【特集】練習への必死さを見習いたい…グレコ・チーム韓国遠征報告

全日本グレコローマンチーム監督 宮原厚次

  全日本グレコローマン・チーム(8選手)は7月1日から11日まで、嘉戸洋コーチ(8月から日本オリンピック委員会のコーチ研修としてウクライナへ)とともに韓国へ遠征しました。常設合宿所のテヌン選手村には、1〜3番手選手およびジュニアのトップ選手等が入っていて、アジア大会(1番手が出場)、世界選手権(2番手が出場)へ向けて燃えていました。

 練習は、多いときで1日3回練習でした。最初がロードワークやサーキットトレーニングを1時間、次がウエートトレーニングなどを2時間、最後がマットワーク2時間です。7月下旬にハンガリー・チームが来韓するあたりをピークにもっていくため、この時期は、どちらかというとダウンの時期みたいでした。

 それであっても、日本選手は最初はバテバテでした。慣れの問題もあると思いますが、韓国選手は平気な顔でやっていることに根本的な体力差を感じました。しかし2週間目に入ると、日本選手も慣れてきたのでしょう、笹本睦選手(60kg級)や松本慎吾選手(84kg級)あたりは普通にこなすことができました。この練習を毎日やれば、間違いなく体力はついてくるはずです。

 韓国のコーチに言わせれば、「確かに体力はつくが、この練習で満足してしまい、技術を覚え磨いて自主的に上を目指そうという気持ちがない選手も出てくる。ある程度までは強くなっても、真のチャンピオンになるには、これだけではダメだ」とのことです。何ごとも、慣れてしまって惰性に流されてはいけないわけです。

 韓国のコーチは、「若手が伸びないんだよ」とも嘆いていました。これは謙遜でしょう。今回のアジア大会の代表は日本選手の間でも知られているベテランが多いのですが、それでも55kg級は世界2位の選手を破った18歳がアジア大会に出てきます。層はまだまだ厚いと感じました。

 練習に取り組む姿勢にも差を感じました。例えば練習開始が3時の場合、日本は5分ぐらい前に来て3時からウォーミングアップをし、体をあたためてから本格的な練習に入るのが普通なのでしょうが、韓国選手は15分前には来て自分で体を動かしています。そのため、練習開始とともに思い切った練習に取り組むことができるのです。細かなことですが、このあたりの差が、1回ではわずかでも、1か月、半年とするうちに大きな差になるのだと思います。
 
 今回は、お互いに手の内をあまり見せたくないということもあって練習試合はやりませんでしたが、スパーリングを見ている限り、笹本ら何階級かは勝てる力があるのは確かです。永田克彦もわずか半年で74kg級の体力をつけつつあり、必死に打ち込んでいるのが分かります。こうした必死さをもって練習に取り組めば、必ず追いつけるものと思います。

 チームは8月初めにポーランドへ遠征し、合宿のほか国際大会に出てきます。今回の合宿で得たものを発揮し、秋の勝負へつなげるべく全力を尽くします。



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