【特集】山本姉妹が明暗…女子参考試合から



 6月18日に新潟県十日町市の日大レスリング部合宿所で行われた世界女子選手権の日本代表選考の参考試合で、前回はともに勝って姉妹出場の夢をつないだ48kg級の山本美憂(PUREBRED)と55kg級の山本聖子(ジャパンビバレッジ)が、今回は明暗を分けた。

 55kg級の山本聖は世界チャンピオンの吉田沙保里(中京女大)に判定勝ち。昨年末の全日本選手権からの対戦成績を2勝2敗とし、来月16日の最終参考試合に2年ぶりの世界選手権出場をかける。一方、48kg級の姉の山本美は坂本真喜子(愛知・中京女大付高)にフォール負け。古傷を痛め、苦しい展開となった。

 アテネ五輪で金メダル量産の期待がかかるだけに、マスコミの関心も高く、東京から離れた携帯電話も通じない山奥であるにもかかわらず、30人を超える報道陣が集まり、同日深夜のテレビ東京のスポーツ番組で試合のもようが報じられた。

 なお最終参考試合は、7月16日に東京・国立スポーツ科学センターで行われる。(取材・文/宮崎俊哉)


 【55kg級】

山本聖子(ジャパンビバレッジ)○[6−4]●吉田沙保里(中京女大)

 
《試合経過》山本聖は吉田のタックルを完全に見切り、すべてがぶって防いだ。パッシブをとるとパーテールポジションからローリングをきめ2点を先取。さらにパーテールポジションから今度はニアフォールを奪い2点獲得。バックに回られ1点を失うものの、場外間際で投げを決めて1点加え、第1ピリオドを5−1で終了。

 第2ピリオドは、吉田がフェイントを交えながらタックルを連発して1ポイントずつ取り、1ポイント差まで追い上げた、しかし、残り30秒を切ったところで山本聖が冷静に吉田をコントロールして1点を追加し、逃げ切った。


  (青が山本聖子)

 山本聖子の話「自分から積極的に行くことだけを心掛けて戦いましたが、気持ちの部分で相手を上回れました。後半は守り入ったわけではないんですが、1点差になった時、ハッとして『自分から攻めないといけない』ともう一度自分に言い聞かせて、1点取れたのがよかったと思います。吉田選手に2連勝できましたが、まだまだです。7月の選考試合ではもっといい内容の“聖子のレスリング”を目指したいと思います」

 【48kg級】

坂本真喜子(愛知・中京女大付高)○[フォール、3:26=3-1]●山本美憂(PUREBRED)

 
《試合経過》山本美が1点を先行し、坂本が追い上げる形となった。坂本が両足タックルを決めて3点を奪い、3−1と逆転したところで第1ピリオド終了。後半開始早々、坂本が両足タックルから美憂をかつぎ上げ、そのままマットに落としてフォール。前回の雪辱を果たした。



  (青が山本美憂)

 坂本真喜子の話「5月に負けているので、どうしても勝ちたかった。絶対やってやる、という気持ちでこの1カ月間練習してきました。これまでは、監督やコーチに言われるままに練習してきて全日本選手権もクイーンズカップも優勝してきましたが、今回は自分でもかなり意識が変わり、試合でも気持ちが入ってきたと思います。

 パワーをつけるのが課題だったので、ウエイトトレーニングをミッチリやってきました。最初ポイントを取られて、正直言うと少し焦ってしまいましたが、気持ちが高ぶらないように気をつけていたのがよかったと思います。この調子で世界選手権とオリンピックを目指しがんばっていきたいです」




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