全日本選手権コメント集(フリースタイル)


【55kg級】田南部力(警視庁)

決 勝 ○[2-2=9:00]●松永共広(日体大)
 【評】田南部がタックル(飛行機投げ)を自滅して2失点。この後、一進一退の緊迫した攻防が続いたが、ともにポイントは取れない。第2ピリオド終了間際、田南部が投げ気味の技で1点を返す。延長でのクリンチは松永の手が離れてしまい、2−2の同点へ。このまま延長もフルタイム戦い、内容で田南部の手が上がった。(写真:赤が田南部)


 「疲れました。リードされても、攻撃されてのポイントではなかったので焦りはなかった。パッシブの差ではなく、3 点取って勝ちたかったですけど…。オリンピックを前にあまりパッとしない1 年でした。オリンピックに出場できそうなところまで来たということで、"当選確実"ではないですからね。これからは失点をなくすのが課題。攻撃力はあるので、失点を2点以内に抑えれば、どんな相手でも勝てる。勝った試合でも反省していきたいと思います」。


【60kg級】太田亮介(警視庁)

決 勝 ○[3-2=7:56]●関川博紀(新潟・三条工高教)
 【評】太田が先にパッシブを取るがノーポイント。しかしタックルで1点を取る。第2ピリオドに1点を加えたものの、そのまま延長へ。クリンチのスタートでは太田が手を離して体勢が崩れ関川に1点。続いて関川が豪快なタックルを決めたが審判団は1点と判定。ラスト1分ころ、太田がすばやい片足タックルを決め、貴重な決勝点を挙げた。
(写真:青が太田)


 「予選リーグではいい試合ができませんでしたが、準決勝、決勝と満足いく試合ができ、思わずガッツポーズが続けて出ました。今日は試合前のアップをいっぱいやって、最初からエンジン全開、トップでいこうと思っていました。ちょっと雑だけどガツガツ攻め続けるのが自分のレスリングだと思っています。今年1年でオリンピックにからめる選手に近づけたと思います。このまま波に乗って、来年の全日本選抜も取って、世界選手権で(五輪資格の)10位以内に必ず入って、オリンピックまで早く目線を上げて、大きな目標を狙っていきたいと思います。

【66kg級】宮田和幸(クリナップ)

決  勝 ○[2-0=9:00]●筧田幸宏(国士大助手)
 【評】第1ピリオドはお互い攻めるが、ともに決め手がなく0−0。クリンチでスタートした第2ピリオドは筧田が手を離してしまい、宮田が1点。そのままのスコアで第2ピリオドが終了。延長のクリンチは筧田の投げを宮田がうまく体乗せて押しつぶして1点。このあと両選手ともポイントがなく、2−0で宮田が勝った。宮田は2年連続3度目の優勝。(写真:赤が宮田)


 「今年1年はケガに苦しめられました。実は、左ひざはまだ試合ができるような状態ではありません。でも、この大会から来年の世界選手権の代表選考がかかっている。来年の世界選手権は、アテネ五輪への出場がかかっている。目標はあくまで、オリンピックなので、強行出場しました。

 選抜のプレーオフでケガをして、治って国体へ出たらまた決勝でケガをした。1週間前まで1回もスパーリングできませんでした。1週間前に、ようやく痛みは取れてきたので打ち込みだけやり、それまでは筋トレばかりでした。こんなに不安な状態で試合をするのは初めてです。準決勝までタックルをせずに温存していました。みんな、ここまでひざが悪いとは思っていなかったみたいですね。来年は、ニューヨークでオリンピックの出場権を一回でとってきます」

【74kg級】小幡邦彦(山梨学院大学)

決  勝 ○[3−1]●長嶋和幸(早大)
 【評】小幡が2度連続でパッシブを取り、2度目のパーテールでローリングを決める。2−0のまま第2ピリオドへ。小幡がパッシブからパーテールで攻めるがノーポイント。長島が小幡の体勢崩してバックを取って1点を返した。しかし小幡がすぐに1点を返して3点目を取り、ラスト10秒を逃げ切った。(写真:青が小幡)


