「アテネ五輪へ向けさらなる強化を」…鈴木光・女子強化委員長




 2002年世界選手権で金メダル3個を獲得し、アテネ五輪で全階級制覇を目指す日本女子レスリング。鈴木光強化委員長に、2003年の強化方針と計画を聞いた。(取材・構成:宮崎俊哉)


 2002年は女子レスリング初のアジア大会で金メダル2個・銀メダル1個、団体戦のワールドカップも昨年に続き2連覇、そして世界選手権では金メダル3個・銀メダル1個、チームとして団体優勝も飾ることができましたが、女子の強化委員会としてはもろてを挙げて喜んでいるわけではありません。勝ってかぶとの緒をしめよ。2003年はアテネ・オリンピックに向けて、さらなる強化を進めていきます。

 1月のロシア・ヤリギン国際大会、3月のスウェーデン・クリッパン国際大会とポーランド・ウッチ国際大会に、今回の全日本選手権各階級優勝者7名、それにプラスα若干名を出場させる予定です。同時に、先方の受け入れ体制の問題がまだクリアされていませんが、各大会の後、現地に残って、各国と合同合宿をしたいと考えています。

 遠征費用につきましては、日本協会特別指定選手の浜口京子(72kg級、浜口ジム)、吉田沙保里(55kg級、中京女大)、伊調馨(63kg級、愛知・中京女大付高)、伊調千春(51kg級、中京女大)は全額協会負担、そのほかの優勝者は3分の1が自己負担、優勝者以外は全額自己負担とします。

 2003年の世界選手権は、オリンピック実施4階級で各階級5位までに入った国に出場権が与えられるオリンピック・トライアルになります。そこで出場権を得られなかった国は、2004年3月に2度にわかって行われる予選に回ることになります。日本としては全階級世界選手権一発勝負と考えいます。

 その世界選手権の代表選考につきましては、全日本選手権と2003年4月6日予定の「ジャパンクイーンズカップ」(栃木・足利市)の優勝者を中心に、2002年と同じように新潟・十日町での合宿で代表選考参考試合を重ねて選手を絞りこみ、7月の初めにJISS(東京・国立科学スポーツセンター)でトライアルを行いたいと思っています。

 既に強化委員会で決定し、福田富昭専務理事には了承していただいており、理事会の承認をお願しております。合宿での代表選考参考試合は、その後の強化練習での体力も考慮し2kgオーバー計量としますが、トライアルはジャストの計量とします。ただし、トライアルでの優勝者を自動的に代表とするのではなく、それまでの試合を全て参考にして、外国人選手に強い選手、海外で力を発揮できる選手を強化委員会で選考したいと思います。

 2002年はアジア大会に出場した3選手が、世界選手権で金メダルを獲得していますので、選手選考に間違いはなかったと考えております。

 その後、ワールドカップ(10月10〜12日、東京)があり、アジアカップ(11月29〜30日、カザフスタン)も予定されています。これらは2003年から新設されるアジアでの団体戦で、日本は既に参加意思表明をしております。アジア選手権(6月5〜8日、インド・ニューデリー)も含め、すべての大会にできる限りベストの選手を派遣、出場させるつもりです。

 また、レスリング以外でも世界的に見て初めての試みだったと思いますが、2002年夏行った世界合宿をぜひ2003年も実施したいと考えています。選手の手のうちを見せるだけでなく、練習方法まで全て敵に教える世界合宿につきましては、賛否両論いろいろなご意見をいただきましたが、選手たちも「自信がついた」と話しており、強化につながったと思います。10月のワールドカップ出場国にはそのまま残ってもらい、出場しない米国やカナダには夏に日本に来てもらおうと考えおりますが、こちらは予算も問題もあり、まだ計画段階です。

 現強化委員会の目標は、2004年アテネ・オリンピックでの全4階級金メダル獲得。そのために全力をあげてがんばっていきますので、みなさん応援、ご協力をお願いたします。






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