰国した。2大会に出場したグレコローマンでは、55kg級の豊田雅俊(警視庁)、60kg級の笹本睦(綜合警備保障)、84kg級の松本慎吾(一宮運輸)の4選手が金メダルを持ってのがい旋。フリースタイルでも55kg級の田南部力(警視庁)がシドニー五輪銀メダリスト(98年世界チャンピオン)に惜敗の銀メダルと内容はよく、同行したコーチの表情は明るかった。

 金メダルを取った3選手(写真右から、笹本、豊田、松本)に聞いた。なお、次回の遠征は、グレコローマンが3月18日〜4月3日にギリシアへ向かい、合宿とアクロポリス国際大会出場。フリースタイルが3月25日から4月8日にベラルーシとブルガリアに向かい、合宿とメドベジ国際大会、ダンコロフ国際大会に出場する。


 【55kg級:豊田雅俊(警視庁)】

   《コンコードカップ》  優勝
 ○[Tフォール、0:58=10-0] Neal Rodak(米国)
 ○[6−0] Lindsay Durlacher(米国)
 ○[3−2] Brandon Paulson(米国)
 ○[4−0] Neal Rodak(米国) 
 ○[不戦勝] −−−(ウズベキスタン)

   
《デーブ・シュルツ国際大会》  5位
 予選1回戦 ●[フォール、5:25] Lindsey Durlacher(米国)
 予選2回戦 ○[6−1] Anthony Gibbons(米国)
 予選3回戦 ○[3−0] Enrique Montiel(米国)

 「コンコードカップでは、肉離れをおかしてしまったが、その分、冷静に試合ができた。リフトが決まったので満足している。デーブ・シュルツ大会では、コンコードカップで勝った選手に負けてしまった。グラウンドで指が入らずポイントが取れなかった。フォール負けは、瞬間フォールで残念な結果になったが、地元びいきのような判定でもあった。こんなことに負けてはならない。

 久しぶりの海外での試合。最初は怖かったが、日本でやる以上に伸び伸びとできた。しかしグレコローマンの本場はヨーロッパ。次の遠征で、まだ勝負をかけたい。外国では、グラウンドで相手が腕を閉じていても、なかなか「オープン」を取ってくれない。そこをどうクラッチを組むか。クラッチさえ組めればポイントを取れるので、いかに早くクラッチを組むかを研究したい。

 カザフスタンのアジア・チャンピオンがアメリカの選手に負け、そのアメリカの選手に自分が勝った。勝敗を分けるのは、ほんの少しの差だと思う。そこを克服したい。


 【60kg級・笹本睦(綜合警備保障)】

  《コンコードカップ》  優勝
 ○[フォール、5:57]Glenn Nieradka(米国)
 ●[0−4] Joe Warren(米国)
 ○[3−1] James Gruenwald(米国)
 ○[不戦勝] −−−(米国)
 ○[4−3] Dilshod Aripov(ウズベキスタン)

  
《デーブ・シュルツ国際大会》  優勝
 予選1回戦 ○[Tフォール、4:19=14-0] Jason Chao(米国)
 予選2回戦 ○[Tフォール、2:54=10-0] Marcos Jeabtete(米国)
 予選3回戦  BYE
 準 決 勝 ○[4−2] Joe Warren(米国)
 決    勝 ○[3−2] James Gruenwald(米国)

 「コンコードは世界チャンピオンと戦うことができていい経験になった。デーブ・シュルツ杯はキューバ選手が途中で負けてしまって残念だったが、優勝できたのでよかった。やはり世界チャンピオンを破ったことは自信になる。ただ、グラウンドを返されてしまった。去年の世界大会でのウズベキスタン選手(今回とは別選手)の惨敗の気持ちは吹っ切れたとはいえない。もっと防御をしっかりしないとならない。強い選手は必ず返してくる。

 去年から国際大会で勝ってはいるが(昨冬は2大会優勝)、アジア大会で勝っていないから満足はできない。こんなことで満足していては、オリンピック予選(ことしの世界選手権)では勝てない。遠征はもう1回あるが、スタンドでの攻めとグラウンドの防御を課題としたい。0点に押さえれば勝てるとは思うが、守ってばかりでも勝てないので、攻撃力も身につけたい」


 【84kg級:松本慎吾(一宮運輸)】

  《コンコードカップ》 負傷棄権

  
《デーブ・シュルツ国際大会》  優勝
 予選1回戦 ○[不戦勝] Ethan Bosch(米国)
 予選2回戦 ○[8−0] James Meyer(米国)
 予選3回戦 ○[10−2] Jake Clark(米国)
 準 決 勝  ○[5−4] Keith Sieracki(米国)
 決    勝  ○[5−0] Aaron Sieracki(米国)

 「コンコードカップは、けがと調整不足で棄権したが、その分、デーブ・シュルツ大会に照準を合わせた。キューバ、米国のトップ級が出る大会で優勝できたのは、いい経験であり自信になる。次のギリシアでの大会につながるし、ひとつひとつ積み重ねて、アジア選手権、世界選手権を目指したい。
 全日本選手権の前に(左腕を)けがして、なかなかスパーリングができず、てこずった部分はあるが、そんな状況でも勝つ試合ができるようになった。自分の得意な俵返しのパターンができてきた。だれが相手でも確実に取れるように完成させたい。

 体力的には、外国のだれにも負けていないと思う。あとは細かな技術をマスターしていけが、勝てるはず。ヨーロッパの大会で優勝してこそ本物。次も勝ちます。イェルリカヤ(トルコ、五輪V2で昨年9月に惜敗)が出てきたら、何としてでも勝ちたい」




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