浜口京子が女子歴代1位のV8に挑戦…天皇杯全日本選手権展望




 平成15年度の天皇杯全日本選手権は12月21(日)〜22日(月)、東京・代々木第二体育館で行われる。

 昨年までとは違い、春の戦い(明治乳業杯全日本選抜選手権、ジャパンクイーンズカップ)の上位選手と先月の予選会で勝ち上がった各階級8選手によるトーナメント方式。男女ともアテネ五輪の日本代表の選考会を兼ね、フリースタイル55、66、74kg級、グレコローマン74kg級で日本代表が決まる可能性がある。

 各階級に出場する強豪をさぐってみた。


【男子フリースタイル】

 アテネ五輪の日本代表がかかる階級は2階級。55kg級は田南部力(警視庁)に、昨年のこの大会、ことし5月の全日本選抜選手権に続いて松永共広(静岡県協会)が挑むか? 松永は10月国体優勝と波に乗っており、どこまで追い詰めるか。

 74kg級の五輪代表候補の小幡邦彦(綜合警備保障)に挑む一番手は、2年連続学生二冠王の長島和幸(早大)。全日本選抜選手権では首投げからフォール寸前まで追い込んでおり、今回も予断を許さない戦いとなりそう。

 この2階級は田南部、小幡が勝ったら五輪代表に決定する。

 66kg級は世界選手権で3位に入賞した池松和彦(日体大助手)の五輪代表が内定したため(この大会に出場すれば代表決定)、強豪がスタイルや階級を変えて挑戦。池松が大きく他を引き離している格好。1年生の大学王者の佐藤吏(早大)らが生きのいいファイトで池松を脅かしてほしい。

 60kg級は、全日本選抜選手権のプレーオフで今年の日本代表を争った太田亮介(警視庁)と関川博志(新潟・三条工高教)の争いとなるか? その時は延長にもつれて太田が勝っている。国体で関川を破った井上謙二(自衛隊)も両者の争いに割って入る実力はある。

 84kg級は全日本選抜選手権に続いてベテランの横山秀和(秋田・秋田商高教)と若い磯川孝生(拓大)の決戦が予想される。横山は久しぶりに世界の戦いを経験しアテネ五輪へ向けて気合十分。磯川も1年生の学生王者となり昇り調子。熱戦が予想される。

 96kg級は日本代表の中尾芳広が抜けたため、前日本代表の小平清貴(警視庁)が一歩リード。120kg級は世界選手権を経験した諏訪間幸久(クリナップ)が前日本代表の田中章仁(専大)のリベンジを受ける。


【男子グレコローマン】

 五輪2大会連続出場に王手をかけている74kgの永田克彦(新日本プロレス職)に、01年の76kg級全日本王者の菅太一が挑む。国体では笹本睦(シドニー五輪代表)の“挑戦”を退けた菅は、今度も五輪代表斬りに挑む。この階級は永田が優勝すれば五輪代表に決定する。

 その60kg級の笹本睦(綜合警備保障)と84kg級の松本慎吾(一宮運輸)は、今年の世界選手権で五輪出場資格を取るべきの実力者。国内予選でもたつくようでは五輪第2次予選での資格獲得もおぼつかない。圧勝で勝ち上がらなければなるまい。

 55kg級では日本代表の豊田雅俊(警視庁)、前日本代表の村田知也(滋賀・日野中教)、かつて豊田に相性のよかった安原隆(自衛隊)の三つ巴の争いか。世界選手権出場を経験し、今夏には元世界王者を破っている豊田がどう2人を退けるか。

 66kg級は飯室雅規(自衛隊)、130kg級は鈴木克彰(警視庁)が頭ひとつだけ飛び出している感じ。96kg級は日本代表の加藤賢三(自衛隊)に、前日本代表の森角裕介(新日本プロレス職)が全日本選抜選手権でフォール負けしたリベンジに挑む。


 【女 子】

 51kg級世界チャンピオンの伊調千春(中京女大)が48kg級へ、59kg級世界チャンピオンの山本聖子(ジャパンビバレッジ)が55kg級へ、それぞれ五輪実施階級へダウンする。

 48kg級は世界5位の坂本真喜子(愛知・中京女大)、世界V3の山本みゆう(PUREBRED)、02年W杯優勝の清水美里(ジャパンビバレッジ)、世界V5の吉村祥子(エステティックTBC)との壮絶な争いが1回戦から展開される。

 55kg級は山本と吉田沙保里(中京女大)との世界チャンピオン同士の戦いが実現しそう。

 72kg級へ階級アップした斉藤紀江(ジャパンビバレッジ)が浜口京子(同)にどう挑むか。浜口が勝つと8年連続8度目の優勝となり、浦野弥生と坂本涼子がマークした「7年連続7度」を超え、連続優勝、優勝回数とも女子の歴代1位となる。(男子の1位は森山泰年の14年連続14度)

 五輪で実施されない51、59、67kg級のうち、51、67kg級は若手による争いとなりそう。59kg級は世界選手権に出場経験のある岩間怜那(リプレ)と清水真理子(群馬県協会)が引き続き優勝を争いそう。



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