【特集】今夏は死にもの狂いで練習!…浜口京子



 2004年アテネ五輪から正式種目となる女子レスリングは、ことし10月2〜8日に韓国・釜山で行われるアジア大会での種目採用も決定。初の代表に浜口京子(72kg級=浜口ジム) ら3名 (吉田沙保里=55kg級、中京女大、伊調馨=63kg級、愛知・中京女大付高) が選ばれた。

 今回の大会は、五輪で採用された4階級のうち各国から3階級のみに出場可能な変則ルール。どの階級を派遣するかは各国の協会に委ねられる。それだけに、選出された選手たちの喜びも一入だ。

 浜口は「うれしいです。知らせを聞いたとき、母は涙を流して喜んでくれました。選んでいただいたみなさんに感謝しています」と言う。 女子レスリングが、日本オリンピック委員会(JOC)の代表として出場するのは2001年に大阪で行われた東アジア大会以来2度目。浜口は「これで本当のアスリートの仲間入りができました。アジア大会は注目されるトップクラスの大会ですから。楽しみは、ほかの競技の選手と会えること。ハンマー投げの室伏由佳さんとはメールで励まし合っているので、同じ大会に出られて幸せです日の丸の真の重みを感じます」とも語っていた。

 階級変更により75kg級から72kg級に変わった。それによって、本来のパワーとスタミナにスピードがプラスされ、レスリングの組み立ても変わってきた。世界チャンピオンの座から陥落して2年。レスリングが分からなくなっていた時期もあったが、今は迷いも吹き飛び、レスリングを楽しむ余裕も出てきたようだ。

 「昨年11月の世界選手権のときを100 とすれば、今は300!」と、早くも絶好調宣言も飛び出した。「アジア大会に出場できるのは3 人だけ。自分はみんなの代表なんだ、という気持ちでいっぱいです。絶対に負けられない。今年の夏はアジア大会のことだけを考えて、死にもの狂いで練習するだけ。ライバルは自分だけど、72kg級に出場する選手は世界合宿のスパーリングでやっつけます。もうやるしかない。もうやるしかない。日本の女子レスリング全員の代表として、出場できないみんなの力ももらって、必ず金メダルを取ってきます」(文・宮崎俊哉)


◎アジア大会代表選手の話

 55kg級:吉田沙保里(中京女子大) 代表に選ばれたことは、カナダ遠征中、岩間先輩(怜那=リプレ)が電話で知らせてくれました。目標にしてきた大会なので、とてもうれしいです。シニアの大会で海外に行くのは初めてですが、ジュニアでの経験があるので緊張はしていません。自分でも不思議なくらい落ち着いています。

 これまでの国際試合は、ジュニアや世界学生選手権、カナダカップだけですけど、まだ外国人選手には負けたことがないので、とても楽しみです。もちろん自信はあります。マークするのは中国の選手。世界学生選手権で対戦しましたが、ヨーロッパの選手より小技はあるけど力だけかなぁといった感じ。自分の課題はとにかくタックル。思い切って入って、足がよく動けば負けません。大会までウエートトレーニングをしっかりやって、試合では気持ちで負けなければと思っています。絶対金メダルをとってきます。

 
63kg級:伊調馨(愛知・中京女大属高) 栄(和人)監督から夜11時頃、寝ているところを起こされて、「決まったよ」と教えいただきました。でも、寝ぼけていたので何だかよく分からなくて。とりあえず「お休みなさい」って言って、寝てしまったんです。ですから、驚いたのは次の日の朝。アジア大会は「行きたいなぁ。自分に決まればいいなぁ」と思っていましたが、まさか本当に行けるとは…。とてもうれしいです。

 海外での試合はやったことがなく、何もかも全部初。試合はもちろん、海外に行けるなんて全て楽しみです。国内ではパワー負けした経験はありませんが、姉(千春=51kg級世界選手権代表)から「63kg級では世界に行ったら小さい方」と言われているので、どんな相手でもパワー負けだけはしないように練習したいと思います。それと、確実に点が取れる技を身につけることが自分の課題です。新鮮な気持ちで精いっぱいがんばります。

(以上、取材・宮崎俊哉)



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