決勝前から世界V2を確信…坂本日登美


 前日の51kg級の山本聖子(日大)に続き、56kg級の坂本日登美(中京女大)が金メダルを獲得。国別対抗得点では中国の後塵を拝したが、金メダル2個を取って女子レスリングのリーダー国のメンツを守った。

 山本が激戦を勝ち抜いての金メダルだったのに対し、坂本は余裕の金メダルだった。中京女大の監督でもある栄和人コーチは決勝前から「優勝したらパフォーマンスするからね」と、日本から来た報道陣に伝えるなど勝利を確信。事実、1回戦から決勝まで危ない試合はひとつもなく、安心して見ることのできた試合の連続だった。

 「去年の優勝より、ことしの優勝の方がうれしいです」と坂本。万全の調子で臨んだ昨年に比べ、この1年間は左ひざ(十字じん帯)のけがとの戦いだった。5月の東アジア大会(大阪=優勝)の欠場や、落ち込んだときには引退も考えたという。それらを乗り越えての世界V2は、喜びが倍となった。

 その左ひざは来年1月に手術することになっており、来年1年間は試合出場を控える。これも2004年のアテネ五輪で金メダルを取るため。「ブランクを作ることは不安ですが、無理して続けアテネでダメになりたくありませんから」前進のための後退。日本は力強いエースを一時的に失うことになるが、アテネ五輪での勝利へ向け、二本柱の存在は力強い限りだ。





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