【浜口京子手記】「慢心することなく、努力を続けます」



 3月のヨーロッパ遠征で、宿敵を次々に撃破して2大会連続優勝を飾り、世界V5とアテネ五輪金メダルへ一直線の72kg級の浜口京子選手(ジャパンビバレッジ)が、本ホームページに現在のレスリングにかける思いをつづってくれた。(4月14日からの第1回全日本女子チーム合宿にて)


 アテネ・オリンピックまで500 日を切ったとか、ことしの世界選手権まであと5カ月とか言われますけど、そういうことは全く意識していません。確かに、2003年が明けたときは「アテネ・オリンピックでの金メダルを目標に、今年一年がんばろう」と誓いましたが、その思いは片隅に行ったというか、“今”を考えるようになってきました。

 とにかく目の前の大会、試合でいい成績を残すことだけ。練習でやってきた技が試合でどれだけ使えるか、それだけを冷静に考えて、一つずつやっています。スピードもテクニックも気持ちの面でも、まだまだ自分は一番いい状態には達していない発展途上の人間ですから。

 もちろん全ての大会で負けずに必ず優勝するという目標はありますけど、もっともっと伸びていきたいと思っています。そのためには、今は細かいところに注意していかなければいけないと感じています。今まで使っていた技でも、細かいところを直してこうすればもっとかかりやすくなるんじゃないかとか。それと同時に、今まで全く使ったことがない新しい技にもチャレンジしていきたいです。

 レスリングは奥が深いですね。今は練習した技がどんどんかかるので楽しいですけど、やればやるほど奥深さを痛感します。自分はまだ10年足らずの選手ですから、まだまだ覚えなくてはならないことがたくさんあって。とにかく少しでも自分が良くなれたらと思って勉強しています。スポンジを水に浸すとすぐに吸収するじゃないですか。今はそんな気持ちで、指導していただいています。

 今までは父(アニマル浜口さん)と道場のコーチ、全日本合宿では鈴木光監督や栄和人コーチ、金浜良コーチに教えてもらっていましたが、今回ジャパンビバレッジに入れていただいて、さらに多くの方から指導してもらえるようになりました。いろいろ言われて「混乱しないか?」と心配してくださる方もいますが、自分としてはできるだけ多くのコーチからアドバイスしてもらいたいと思っています。また、ジャパンビバレッジではレスリング以外でも多くの人と接する機会ができて、お話させていただくだけでも勉強になりますので、自分にとっていいターニングポイントになったと心から思います。

 3月のヨーロッパ遠征(スウェーデン、ポーランド)では、本当にたくさんのことを学ぶことができました。なかでも、67kg級現役世界チャンピオン(カテリナ・ブルミストラバ=ウクライナ)にフォール勝ちしたことや、ニナ・(ドイツ)に勝てたことはとても大きな収穫でした。特に、ニナにはどこか苦手意識があったと思うんです。連敗(3戦3敗)していましたから。今回試合で勝てただけでなく、練習で何度もスパーリングし、倒せたし、クリンチの練習でも勝てたので自信になりました。

 クリスチン・ノードハゲン(カナダ=世界V6)には、フォール勝ちなんて考えてもいなかったので自分でもびっくりしています。でも、クリスチンは本番に強く、ここぞっていうときいは絶対に勝つので気は抜けません。

 今回の遠征で中国とアメリカ以外の選手とは一通り対戦して、うまくたたくことができましたが、彼女たち一人一人の対応を考えるより自分自身のレスリングをしっかり確立したいと思います。すきがないというか、弱点のない自分にしたい。クリンチひとつとっても自信はありますが、今もっているものの幅を広げたいし、応用できるようになりたい。もっと新しい技、グラウンドでもスタンドでもここで1点というときに必ず返せる技を身につけ、それが確実に試合で出せるようになりたいと思います。

 長い遠征から戻って、すぐにジャパンビバレッジの合宿があって、ジャパンクイーンズカップ。今、ようやくホッとして、一息入れているところです。思い切りショッピングも楽しめました。あとは次の全日本合宿までに時間があれば、1月(アテネ・オリンピック強化対策研究会)に行った勝浦のタラソテラピーでのんびりしたいなぁと思っています。

 よりいっそうレスリングに打ち込める環境が整い、ここまで順調に来ていますが、これから先さまざまな苦難に出会うと思います。それでも、何事も恐れず、慢心することなく毎日努力していきますので皆さん応援よろしくお願いします。



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