池松和彦が初優勝で天皇杯を獲得…天皇杯全日本選手権最終日



 天皇杯全日本選手権最終日は12月22日、東京・代々木第二体育舘で天覧試合として行われ(写真左)、五輪代表を決めた男子フリースタイル63kg級の池松和彦(日体大助手)が初優勝し天皇杯を獲得した。

 ことしの世界選手権で五輪出場資格を獲得した男子フリー55kg級の田南部力(警視庁)、同74kg級の小幡邦彦(綜合警備保障)はともに勝ち、五輪代表を決めた。しかしグレコローマン74kg級の永田克彦(新日本プロレス職)は菅太一(警視庁)に敗れ、五輪代表決定は来年4月予定の明治乳業杯全日本選抜選手権へ持ち越された。

 世界チャンピオン同士の対決となって注目された女子55kg級は、延長にもつれた末、55kg級世界チャンピオンの吉田沙保里(中京女大)が振り切り、アテネ五輪代表へ一歩近づいた。

 最優秀選手賞は、フリースタイルが田南部力、グレコローマンが84kg級の松本慎吾(一宮運輸)、女子は吉田沙保里。

 各階級の試合結果は下記の通り。


《pdfファイル》
男子フリー 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
男子グレコ 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
女  子 48kg級 51kg級 55kg級 59kg級 63kg級 67kg級 72kg級

1位〜4位一覧表

 ◎男子フリースタイル

 【55kg級】


 ▼決勝
田南部力(警視庁)○[3−0]●松永共広(静岡県協会)

 
《経過》田南部がバックの取り合いを制し、1点を先制。アンクルホールドで2点を加えて優位をつくる。続くローリングは不発で、そのままのスコアで第1ピリオド終了。第2ピリオド中盤に田南部がパッシブを取るが、ポイントにはつながらない。しかし松永の終盤の攻撃をさばき、3−0で試合終了。規定で五輪代表を決めた。(写真は、赤が田南部)

 ※田南部は2年連続5度目の優勝


 【60kg級】

 ▼決勝
山本英典(自衛隊)○[3-1=6:00(延長)]●井上謙二(自衛隊)

 
《経過》同門対決は、山本が先にパッシブを取り、1点を先制。しかし後が続かず、第2ピリオドへ。中盤、パッシブを取られてグラウンドを耐えた井上、タックルを決めて1−1。延長にもつれたが、井上がクリンチで手を組むことができずに警告をとられ、あっけなく勝負が決まった。(写真は、赤が山本)

 ※山本は初優勝


 【66kg級】

 ▼決勝
池松和彦(日体大助手)○[3−1]●鈴木崇之(立命館大)

 
《経過》“挑戦者”の鈴木が積極果敢に攻め、正面タックルから1点を先制。池松は2分ころにどうにか1点を返す。さらに第2ピリオド30秒にバックを取って1点をリードしたが、鈴木の物おじしないファイトに楽な展開へ持っていけない。ラスト14秒、胴タックルで貴重な3点目を挙げ、振り切った。(写真は、赤が池松)

 ※池松は初優勝。


 【74kg級】

 ▼決勝
小幡邦彦(綜合警備保障)○[フォール、1:09=9-0]●工藤祐士(岡山県協会)

 
《経過》小幡が開始早々タックルを決め、またさきへ。そのまましつこく攻め、最後はフォール勝ち。規定でアテネ五輪の日本代表を決めた。(写真は、赤が小幡)

 ※小幡は5年連続5度目の優勝。


 【84kg級】

 ▼決勝
横山秀和(秋田・秋田商高教)○[7−0]●磯川孝生(拓大)

 
《経過》横山がタックルで1点を取り、アンクルホールドで2点を追加。横山は第2ピリオドにもタックルで1点を加え、またさきで2+1点を追加。一日の長を見せた。(写真は、赤が横山)

 ※横山は2年連続5度目の優勝(グレコと合わせ7度目)


 【96kg級】

 ▼決勝
小平清貴(警視庁)○[Tフォール、4:02=10-0]●森山政秀(日体大)

 
《経過》小平が速攻で1点を取り、ローリングで1点。さらにタックルで1点を加え、そのままグラウンドで攻めて6−0。第2ピリオドも小平がタックルで1点を加え、グラウンドで加点して10点差をつけた。(写真は、赤が小平)

