【特集】五輪出場資格だけでは満足できず!…フリー55kg級・田南部力




 昨年6位で、日本チームを支えてきた田南部力(警視庁)は、01年世界王者ゲルマン・コントエフ(ベラルーシ)が初戦という、きつい組み合わせとなった予選リーグを突破して、いち早く五輪出場資格を獲得した。

 その時は「応援に来ていたカミさんに(コントエフ戦の接戦を)怒られたんですよ。一番怖いコーチですから」とじょう舌で、気分のよさを感じさせていたが、続く準々決勝でアルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)に昨秋のアジア大会に続いて敗れたことが、よほど腹に据えかねたのか、試合後は一転して寡黙へ。

 時間をおいたあとも、「いまの自分の実力。仕方ない。新しい課題を見つけたので鍛えなおす」とだけ話し、一切の注釈を口にしなかった。だが、それは、五輪出場資格獲得だけでは満足していない何よりの証拠。マンスロフが優勝しているだけに、よけい悔しさがつのっているようだ。

 01年世界チャンピオンを破り、2年連続で8位以内に入った実力は金メダル獲得圏内。60kg級では、前年8位と12位が決勝を争っており、群雄割拠の状況下では田南部にも世界一になる力は十分にある。あと1年間が勝負だ。



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