【特集】世界選手権に挑む(20)…グレコ96kg級・加藤賢三




 グレコローマン・チームの最年少選手、96kg級の加藤賢三(自衛隊)は「やっぱり緊張します。ジュニアでは国際大会の経験はありますが、シニアではなかったですから」と、初の世界選手権出場に戸惑いと緊張感を隠せない。今夏のピトライスニスキ国際大会(ポーランド)では2戦2敗。手探り状態で臨む大舞台となった。

 昨年も明治乳業杯全日本選抜選手権と天皇杯全日本選手権を制覇していた。しかし世界選手権代表決定プレーオフで森角裕介に敗れて世界選手権を逃し、全日本選手権は森角へのリベンジなしの優勝だった(森角が反対側のブロックで負けたため)。今春はその森角をフォールで破っての日本代表権奪取。大きな山を越えたといったところだが、世界の山はさらに大きかった。

 「やはりパワーが違います。ビデオテープを見ても(重量級)でも持ち上げますし…」。目で見て、実際に戦ってみて、戸惑うことばかり。今大会は、もちろん五輪出場資格獲得を目指して戦うものの、「世界を知りたい。負けても何かを得たい」という言葉は正直な心境だろう。

 大東大からはバルセロナ、アトランタ両五輪のグレコローマン130kg級に出場した鈴木賢一以来の日本代表選手。今春から自衛隊に進み練習に専念できることになった。「環境がいい。期待にこたえたい」と気合いを入れ
た。(取材・文・写真=樋口郁夫)


 ◎加藤賢三の最近の主な国際大会成績

 《2003年》

 【ピトライスニスキ国際大会】
予選1回戦 ●[途中棄権] Marek Sitnik(ポーランド)
予選2回戦  BYE
予選3回戦 ●[1−7] Rocco Ficaro(イタリア)




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