【特集】ビル・メイのアジア選手権リポート…第1日

取材/文:ビル・メイ
(チェコ・プラハ在住、元国士大コーチ)


 第16回アジア選手権が、45度の猛暑につつまれているインドの首都ニューデリーのインディラ・ガンジー・インドア・スタジアムで行われ、初日(5日)は男子のフリースタイルとグレコローマン、女子の3階級ずつが行われました。

 アジア選手権に急きょ出場することになった女子55kg級の立本小百合(中京女大)が日本選手の中で一番早く決勝進出を決めました。

 立本は
第1試合で、昨年の釜山アジア大会銀メダリストのリー・ナラエ(韓国)を足払いなどで攻め、4−0で勝ちました。夜のセッションではマンジュ・シェカバント(インド)に対して、上下左右に動いたりして相手のスタミナ切れをさそい、一方的に攻めて5−0の勝利。文句なしの2勝でj決勝へ進みます。

 女子の他の階級では、48kgの野口美香(鹿児島・鹿屋ク)と63kg級の正田絢子(東洋大)が1試合ずつを楽勝しました。野口は1回戦でサニヤ・ラキモバ(カザフスタン)に首投げからガットレンチなどで攻め8−1とリード。さらにポイントを重ね、11−1でテクニカルフォール勝ちしました。しかし、最初のスクランブルで左足を取られて、ひざを痛めたようで、ちょっぴり心配です。

 00・01年に続いて3度目のアジア・チャンピオンを目指す正田は、1回戦で試合がなかったあとの2回戦で、台湾のチュアン・シュファンにガットレンチを3度も決めて、最後に腕取りでフォール勝ちしました。

 男子も頑張り、惜しい試合がありましたが、結果は黒星が先行してしまいました。フリースタイル55kg級、昨年の世界学生チャンピオンの松永共広(日体大研)は2試合とも延長戦で1ポイント差負けでした。

 1回戦はバウイェザン・オラザリエフ(カザフスタン)に対していいペースをつかみ、リズムも乗りましたが、ポイントにつなげることができません。逆に2分過ぎ、オラザリエフにハイクロッチを許し先制ポイントを取られました。松永は第2ピリオドに入ってすぐに両足タックルで同点としましたが、また、ハイクロッチを決められました。それでも再び両足タックルで2−2の同点に追いつきました。終了間際に微妙な判定がありましたが、ジャッジ、チェアマンとも0ポイントとし、延長戦に入りました。

 松永はクリンチから大内刈りを仕掛けましたが、オラザリエフが足を出して逃げて、それからゴービハインドでポイントを取られ、接戦をものにすることができませんでした。

 2回戦ではイランのモハマド・アスラニにハイ・クロッチなどを決められ0−3とリードされましたが、第2ピリオドでパッシブを取り、グラウンドで3回返して4−3と逆転。しかしラスト1分、またハイクロッチを仕掛けられ同点。延長戦でもよく粘りましたが、最後はアスラニにハイクロッチを決められ、またしても競り負けました。

 ことしのフリー66kg級世界選手権代表の池松和彦(日体大助手)はキム・スンシル(韓国)に対し、第1ピリオドはともにポイントがなく0−0。第2ピリオドはクリンチでスタート。キムは腰を下げたので、池松が大外刈りをしようとしたところ、逆に投げられてしまいました。ローリングでまわされ0−4。池松は片足タックルとトーホールドで1点差まで反撃しましたが、ラスト40秒にバックを取られ、試合が終わりました。 

 夜の試合では、イ・ウェイチュアン(台湾)に対し、ガブリから外無双を決め、一気にフォールしました。

 拓大1年生の磯川孝生はマゴメド・クズギエフ(カザフスタン)のタックルとゴー・ビハインドの攻撃になすすべがなく、シニアとしての国際大会のデビュー戦はほろ苦いテクニカルフォール負けに終わりました。

 グレコローマンでは、55kg級の藤田康人(兵庫県協会)が1回戦で昨年のアジア・ジュニア選手権優勝のハミド・バヴァファ(イラン)にテクニカルフォール負け。2回戦では釜山アジア大会の銅メダリストのウラン・カリロフ(キルギスタン)と接戦しましたが、ラスト30秒にでリフトされ、腰投げで投げられて最後は1−8で終わりました。

 66kg級の伊是名正旭(日体大OB)は、初戦で地元のグルビンダー・シン(インド)と対戦。第2ピリオドにリフトを許して0−6で負けました。夜の部では不戦勝をもらいました。

 84kg級では、太田充洋(大分・日本文理大付高職)がカンヴァン・チュク(ベトナム)に対してスタンドこそポイントを取れませんでしたが、パッシブをもらって、リフト、ローリング、リフトと攻めてテクニカル・フォール勝ちしました。しかし、夜の2回戦では、一昨年のアジア選手権3位のエフゲニー・エロファイロフ(ウズベキスタン)に対して健闘もむなしく0−3で負けてしまいました。



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