【特集】世界選手権に挑む(3)…フリー66kg級・池松和彦



 新型肺炎(SARS)の影響で主力が軒並み出場辞退した今年6月のアジア選手権(インド・ニューデリー)。若手主体となったチームの中で、池松は世界選手権日本代表の貫録を見せて決勝へ進んだ。ハッサン・タマセビ(イラン)との戦いは、規定の6分を終わって2−0。金メダルを目の前にしながら、クリンチからマットに落とされ、逆転負けを喫した。

 「銀メダルを取ったというより、悔しい気持ちでいっぱいです。世界で勝つには、アジアくらいでは優勝しなければダメだったのに…」。いまもって銀メダル獲得の喜びは沸いてこない。現状に満足せず、上を向いた気持ちで夏の練習を乗り越えてきた。クリンチで負けたのだから、当然、その練習に力はいれたはず。しかし短期間で完ぺきになるほど技術のマスターは簡単ではない。

 「やはりクリンチにならない試合を目指していきたい」というのが本音。そのためにはポイントを先制することであり、1点のタックルではなく2点以上のタックルを目指して早く3点を取ること。「結果として1点で終わっても、タックルは常に3点を目指す」という練習がニューヨークで生かされるか。

 このあと大会までの課題として、「練習する時と休む時のけじめをつけること」を挙げる。本番で100%の力を発揮するには練習しない勇気が必要とは、よく言われること。「ここまできて、じたばたしても仕方ない。だらだら練習してはダメ」と言えるのも、この3か月間、練習をしっかりこなしてきたからこそだろう。

 アジア選手権で、釜山アジア大会3位(世界10位)のモンゴル選手や旧ソ連選手を撃破して銀メダルを取った成績は自信にしていいはず。ニューデリーで開花した実力を、ニューヨークで満開にし、ニューイケマツをお披露目してほしい。(取材・文・写真/樋口郁夫)


 【池松和彦の最近の国際大会成績】

 《2001年》

 【世界選手権】

予選1回戦 ●[3−6]Nasir Lal(カナダ)
予選2回戦  BYE
予選3回戦 ●[Tフォール、5:32=2-12]Gralak Lucjan(ポーランド)

 《2002年》

 【ベログラゾフ国際大会】

予選1回戦  BYE
予選2回戦 ●[フォール] Nurdi Unusov(ロシア)
予選3回戦 ○[Tフォール、10-0] Evios Petraitis(ラトビア)

 【世界選手権】

予選1回戦 ○[7−0] Li Chuan(中国)
予選2回戦  BYE
予選3回戦 ●[4−6] Aki Reza Dabir(イラン)

 【アジア大会】

予選1回戦 ●[Tフォール、2:53=0-10]Hwang, Po-Song(北朝鮮)
予選2回戦  BYE
予選3回戦 ○[4−1]Lkhamadshapov, Shamzo(キルギスタン)

 《2003年》

 【デーブ・シュルツ記念国際大会】=4位

予選1回戦 ○[14−6] Max Shingara(米国)
予選2回戦  BYE
予選3回戦 ○[5−3] John Fisher(米国)
準 々 決 勝 ○[Tフォール、5:02=14-3] Adam Tirapelle(米国)
準 決 勝  ●[2−5] Doug Schwab(米国)
3位決定戦 ●[Tフォール、5:21=1-12] Gardris Garzon(キューバ)

 【アジア選手権】=2位

予選1回戦 ●[3−5] Kim Sung Sil(韓国)
予選2回戦 ○[フォール、1:30=3-0] Yi Wei-chuan (台湾)
予選3回戦 ○[6−0] Sabit Kendybayev (カザフスタン)
敗復1回戦  BYE
敗復2回戦 ○[4−1] Tabaldiev Symenkul (キルギスタン)
敗復3回戦 ○[9−1] Urazimbetov Polot (ウズベキスタン)
準 決 勝  ○[4−2] Bayarmagnaj Norjin (モンゴル)
決    勝  ●[2-3=6:06] Hassan Tahmasebi (イラン)

【ベログラゾフ国際大会】=2位

予選1回戦   BYE
予選2回戦  ○[Tフォール、5:59=10-0] Aor Ivanov(ロシア)
予選3回戦  ○[不戦勝] Romadin Dmitrii(ロシア)
決勝T1回戦 ○[8−0] Sair Salaytdinov(ロシア)
準 決 勝   ○[3−1] Myrat Anmetov(ロシア)
決    勝   ●[2-3=延長] Ramazan Abdirahomanov(ロシア)




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