【特集】世界トップの実力を証明…フリー74kg級・小幡邦彦




 1回戦で3点を先制されるという幸先悪いスタートを切った小幡邦彦(綜合警備保障)だが、その後、グラウンド技がさえて逆転。あっという間にテクニカルフォールという快勝。続く試合も勝って予選を突破し、最後は10位というぎりぎりながら五輪出場資格を勝ち取った。

 予選を通過した段階で9〜11位を確保。次の試合で勝てば8位以内、負けても内容がよければ10位に入れるという状況でのムラド・ガイダロフ(ベラルシア)戦。先制を許し追う展開となったものの、失点を押さえ1−2で延長へ。スタミナに勝る日本選手の勝ちパターンと思われたが、ラスト1分10秒の段階で力尽きた。「体に何か塗っていた。かかえたと思ったのに滑ってしまった」そうで、開始早々にも目に親指を突っ込んでくるなど反則のオンパレードだったという。

 しかし「それでも勝たなければならなかった」と、自分に厳しく言い放った。何が何でも勝つ執念を学んだようで、「もう1度やり直します」と振り返った。

 この選手が決勝に進み、あのブバイサ・サイキエフ(ロシア=五輪を含めて過去5度の世界一)に9分間フルタイム戦っての判定負け。3位には、昨秋のアジア大会で勝ったゲンナディ・ラリエフ(カザフスタン)が入賞した。これらの結果からして、小幡の実力はもう世界のトップレベルと言っていい。あと必要なのは経験を積むことか? 10位という結果以上に、収穫の多かった世界大会だった。



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