【特集】世界選手権に挑む(7)…フリー120kg級・諏訪間幸平



 アトランタ五輪、シドニー五輪と2大会連続で五輪のマットに立っていないフリースタイルの最重量級は、久しぶりに中大卒の選手がアテネ五輪を狙う。96kg級の中尾と同じで、高校時代(神奈川・藤嶺藤沢高)、大学時代ともタイトルには縁がない遅咲き選手。社会人4年目の昨年、やっと全日本社会人選手権と国体を制し、ことしの明治乳業杯全日本選抜選手権で勝って初代表となった。

 当然、大きな国際大会を経験しておらず、大舞台といえるのはことし6月のアジア選手権が初めて。国内では練習相手にも恵まれておらず、取り巻く環境は生やさしくはない。しかし、そのアジア選手権では、アジア王者に2度もなっているアリレザ・レザイエ(イラン)に開始から積極的に攻撃を仕掛け、場外逃避を誘って1点を取るなど積極的に勝ちにいく姿勢が出た。気持ちでは外国選手に負けていないので、仮にこの世界選手権で資格獲得ならなくとも、その経験をもとに成長し、あと2度の五輪予選で飛躍する可能性を秘めている。

 外国人選手にも引けを取らない恵まれた体格は大きな魅力。グレコローマン130kg級で鈴木賢一がアジアの強豪を破って2度連続で五輪(バルセロナ、アトランタ)に出場していることは、「日本の重量級だって、やればできる」という大きな励みになっている。やはりスタミナでは外国選手に負ける気はせず、「0−0や1−1で延長にもつれる展開」を望んでいるようだ。

 職場も、家庭も全面的にバックアップしてくれている。「日本の重量級は相手にされていないけど、見返してやる、という気持ちがあります。絶対にあきらめない。五輪代表を目指します」。まずニューヨークでその気持ちを爆発させたいところだ。(取材・文・写真/樋口郁夫)


【諏訪間幸平の最近の主な国際大会成績】

 《2001年》

 【クランスマン国際大会】=4位
予選1回戦  BYE
予選2回戦 ●[0−6] (カナダ)
予選3回戦 ○[4−2] (カナダ)
3位決定戦 ●[0−4] Jon Small(米国)

 《2002年》

 【クランスマン国際大会】=5位
=内容不明=

 《2003年》

 【アジア選手権】
予選1回戦 ●[1−3] Mazid Mutaliov (カザフスタン)
予選2回戦  BYE
予選3回戦 ●[Tフォール、4:55=1-1] Alireza Rezaie (イラン)




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