【特集】山本姉妹がリベンジ! どうなる女子の日本代表



 女子の世界選手権日本代表を決める参考試合が5月2日、新潟・十日町市で行われ、先月6日の「ジャパンクイーンズカップ2003」(栃木・足利市)で優勝を逃した48kg級の山本美憂(PUREBRED)と55kg級の山本聖子(ジャパンビバレッジ)が、ともにチャンピオンへのリベンジに成功した。

 女子の参考試合は7月中旬まで、あと2〜3回行われる予定。日本代表の行方が混とんとしてきた。参考試合から、2試合をレポートする。(取材・文/宮崎俊哉)


 ▼55kg級
山本聖子(ジャパンビバレッジ)○[5−4]●吉田沙保里(中京女大)

 
《経過》開始1分、得意のタックルで1点を奪った吉田は、グラウンドでも2点追加。3−0とリードして前半を終えると、後半開始早々にも1点を重ね4−0。だが、ここで姉・美憂から「聖子、強気!」の声がかかると、山本はが然攻撃に転じ、3点を連取。ニアフォールに持ち込んで2点を加え5−4と逆転した。

 第2ピリオドのラスト20秒ころから吉田が一方的に攻めまくり、3度タックルに入ったがいずれも場外となりポイントならず。山本が5−4で昨年の「ジャパンクイーンズカップ」以来の連敗(参考試合を含む)を「5」で止め、雪辱を果たした。(写真は吉田を攻める山本)

 山本聖子の話「試合内容はわからないですけど、自分の気持ちを前に出せたと思います。ラストは20秒は攻められっぱなしだったので、ダメですね。腰が浮かないよう低く構えることと、足が残らないようにすることを9分間意識して戦おうと決めていましたが、それだけはできたと思います。9分間です。延長までもつれるような接戦になると覚悟していました。ようやく一つ返すことができましたが、まだまだです。いっぱい借りているのでたくさん返さないといけないですから」
 吉田沙保里の話「グラウンドが課題ですね。3−0としたあと一気に行っていれば…。攻め続けるのが自分のレスリングなのに、攻めるのが遅すぎました。聖子さんは前回までと違って構えが低くなっていてタックルに入りずらかったですね。でも、きん差の逆転負けですし、タックルでポイントを取られたわけではないので、次は絶対勝ちます。アテネ・オリンピックまで負けなしで行きたかったですけど、気持ちを入れ換えて1から出直します。勉強になりました」

 ▼48kg級
山本美憂(PUREBRED)○[3−1]●坂本真喜子(愛知・中京女大付高)

 
《経過》お互いにけん制しあい、前半は真喜子がバックにまわって1点をあげたのみで終了。後半も両者とも決め手を欠いて試合は淡々と進んだが、ワンチャンスを生かした美憂が真喜子をマットにたたきつけ、3点を奪って逆転。

 試合終了のブザーが鳴ると、ぼう然と天井を見上げた真喜子の脇で美憂は目に涙を浮かべ、自ら手をたたいて喜んだ。(写真は一進一退の攻防を続ける山本=赤=と坂本)

 山本美憂の話「聖子が勝ったので、それについて行こうと思いました。勝ったことよりも、“最後まで絶対諦めないで試合を終えること”を課題にしていたので、それがしっかりできたのがうれしくて自分で手をたたいてしまいました。クイーンズカップが終わってからは、父に精神面やタックルの入り方、切り方など、基本の細かいことを注意され続けれきましたが、それができたのがよかったと思います。体力がついてきたので粘りが出て、技がきちんとかかりきるようになりました。普段聖子のバカ力にやられているのがいいんでしょうね。今回はまだ第一歩。これをきっかけにアテネ・オリンピック目指して駆け上がりたいと思います」



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