アレクサンダー・カレリン(ロシア)に聞く
五輪V3で、13年間負け知らずのアレクサンダー・カレリン(ロシア)が、9月20〜22日、モスクワで行われた世界グレコローマン選手権に来場。多くの少年ファンがサインを求めるなど、衰えぬ人気を示した。シドニー五輪で最後の勇姿を見せてから2年、カレリンに聞いた。(9月21日取材、聞き手:日本から取材へ行った報道陣)
Q:シドニー五輪のあとは、いかがされていましたか?
カレリン:国会のメンバーなので、その活動をしていた。レスリングは時間がある時に練習したり、指導していたりした。
Q:国内の大会を見に来たりしたことは?
カレリン:しょっちゅう来ていた。
Q:今夏、NHKに取材されたと思いますが、スタッフに政治家は今の任期でやめると言われたそうですが。
カレリン:ええ、もう選挙に出るつもりはありません。
Q:日本のファンが期待するのは、それによってレスリング界にカムバックしてくれるのでは、ということです。
カレリン:それはありません。自分は観客としてだけレスリングに参加していきます。
Q:エキシビションマッチみたいな形であってでも、試合をしてもらうことは?
カレリン:ありません。もう戦うことに興味はありません。
Q:レスリングではなく、日本で前田日明とやったような格闘技戦(1999年2月)はいかがでしょうか?
カレリン:それもありません。もともとあの種の戦いには興味はない。私が愛しているのはレスリングです。
Q:前田日明相手にプロ・ファイトをした本当の理由をお聞きしたい。
カレリン:私に挑戦してきたのは彼が初めてでした。真剣だったから、受けました。
Q:ロシアのレスリング仲間やサンボ仲間からの強烈なプッシュがあったと聞いているが。
カレリン:それはなかった。いろんな選手と交流はあるが、それはない。
Q:日本のファンはカレリンさんのファイトを見たがっている。レスリング教室といった形ででも日本に来ることはないのか?
カレリン:それはあるかもしれない。
Q:議会を引退したあとは、何をやられるのでしょうか?
カレリン:やりたいことはたくさんある。博士号もとっているし、引退しても可能性はたくさんある。今の段階でひとつに決めてはいない。
Q:レスリングの指導者としての道を歩むことは?
カレリン:あるかもしれない。選択肢のひとつではある。
Q:政治家を一期でやめる理由は?
カレリン:いくつもある。今は言うことはできない。
Q:政治家の間に何ができましたか?
カレリン:自分の力でやった、などと大それたことを言うつもりはありません。ただ、経済復興の一端をにない、現在の政権に協力していけたと思います。スポーツに関しては、いろいろ貢献したと思う。学校で、ことしから1週間に4時間の体育の授業を確保させることができた。体育教員のモチベーションを上げるなどのことはしたと思う。自分が議会にいたということで、ロシアの近代化に少しは貢献できたと自負している。
Q:日本の今のレスリングをどう思いますか?
カレリン:ソウル五輪の時はミヤハラ(宮原厚次=同五輪銀メダル、現グレコチーム監督)とかいい選手がいた。伝統的にいいレスリングを持っているはずだが、今は技術・戦術がきちんとできていない。ロシアなどからコーチを招き、まずコーチのトレーニングをする必要があると思います。両スタイルともです。
Q:ソ連が解体されてからもロシアは相変わらずの強さをキープしています。その理由は?
カレリン:それだけ昔のソ連が強かったということです。世界で勝つより、ソ連で勝つ方がきつかったのですから。
Q:嫌な思い出だと思いますが、シドニー五輪の決勝のことを聞いてもいいですか?
カレリン:構いません。
Q:あの時、なぜローリングによる1ポイントを狙わず、リフトを狙い続けたのでしょうか?
カレリン:(しばらく考えて)体調はあまりよくなかったので、ローリングは狙いませんでした。
Q:リフトの方が自分の得意技だから、ということでしょうか?
カレリン:いえ、体調が整っていなかったからです(注・ローリングの方が難しい技術を要するから、という意味なのかどうかは不明)
Q:結果的には上がらなかった。リフトは研究されていたのでしょうか?
カレリン:それは感じなかった。
Q:試合が終わった時は、どんなことを思ったでしょうか?
カレリン:負けたんだな、ということだけです。
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