 「今回9kg減量しましたが、なかなか体重が落ちず、かなり長くかかってしまいました。それでも、世界でトップを狙うなら74kg級が自分には一番適していると思います。今後は全ての戦いがオリンピックにつながってくるので、どんなに接戦でも必ず勝てるようにしないと…。ひとつでもポカがあったら、世界では勝負になりませんから。卒業後は綜合警備保障に入って、今まで通り山梨学院大学で練習します。いい環境でできるので、それを無駄にしないようがんばります」


【84kg級】横山秀和(秋田・秋田商高教)

決  勝 ○[Tフォール、3:56=10-0]●山本悟(日体大)
 【評】先にパッシブを取ったのは山本。しかしポイントにはならず、逆に横山がうまいグラウンド攻撃を決めて一気に5−0。第2ピリオドもタックルでポイントを加え、アンクルホールドで加点。もう1度体を返して10−0として圧勝した。横山はフリーで7年ぶり4度目の優勝。グレコを合わせれば4年ぶり6度目の優勝。(写真:青が横山)


 「フリースタイルで勝つのは久しぶりで(1995年以来)、懐かしい感じがします。一時期グレコで戦っていましたが、細かい駆け引きなどフリーの技を発散できて楽しめました。相手はみんな若手になるので、自分よりはスタミナがあります。決勝の相手もスタミナが充分で、ローリングが強いと聞いていたので、組み手で有利になるように、ローリングをわざとかけさせて、逆に乗ってゆき省エネで自分のペースへ持っていきました。今回優勝したことで、日本代表の権利を持ちましたが、全日本入りは、体が耐えられるかどうか不安です。職場でも迷惑をかけますし、これからよく考えます。

 若手とばかり試合をした今大会ですが、正直言って、世界で通用する選手だという手応えをあまり感じませんでした。手応えらしいものを感じたのは、高校生(磯川考生=日本文理大付高3年)と試合をしたときくらいでしょうか。世界で戦うのなら、勝つための手段をひとつ、なにかつくってほしいですね」

【96kg級】中尾芳広(エス・ピー・ネットワーク)

決  勝 ○[3-0=6:25]●小平清貴(警視庁)
 【評】第1ピリオドは0−0。クリンチでスタートした第2ピリオド、コイントスで勝った中尾が小平のバランスを崩して1点。小平はパッシブを取ったが決定技がない。中尾が2度続けてパッシブを取り、クリンチから片足を取ってテークダウンで1点。延長にもつれ、クリンチから同じように1点を取って試合を決めた。中尾は2年連続2度目の優勝。(写真:青が中尾)


 「決勝戦は延長にまでもつれこみ、内容としてはいっぱいいっぱいでしたが、まあ結果オーライでしょう。目標にしていた失点0、足にも触らせなかった点は自分自身で評価できます。世界選手権前にヒザの手術を行い、世界選手権もアジア大会も全くいい形にならなかった。来年はもう1度鍛えなおして、日本の重量級も勝てるところを見せたい。目標は何が何でもオリンピックです」


【120kg級】田中章仁(専大)

決  勝 ○[5−3]●諏訪間幸平(クリナップ)
 【評】田中が飛行機投げで3点を取り、押さえ込んで1点を追加。しかし体勢を変えられ、押さえ込まれて諏訪間が2+1点。第2ピリオドは田中がタックルで1点を追加。そのまま逃げ切った。田中は2年連続2度目の優勝。(写真:赤が田中)

 「決勝戦はフォールできたと思い、気が抜けたところを攻められて3点失ってしまいました、自分の流れで試合ができたと思います。今年は世界選手権、アジア大会に出場し、世界のレベルを自分の体で感じることができました。このままのレスリングでは国内では勝てても、世界では通用しない。もっとタックルからの攻めを鍛えるとともに、固い守りを身につけたいと思います」




《前ページへ戻る》