【特集】64か国245選手がエントリー…世界フリースタイル選手権
米国レスリング協会は7月21日までに、世界選手権(9月12〜14日、ニューヨーク)のエントリー状況を発表。64か国から245階級(注:1階級に2〜3選手のエントリーがあるため、「選手」ではなく「階級」で表示)の出場申し込みがあった。
予備エントリー(国として出場するかどうか)は5月30日で、ノミネート・エントリー(各階級3選手までの出場候補選手名)は7月12日でそれぞれ締め切られているが、国際慣習からして、この後も申し込みがあったら受け付けるのが普通。まだアゼルバイジャンやグルジア、中南米諸国、アフリカ諸国などからのエントリーが届いてなく、最終的に70か国を超える国が参加する可能性がある。
各階級とも昨年の世界選手権の上位選手が軒並み参加している。出場が40選手を超える階級もありそうで、予選リーグを勝ち抜いても10位(五輪出場資格)に入れないケースも出てきそう。五輪出場資格を取るには、くじ運に恵まれることも重要になりそうだ。
現時点での各階級の主なエントリー選手は下記の通り(エントリー全選手は、ここをクリック=pdfファイル)。
【55kg級】=30選手
昨年の世界チャンピオンのレネ・モンテロ(キューバ=国内で代表争い中)、世界3位のアレクサンダー・ザカルク(ウクライナ)らがエントリーしているが、同2位でシドニー五輪54kg級王者のナミク・アブデュラエフ(アゼルバイジャン)がまだエントリーしていないが、やがてエントリーするのでは?。
アジアからは03年アジア王者のモハマド・アスラニ(イラン)が国内の強豪を退けて代表権を獲得。ウズベキスタンからはアジア大会の55kg級王者のディルショド・マンスロフではなく、なぜかグレコローマン60kg級アジア大会2位のディルショド・アリポフがエントリーされている。名前の取り違いの可能性もある。
地元米国からは2年連続ワールドカップ優勝のステフェン・アバスが出場する。昨年世界6位の田南部力(警視庁)はどこまで食い込めるか。
【60kg級】=37選手
昨年の世界王者のアラム・マルカリャン(アルメニア)、同2位でアジア大会王者でもあるオユンビレグ・プレフバートル(モンゴル)、同3位で世界王者経験者のモハメド・タラエイ(イラン)の強豪の参加が確定。01年世界王者のギフィ・シサオウリ(カナダ)も加わり、選手数からいってもかなりの激戦となりそう。
【66kg級】=40選手
95・99・02年世界王者のエルブラス・テデエフ(ウクライナ)は国内代表争いの最中のもようだが、ことしの欧州2位から考えても間違いなく出てくるだろう。同2位でシドニー五輪58kg級王者などのアリ・レザ・ダビエル(イラン)のほか、同3位のロシアはことしの欧州王者と国内代表権を争っている様子。01年世界王者のセラフィム・バラザコフ(ブルガリア)も国内で代表権争い中だが出場の可能性が高い。
韓国はアジア大会王者ではなく、ことしのアジア選手権4位の選手がエントリーしてきた。同選手権2位の池松和彦(日体大助手)はどこまで食い込めるか。
【74kg級】=37選手
ロシア代表は誰か? 五輪1度と世界4度を制しているブバイサ・サイキエフ、昨年世界2位のマゴメド・イサガチエフほかの争いのもよう。イランからは昨年の世界王者のメフディ・ハジザデフのほか無名選手がエントリーされている。
ほかに2年連続欧州王者のアルパド・リッター(ハンガリー)、欧州2位のアレクサンダー・レイポルド(ドイツ)、4年連続ワールドカップ優勝のジョー・ウィリアムス(米国)、アジア大会優勝のムン・エウイヤエ(韓国)ら強豪が並ぶ。
【84kg級】=40選手
シドニー五輪王者で、99年以来の欧州や世界で勝ち続けているアダム・サイキエフ(ロシア)の出場は固いと思われるが、ロシアの三番目の選手としてエントリーされているが…。01・02年欧州王者のサジド・サジドフ、ことしの欧州王者で01年の世界ジュニア王者のカジモウラド・ガチャロフの可能性もあるが、誰が出てきても優勝候補の筆頭だろう。
昨年世界2位で99年世界チャンピオンのヨエル・ロメロ(キューバ)、世界3位のマジッド・コダエー(イラン)はことしのアジア王者のペイマン・ドロストカーと代表権を争っているもよう。アジアからはほかにアジア大会王者で01年76kg級世界2位などのムーン・エウイヤエ(韓国)が手ごわそう。
米国からは全米大学選手権を4年連続で制したカエル・サンダーソンが、今度こそ世界選手権に初出場する。01年はテロで大会が延期となり、大学の大会の関係で出場辞退。02年は米国がイランでの安全が保障されないとしてボイコットし、2年連続で米国代表になりながら2度とも空振っていた。
【96kg級】=33選手
世界王者のエルダリ・クルタニーゼは、まだグルジアがエントリーしていないが、不参加するべき理由は見当たらない。世界2位でアジア無敵のアリレザ・ヘイダリ(イラン)、常に欧州と世界の上位に顔を出すバディム・タソエフ(ウクライナ)と強豪がそろいそう。
【120kg級】=28選手
シドニー五輪優勝で、以後の欧州・世界を2年連続で制しているダビッド・ムスルベス(ロシア)の出場が妥当だが、97kg級で世界王者の経験があり、昨年の欧州も制したクラマゴメド・クラメゴメドフ(ロシア)が階級アップし、代表権を争っているもよう。あと一歩で世界一に手が届かないアーチュー・タイマゾフ(ウズベキスタン)の2選手を中心に優勝争いが展開されそう。