 ※小平は3年ぶり2度目の優勝。


 【120kg級】

 ▼決勝
田中章仁(専大) ○[4−0]●諏訪間幸平(クリナップ)

 
《経過》田中が先にパッシブを取ったが、ポイントにはつながらない。2度目のパッシブのあと、うまくテークダウンに持ち込んで1点を先制。ラスト20秒、田中がタックルで1点を取り、グラウンド技へつなげて2点を獲得。4−0で振り切った。(写真は、青が田中)

 ※田中は3年連続3度目の優勝。


 ◎男子グレコローマン

 
【55kg級】

 ▼決勝
豊田雅俊(警視庁)○[8−1]●安原隆(自衛隊)

 
《経過》豊田がテークダウンで1点を取り、リフト技で3+1点と1点、ローリングで2点を取り、開始から49秒で8−0。安原は相手の1点を返すのが精いっぱい。第2ピリオド、安原の必死の攻撃を豊田がしのぎ、そのままのスコアで試合終了。(写真は、赤が豊田)

 ※豊田は、2年連続2度目の優勝


 【60kg級】

 ▼決勝
笹本睦(綜合警備保障)○[4−0]●富谷光雄(自衛隊)

 《経過》1分、笹本がパッシブを取り、ローリングで2点。2分20秒にもパッシブを取り、ローリングを決めて4−0とリード。第2ピリオドも笹本がパッシブを取りリフト技狙い。富谷は必死にこらえたが、攻撃することはできず、そのままのスコアで試合終了。(写真は赤が笹本)

 ※笹本は4年連続4度目の優勝。


 【66kg級】

 ▼決勝
飯室雅規(自衛隊)○[フォール、3:43=6-0]●伊是名正旭(日体大OB)

 
《経過》伊是名が先にパッシブを取ったが、ポイントにはつなげられない。第1ピリオドンおラスト40秒、飯室がパッシブを取り、ローリングで1点を先制。さらに1点を加える。第2ピリオドはうまくテークダウンを決め、そのままフォール勝ち。(写真は、赤が飯室)

 ※飯室は4年連続4度目の優勝。


 【74kg級】

 ▼決勝
菅太一(警視庁)○[2-1=9:00]●永田克彦(新日本プロレス職)

 
《経過》永田が先にパッシブを取るが、ローリングは不発。0−0のまま第2ピリオドへ入り、クリンチ・スタート。永田が首投げを決めたが、返りが浅く1点のみで、菅にバックを取られ1−1。菅の必死のローリングは決まらない。永田がパッシブを取り、ローリングを狙うが、これも決まらない。1−1のまま延長へ。クリンチから永田が首投げを仕掛けるが決めが甘く、菅がバックを取って2−1とリード。ラスト1分、永田がパッシブを取り、ローリングを仕掛けるが決まらない。そのままのスコアで菅が逃げ切った。(写真は、青が菅)

 ※菅は2年ぶり3度の優勝


 【84kg級】

 ▼決勝
松本慎吾(一宮運輸)○[Tフォール、2:19=12-0]●太田充洋(日本文理大職)

 
《経過》松本がバックを取り、ローリングを決めて開始1分で3−0へ。太田の首投げを逆に返して3点。このあと、豪快なリフト技を決めて、テクニカルフォールを決めた。(写真は、赤が松本)

 ※松本は5年連続5度目の優勝


 【96kg級】

 ▼決勝
加藤賢三(自衛隊)○[5−0]●森角裕介(新日本プロレス職)

 
《経過》森角が先にパッシブを取るが、立たれてしまう(加藤は0ポイント)。加藤はすぐに森角の体勢を崩して3点を取り、グラウンドで2点を加えて5−0と有利に立った。第2ピリオド、森角は必死に攻めたが決め手に欠け、ポイントを取るに至らなかった。(写真は、赤が加藤)

 ※加藤は2年連続2度目の優勝。


 【120kg級】

 ▼決勝
鈴木克彰(警視庁)○[フォール、4:30=9-0]●室谷正憲(和歌山県立武道館)

 
《経過》鈴木が開始早々にバックを取り、横崩しで2点を追加。第2ピリオドは鈴木が、室谷の投げの失敗で得たグラウンドのチャンスをものにし、そのままフォール勝ちした。(写真は、赤が鈴木)

 ※鈴木は4年連続4度目の優勝。


 ◎女 子

 
【48kg級】

 ▼決勝
伊調千春(中京女大) ○[2-0=9:00]●坂本真喜子(愛知・中京女大付高)

 
《経過》手の内を知った両者の対戦らしくなかなか攻撃できない。伊調がパッシブを取り、グラウンドで攻めるが0点。坂本も攻めたが、0−0で第1ピリオド終了。第2ピリオド開始のクリンチは、坂本が手を離してしまい1点を失った。坂本は必死に攻めてパッシブを取るが、スタンドを選択し攻撃を続ける、伊調が必死に防ぎ、3点ノルマ制によって延長へ。坂本がコイントスで勝ったものの、1分間攻撃できずに1失点。その後、両者とも死力を尽くした攻撃を続けたがポイントを取れず、伊調の手が上がった。(写真は、青が伊調)


 【51kg級】

 ▼決勝
服部坦子(中京女大)○[フォール、5:24=7-0]●鈴木七恵(栃木・足工大付高)


 
《経過》服部がタックルで1点を先制。第1ピリオドの最後にも1点を2度取る。服部は第2ピリオドに入っても1点を2度加え、グラウンドからフォールへ持ち込んだ。(写真は、赤が服部)

 ※服部は2年ぶり2度目の優勝。


 【55kg級】

 ▼決勝
吉田沙保里(中京女大)○[4-0=6:58]●山本聖子(ジャパンビバレッジ)

 
《経過》吉田が20秒すぎに低い正面タックルを決めて1点を先制。2分ころにパッシブを取るが、ローリングはギリギリで耐えられる。第2ピリオド、タックルの相打ちから吉田賀小手投げを仕掛けるがこらえられる。1分29秒、吉田がパッシブを取りローリングで攻め、山本がこらえる。ビデオチェックの結果、ともにノーポイント。ラスト30秒、吉田の片足タックルを山本がこらえ、1−0のまま延長へ。クリンチ・スタートは投げ合いとなり、吉田が上を取って1点を加えた。1分ころ、山本のタックルを吉田が見事に返して2点を取って貴重な4点目を取って、激戦にけりをつけた。


 【59kg級】

 ▼決勝
岩間怜那(リプレ)○[3−0]●西牧未央(愛知・中京女大付高)

 
《経過》一進一退の攻防のあと、岩間が2分すぎにようやくタックルを決め、ローリングで2点を追加。第2ピリオドもお互い決め手がなく、そのままのスコアで試合終了。(写真は、赤が岩間)

 ※岩間は5年連続5度目の優勝。


 【63kg級】

 ▼決勝
伊調馨(中京女大)○[4−3]●正田絢子(東洋大)

 
《経過》伊調ががぶってきたところを正田がくぐり抜け、1点を先制。しかし伊調がタックルで1点を取り返す。さらに落としてバックを取り2−1と逆転。第2ピリオドも、落としてバックを取り3−1とした。ラスト40秒、正田がパッシブパッシブからローリングを決め3−3へ追いつく。しかしラスト3秒秒、伊調の片足タックルが決まり、薄氷を踏むような勝利をものにした。(写真は、赤が伊調)

 ※伊調は2年連続2度目の優勝


 【67kg級】

 ▼決勝
菅原美々(国士大) ○[11−5]●塚本真紀(中京女大)

 
《経過》塚本が1分すぎにタックルで1点を先制。しかし第1ピリオドのラスト20秒、菅原が豪快な3点タックルをきめ、続いてグラウンドで4点を追加。7−1とリードした。第2ピリオドも菅原が2点を追加したが、グラウンド技を失敗。塚本がポイントを加え、5−10と追い上げた。しかし菅原はラスト30秒に1点を追加して振り切った。(写真は、青が菅原)

 ※菅原は初優勝。


 【72kg級】

 ▼決勝
浜口京子(ジャパンビバレッジ)○[フォール、4:48=10-0]●斉藤紀江(ジャパンビバレッジ)

 
《経過》浜口ががぶってバックを取って1点を先制。斉藤の足払いをうまくさばいて再びバックを取るグラウンドは決まらなかったが、ブレークのあと、片足タックルなどで1点を2度取り、4−0として第1ピリオド終了。浜口の攻勢は第2ピリオドに入っても続き、正面タックルで3点を加え、引き落として1点と確実にポイントをえ、最後は腕取りからフォールを決めた。

 ※浜口は8年連続8度目の優勝。





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